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2018/04/26

進化論講話 丘淺次郎 第十四章 生態學上の事實(4) 四 保護色(Ⅰ) (図中のプランクトン同定に非常に手古摺ったので分割して示す)

 

     四 保護色

 

Jyuhininitaga

 

[樹皮に似た蛾]

[やぶちゃん注:本章の挿絵は総て底本の国立国会図書館デジタルコレクションの画像をトリミングし、補正(一部はブラック・バックで図が極めて見難いことから、ハイライトを限界近くまで上げたため、キャプションが飛んでいる)して使用した。なお、内二枚の大判の図(「浮游動物の保護色」と「保護色と擬態」)は講談社学術文庫ではカットされている。さて、丘先生の仰る通り、「木の幹にとまる蛾の類には、斑紋まで木の皮と全く同樣で、近づいて見ても、容易に見分けられぬ程のものが幾らもある」から、この図の蛾はとても種同定は出来ないが、一つの典型的な木の皮に擬態する種(但し、形状から見て、本図のそれでは残念ながら、ない)として、文字通り、鱗翅目コブガ科キノカワガ(木の皮蛾)亜科キノカワガ Blenina senex を挙げることに文句を言う人はおるまい。個人ブログ「NATURE DIARY」の「庭の擬態名人:アケビコノハ」(スクロール・ダウンすると登場する)及び、「みんなで作る日本産蛾類図鑑V2」の「キノカワガ Blenina senex (Butler, 1878)を参照されたい。解説も画像も豊富である。但し、画像は視認出来るようにかなりの接写でしかも大きいから、昆虫が苦手な方は要注意である。]

 

Phycodurus_eques

 

[海草魚]

[やぶちゃん注:本種は条鰭綱新鰭亜綱棘鰭上目トゲウオ目ヨウジウオ亜目ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科 Phycodurus 属リーフィーシードラゴン Phycodurus eques と見てよいように思う。本種はオーストラリア南西部沿岸の浅海に分布し、周囲の海藻に強い擬態をしており、まさに「海藻魚」に相応しく、海藻そのもののような外見で非常によく知られている。これは本文で「南洋の海に居る」とあるのにも合致する。なお、本邦産タイプ種であるタツノオトシゴ Hippocampus coronatus やハナタツ(花竜)Hippocampus sindonis でも海藻様の突起の見られる個体がしばしばいるが(特に後者は有意に附属する)、ここまで激しくはない。グーグル画像検索「Phycodurus equesをリンクさせておく。形状だけではなく、色も実に華やかで美しい。]

 

 動物にはその住する場處と圓じ色を有するものが頗る多い。綠色の若芽に附く蚜蟲[やぶちゃん注:「あぶらむし」と読む。複数回既出既注の「アリマキ」のことである。]は必ず綠色で、黑い枝に附くものは黑く、楓の赤い芽に附くものは紅色である。單に色ばかりでなく、木の幹にとまる蛾の類には、斑紋まで木の皮と全く同樣で、近づいて見ても、容易に見分けられぬ程のものが幾らもある。種々の動物に就いて廣く調べて見ると、このやうなことは極めて普通であるから、動物がその住處の色に似るのは、殆ど規則であつて似ないのは例外かと思はれる位であるが、その例を少し擧げて見れば、綠葉の上にとまる動物は、雨蛙でも、芋蟲でも、蝗でも、蜘蛛でも皆綠色で、枯草の中に居る蝗などは枯草色である。沙漠地方に住む動物は、獅子・駱駝・羚羊[やぶちゃん注::「れいやう(れいよう)」。複数回既出既注のアンテロープのこと。]の類を始めとして、獸でも、鳥でも、蟲類でも一樣の黃砂色を有するものが甚だ多い。それ故、樹木・岩石等の如き隱れ場處がないのに、これらの鳥獸を見分けることがなかなか困難であると、旅行者が往々紀行中に書いて居る。また北極地方へ行くと、概して白色の動物が多く、始終雪の絶えぬ邊には、常に白色を呈する白熊・白梟等の類が住み、夏になれば雪が消える位の處には、冬の間だけ白色に變ずる雷鳥(らいてう)・白狐・白鼬(いたち)の類が居るが、雪の中に白色の動物が居ては、容易に見分けられぬのは無論である。また蝶(かれひ)・比目魚(ひらめ)・鯒(こち)・「がざみ」などは、淺い海底の砂に半分埋もれて居るが、背面の色も模樣も、全く砂の通りであるから、足もとに居ても少しも解らぬ。水族館などに飼うてあるのでも、餌を與へると泳ぎ出すので、そこに居たのが僅に知れる位である。南洋の海に居る海草魚の如きは、色が海草と同じであるのみならず、身體の周邊から、びらびらした附屬物が生じて居るから、海草の間に靜止して居るときには、到底これを識別することは出來ぬ。また海面には、透明であるために容易に目に觸れぬ動物が頗る多い。風のない靜な日に、小舟に乘つて沖へ出て見ると、海の表面には水母の類、蝦の類などで全く透明なものが無數に居て、一二寸位から大きなものは一尺以上のものまでもあるが、餘り透明であるから、初めて採集に行く者は、之が目の前にあつても、なかなか氣が附かぬ。採集者が態々搜しに行つてさへ、往々見落す程であるから、普通の人等が之を知らぬのも無理ではない。

[やぶちゃん注:「白熊」哺乳綱食肉(ネコ)目クマ科クマ亜科クマ属ホッキョクグマ Ursus maritimus

「白梟」鳥綱フクロウ目フクロウ科ワシミミズク亜科ワシミミズク属シロフクロウ Bubo scandiacusウィキの「シロフクロウ」によれば、『繁殖期には北極圏に広く分布する。冬は多くの個体がユーラシア大陸や北アメリカ大陸などの亜寒帯まで南下し、日本でも北海道でまれに見られる。鳥取県や広島県など、さらに南で記録されたこともある。日本での記録はほとんど冬だが、北海道の大雪山系では夏に記録されたこともある』とある。恐るべし。

「雷鳥」キジ目キジ科ライチョウ属ライチョウ Lagopus muta

「白狐」食肉(ネコ)目イヌ科イヌ亜科キツネ属ホッキョクギツネ Vulpes lagopus をまず掲げる。ウィキの「ホッキョクギツネ」によれば、『北極地域、つまりグリーンランドやロシア、カナダ、アラスカ、スヴァールバル諸島の辺境を含む北極圏全体、更に亜北極圏やアイスランド、スカンディナヴィア本土の山脈などの高山地域で見られる』とある。但し、ここでは冬に白毛になる狐とする(ホッキョクギツネも夏毛はグレーや褐色に生え変わる)から、北方系の多の種も含まれるであろうが、そこまで調べる気は、ない。

「白鼬」食肉(ネコ)目イタチ科イタチ亜科イタチ属オコジョ Mustela erminea 或いは同亜種で本邦に棲息するホンドオコジョ Mustela erminea nippon、又は同亜種で北海道・ロシア極東に棲息するエゾオコジョ Mustela erminea orientalis(但し、同亜種は東シベリアの Mustela erminea kaneii のシノニムとする説もある)であろう。因みに、現行で「白鼬」「シロイタチ」と称するのはイタチ属ヨーロッパケナガイタチ亜種フェレット Mustela putorius furo であるが、これは家畜化された飼養動物であり、同じイタチ属ではあるが、こことは全く関係ない。

「鯒(こち)」カサゴ目 Scorpaeniformesコチ亜目Platycephaloideiの魚類の総称である(この場合は私は、スズキ目Perciformesネズッポ亜目Callionymoideiの「コチ」呼称群を考慮する必要はないと思う)。特にここでは、本邦の典型的な大型種であり、寿司種にする「鯒」、コチ亜目Platycephaloideiのマゴチや近縁種のヨシノゴチ(どちらもPlatycephalus sp.(以前はPlatycephalus indicusと同一種とされていたが、研究の進展により現在は別種とされる。学名は未認定である)を丘先生は想定していると思う。

「がざみ」甲殻綱十脚(エビ)目エビ亜目カニ下目ワタリガニ科ガザミ属ガザミ Portunus trituberculatus。]

 

Ourankuton

 

[浮游動物の保護色

1 「くらげ」

2 「くだくらげ」

3 「くしくらげ」

4 「さるぱ」

5 「えび」の幼蟲

6 「いか」

7 軟體動物の一種

8 「うなぎ」の幼魚]

[やぶちゃん注:ブラック・バックで百%までハイライトを上げた結果、左右にあるキャプションが飛んでしまった。なお、原画(リンク先の左頁)はキャプションが左右位置で順列にはなっていないので注意が必要である。以下、画像が不鮮明でちょっと難しいものもあるのだが、最も可能の高いと私が判断した種を同定候補として以下に挙げておくので、参考にされたい。

1 刺胞動物門ヒドロ虫綱ヒドロ虫目硬水母亜目オオカラカサクラゲ科カラカサクラゲ属カラカサクラゲ Liriope tetraphylla 。半球状の傘の底部中心から長い柄が伸びているようにも見えるから(それで唐笠と名付ける)であるが、これはハイライトにした結果、辺縁の手前の触手がそう見えるだけのようにも見えなくもないから、多種の幼体の可能性もある。ヒドロ虫綱 Hydrozoa のクラゲの中では刺胞は強い部類に属するので要注意である。

2 ヒドロ虫綱クダクラゲ目嚢泳亜目ボウズニラ科ボウズニラ属ボウズニラ Rhizophysa eysenhardtii ではないかと思われる。体は高さ一・五センチメートル、幅約一センチメートルの気胞体と、それに下垂する細長い幹とから成る群体性の浮遊性ヒドロ虫。暖海性で春に見られる。幹は極めて伸縮性に富み、収縮すると三十センチメートルほどであるが、伸長すると数メートルにもなる。幹には栄養体・触手・生殖体がところどころに固まって附いている。諸図鑑では刺胞毒はあまり強くないとする。全体が淡紅色であるが、時に、わずかに紫色或いは黄色を帯びる個体もある。和名の「ボウズ」は気泡体が坊主頭に似ていることに由来し、「ニラ」は魚の背鰭や植物にある「棘(とげ)」を意味する「イラ」が転訛したもの。但し、近縁種のコボウズニラ Rhizophysa filiformis(複雑に発達した三タイプの側枝を持ち、気泡体が小さい)の刺胞毒は、かの悪名高い同亜目のカツオノエボシ(クダクラゲ目嚢泳亜目カツオノエボシ科カツオノエボシ属カツオノエボシ Physalia physalis)のそれに匹敵するとされ、激烈であるから、こちらも君子危きにの部類である。私の尊敬していた高校時代の生物の教師は「ボウズニラは強烈だ」と常々言っておられたが、或いは、この「コボウズニラ」の方を指していたのかも知れない。

3 下部に触手様のものがかすかに認められること、体部が有意に丸いことから、私は有櫛動物(ゆうしつどうぶつ)Ctenophora 有触手綱Tentaculata フウセンクラゲ目Cydippida テマリクラゲ科 Pleurobrachiidae のテマリクラゲの仲間ではないかと見た。彼ら有櫛動物は見た目がクラゲに似ているが、クラゲとは全く無縁な生物群で、刺胞を持たず、代わりに粘着性の膠胞(こうほう)というものを一般的には触手に持ち(体表に非常に短い触手や膠胞を有するものもいる)、多くは、それに触れた微小な生物を餌にしている。

4 プランクトン性(基本的には殆んどが非固着性)の尾索動物(オタマジャクシ型の幼生期を持ち、プランクトンとして自由遊泳生活をすること、その幼生期に於いて長い尾の部分に脊索・背側神経索を有する点で、恐らくは誰もが意外に思う、脊椎動物のすぐ下に分類される高等動物である。一般によく知られた種ではマボヤ(マボヤ科マボヤ Halocynthia roretz)がいる。他には、やはりクラゲっぽく見えるタリア綱ウミタル目Doliolida のウミタル(海樽)類が含まれる)で、見た目はクラゲじみているが、クラゲとは全く縁がなく、分類学上は高等な生物で魚類に近いところの、尾索動物亜門 Urochordata タリア綱 Thaliacea サルパ目 Salpida サルパ科 Salpidae のサルパ類、の仲間で、これは形状と透けて見える体内の様子からは、サルパ亜科 Salpinaeトガリサルパ属 Salpa トガリサルパ Salpa fusiformis 、その近縁種、或いは超大型になるオオサルパ属Thetys オオサルパ Thetys vagina 。前者の可能性が強いか。

5 キャプションと形状から見て、節足動物門軟甲綱十脚(エビ)目 Decapoda の広義のエビ類の、恐らくはフィロソーマ(Phyllosoma)幼生と見た。形状の特異性を海外サイトの画像で比較検討して見ると、「Scripps Institution of Oceanography」内のM. W. Johnson Lobster Phyllosoma Slide Collectionに出る幼生の模式図と非常によく似ているように思われた。この図には当該種を「panulius inflatus」としており、この種は、調べてはみたが、シノニムなのか、今一つ、よく判らなかったものの、属名から、十脚目イセエビ下目イセエビ上科イセエビ科 Palinuridae のイセエビ属 Panulirus で、お馴染みのイセエビ属イセエビ Panulirus japonicus の同属種であることが判る。エビ・カニなどを含む十脚目の幼生は広い総称ではゾエア zoea と呼ばれるが、実は十脚目抱卵亜目 Pleocyemata のイセエビ下目 Achelata に属する所謂、「伊勢海老」の類は他の十脚目類のそれとは有意に異なる幼生形態を持つ。ウィキの「ゾエア」によれば、『背甲は頭部のみを包んで胸部を覆わず、腹部はごく小さい。胸部から伸びる』三『対の付属肢は非常に長く、全体に腹背方向に』、『強く扁平になっており、まるでクモのような姿をしている。これをフィロソマ幼生と呼ぶが、これもゾエアに相当するものである』とある。

6 私には流石にこれでは(全体及び細部の形状や色が示されればある程度は範囲を絞り得るかも知れぬが)、軟体動物門頭足綱鞘形亜綱十腕形上目 Decapodiformes のイカ類の幼体(稚イカ)とするしかない。もし、お判りになる方がいれば、御教授願いたい。

7 これはキャプションにある軟体動物の一種という説明が強い味方となる。恐らくは非常に高い確率で(則ち、私としてはかなり自信をもって)軟体動物門腹足綱直腹足亜綱新生腹足上目吸腔目ゾウクラゲ上科ハダカゾウクラゲ科ハダカゾウクラゲ属ハダカゾウクラゲPterotrachea coronata と同定してよいと思われる。ご覧の通り、クラゲ様ではあるが、全く無関係な種で、殻を持たない巻貝の仲間である。本邦では黒潮流域に分布し、堅田は細長い円筒形を成し、象の鼻のように長く伸びた吻(図の右側)と尾鰭状(図の左側。かすかに絵から確認出来る)の後部を有する(後者のこの部分がないと、シリキレヒメゾウクラゲ属シリキレヒメゾウクラゲ Firoloida desmaresti となる)。体長は大きくて十五センチメートル程度である。

8 これは勿論、本邦での採取であれば、条鰭綱ウナギ目ウナギ亜目ウナギ科ウナギ属ニホンウナギ Anguilla japonica の仔魚(しぎょ)である葉形幼生「レプトケファルス(Leptocephalus)」である。]

 

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