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2018/03/27

栗本丹洲 魚譜 ドチザメ

 

Dotizamesaisyu

 

[やぶちゃん注:図版は国立国会図書館デジタルコレクションの「魚譜」から。画像は尻鰭附近で切れているため、接続合成したが、上部に次に示すネコザメが描かれ(上部から突き出ているのは、その右胸鰭で本図とは無関係)、尾部の上部には前のコバンザメが画かれているという、本巻子本の中では異様に前後上下が狭苦しくなっている。そのため、合成用カットの切り出し方を誤り、全体が不定形となってしまったことは、お許し戴きたい。]

 

□翻刻1(原則、原典のママ)

ドチサメ

 臺灣志烏翅鯊

 身圓翅尾黒色

 モシ此烏翅鯊魚乎

 

 

□翻刻2(今まで通り、読み易く推定訓読して整序した)

「ドチザメ」

 「臺灣志」に『烏翅鯊(うしさ)、身、圓く、翅・尾、黒色。』と。もし、此れ、「烏翅鯊-魚(うしさざめ)」か。

 

[やぶちゃん注:軟骨魚綱メジロザメ目ドチザメ科ドチザメ属ドチザメ Triakis scylliumウィキの「ドチザメ」より引く(アラビア数字を漢数字に代え、記号の一部を変更・省略した)。ドチザメ(奴智鮫(語源不詳)/英名:Banded houndshark)は、『日本近海から東シナ海にかけての沿岸に生息する。最大全長は百五十センチメートル。卵黄依存型の胎生。五~七年で成熟し、十~二十四尾の子供を産む。漁業の対象にはならない。飼育しやすいため、全国の水族館で見ることができる。おとなしく、人間を襲うことはない』。『太平洋北西部沿岸、日本の南北海道以南、朝鮮半島、台湾、東シナ海まで分布する。また、未確認だがフィリピン近海にも進出する。比較的水深の浅いところを好み、岩礁域や藻場にも現れる。海底近くを泳ぎ、遊泳力は強くない。しばしば海底で休んでいる姿が見られる。河口など比較的低塩分の環境にも耐える』。『体型は細長い流線型。吻はやや長く扁平で丸い。背側の体色は黒色から灰色で、オリーブや褐色がかることもある。体側に複数の暗色横帯や斑模様が見えることもある。腹側は白色。背鰭はやや後方に位置し、尾鰭は上葉が長く伸びて面積が広い。頭部には短い二本の鼻弁を備え、口の周りには唇のような皺がある』。『小魚や甲殻類、その他の底生生物を捕食する。ほとんど単独で行動し、群れることはないが、山形県飛島では五月から七月にかけて』、『多くのドチザメが集まる』。『胎生。胎盤を形成しない卵黄依存型。産仔数は十~二十四尾。伊豆半島近海では雄は全長九十三~百三センチメートル』で五~六歳で成熟し、『雌は百六~百十七センチメートル』で、『六~七歳で成熟する。出生時の全長は十八~二十センチメートル。寿命は雄』で十五年、雌で十八年ほどである。『二〇一六年には、富山県の魚津水族館の雌しかいなかった水槽内で幼魚が二匹生まれるという珍事が起きた(二〇〇九年と二〇一三年に続き』、『三度目)。このことから、単性生殖を行う可能性が示唆されている』。『日本では食用に漁獲されることはなく、各地で他の魚類に混じって混獲される程度である。食用にすることは可能であり、淡白な白身で癖がなく美味だという』とある。

「臺灣志」清の李元春が撰した台湾の地方地誌「臺灣志略」。道光期(一八二一年~一八五〇年)年成立。

「烏翅鯊(うしさ)」同書の鮫を列挙した箇所に(太字下線やぶちゃん)、

   *

鯊。龍文鯊爲最、其翅特美。烏鯊、大者數百筋、能食人。虎鯊・圓頭鯊、皆噬人。乞食鯊、皮可飾刀鞘。白鯊・雙髻鯊・烏翅鯊・鋸仔鯊・鼠𧋋鯊・蛤婆鯊・油鯊・泥鰍鯊・靑鯊・扁鯊・狗鯊。皆。鯊屬。

   *

と出る。但し、以下の「身、圓く、翅・尾、黒色」という解説はない。更に中文原文サイトを調べた結果、同じ清の黃叔璥(しゅくけい 一六八二年~一七五八年)の撰になる、先行する台湾地誌「臺海使槎錄」(一七二二年執筆開始)の「卷三」の鯊類について解説した中に(太字やぶちゃん)

   *

外此有烏翅鯊身圓翅尾黑色

   *

とあるのを発見したので、丹洲は引用した方の書名と前者を混同していることが判る。「臺海使槎錄」の方が百年も前のものであるから、或いは丹洲は注釈附きの「臺灣志略」を読み、そこに「臺海使槎錄」の「烏翅鯊」の記事注記を見出し、そのまま安易に引いたものかも知れない。

『もし、此れ、「烏翅鯊-魚(うしさざめ)」か。』「或いは、この本邦の「ドチザメ」がその「烏翅鯊(うしさ)」=「烏翅鯊-魚(うしさざめ)」なのではなかろうか?」。しかし、調べてみると、現行のドチザメの繁体字漢名表記は正漢字で「皺唇鯊」である。それに対し、メジロザメ目 Carcharhiniformes のメジロザメ科メジロザメ属ツマグロ Carcharhinus melanopterus の現行漢名は、正漢字で「烏翅眞鯊」で、しかも異名として「黑翼鯊」「伯爵鯊」「黑鰭鯊」「黑鰭礁鯊」(参照した中文同種ウィキには、時に形状が類似することから、メジロザメ属カマストガリザメ Carcharhinus limbatus。正漢字表記「黑邊鰭眞鯊」と誤認されやすい旨の記載が有る)。以上から、「烏翅鯊」は私はツマグロのことを指していると考える。]

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