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2018/05/08

和漢三才圖會第四十一 水禽類 計里 (ケリ)

Keri

けり  正字未詳

計里

    【万葉集用梟

     字爲歌助語

     然梟者不孝

     鳥之名與此

     大異

     者也】

 

△按計里鳥大似鳩而頭背灰黑而胸腹共白色翎末黑

 尾短而有黑斑觜黃赤而末黑脚脛長而黃常鳴水邊

 能捕魚其肉味甘美秋月賞之能治膈噎

山計里 狀似計里而頭背翅共青黑而翅裏帶淡赤色

 胸腹白嘴黑脚赤黑

 

 

けり  正字、未だ詳らかならず。

計里

    【「万葉集」、「梟」の字を用ひて、

     歌の助語と爲〔(な)〕す。然れ

     ども、「梟」は「不孝」の鳥の名

     〔にして〕、此れと、大〔いに〕

     異なる者なり。】

 

△按ずるに、計里の鳥、大いさ、鳩に似て、頭・背、灰黑にして、胸・腹、共に白色。翎の末、黑く、尾、短かくして黑斑有り。觜、黃赤にして末は黑し。脚・脛は長くして黃なり。常に水邊に鳴きて、能く魚を捕る。其の肉味、甘美にして、秋月、之れを賞す。能く膈噎〔(かくいつ)〕を治す。

山計里〔(やまけり)〕 狀、計里に似て、頭・背・翅、共に青黑にして、翅の裏、淡赤色を帶ぶ。胸・腹、白く、嘴、黑。脚、赤黑なり。

[やぶちゃん注:鳥綱 Avesチドリ目 Charadriiformesチドリ亜目 Charadriiチドリ科 Charadriidaeタゲリ属ケリ Vanellus cinereus漢字では「鳧」「水札」などとも表記する。現代中国語では「灰頭麦鳩」である。ウィキの「ケリより引く。『モンゴル、中国北東部、日本で繁殖する。冬には東南アジア、中国南部などに渡るものもいる。日本においては留鳥として、かつては主に東北地方に分布していたが』、『分布が拡大し』、『中部地方、関西地方を中心とした近畿以北の本州に』も広がっているらしく、『中国地方・北部九州など西日本でも繁殖が確認され始め』ているとする。全長は約三十四センチメートルで、『雌雄同色。くちばしは短く、黄色で先端が黒い。足は長くて黄色。目は赤橙色で黄色のアイリングがある。また。嘴の付け根には黄色い肉垂がある』(これも雌雄同色である)。『翼の小翼羽付近には爪があり、爪の大きさや色から雌雄の見当をつけることができる。成鳥の夏羽は頭部から胸上部が灰青色で、体上面は灰褐色で、体下面は白い。胸上部と体下面の境目には黒い胸帯がある。翼は先の方が黒く、基半部は白色と灰褐色で、飛ぶときこれらのコントラストが目立つ。尾は白色で黒い帯が入る。冬羽は頭部からの灰青色がやや褐色を帯びている。雛は淡褐色の綿羽に覆われている。若鳥は頭部からの胸部にかけて灰色でやや褐色を帯びる。胸帯は薄い。また目は褐色で、アイリング・肉垂とも小さく目立たない』。『水田、畑、河原、干潟、草原などに』棲息し、『食性は主に動物食で、昆虫類、ミミズ、カエルなどを捕食する。稀に穀類も食べる』。『繁殖期は』三月から七月で、抱卵は三月『初旬から中旬に始まり、抱卵・』雛養育は、それぞれ約一ヶ月ほど『かかる。クラッチサイズ』(clutch size:一回当たりの生産繁殖体数。「一腹卵数」「一巣卵数」等とも言う)は四卵で、時には三卵、稀に一卵から五卵が確認されている。『巣は水田内や畦などの地面に藁を敷き作る。よって』、『農作業による影響が著しく大きい。繁殖期中は時にテリトリーを変えるなどして最大』三『回営巣を試みる。非常に警戒心が強く、テリトリーにトビやカラス、人間などの外敵が近付くと、鳴きながら激しく威嚇し、追い払う。その為、夜でも鳴き声が聞こえてくる場合がある』。『非繁殖期には小群で行動する』。『甲高い声で鳴き、「キリッ、キリッ」、「ケリッ」、「ケケッ」というふうに聞こえる。この鳴き声からケリという名がついたといわれる』とあり、また、『「けりをつける」、「けりがつく」の“けり”は助動詞の“けり”から来た語だが、「鳧」の字を宛てることがあ』り、「鳧を付ける」というふうに当て字で今も使用する。鳴き声を含む動画はを。

 

『「万葉集」、「梟」の字を用ひて、歌の助語と爲〔(な)〕す。然れども、「梟」は「不孝」の鳥の名〔にして〕、此れと、大〔いに〕異なる者なり』良安は「梟」という字を「鳧」と勘違いをしているとしか思われない。まず以って「万葉集」は「梟」の字を助字になど使用していない。というよりも、「万葉集」にはフクロウ(フクロウ目 Strigiformesフクロウ科 Strigidae 或いは同科フクロウ属 Strixに相当する鳥をさえ詠みこんだ歌がないように思われる(中西進編「万葉集事典」(昭和六〇(一九八五)年講談社文庫刊)の「動物一覧」には「ふくろう」も「みみづく」も載らない)。東洋文庫の訳本の注にも、『助動詞「けり」に當てられている漢字は、「鳧」であって「梟」ではない。ただし『萬葉集』で「けり」に用いられている漢字は、計里・弗里・家里・來・異梨などで、「鳧」はむしろ巻七、一一九〇の歌のように「かも」と訓(よ)む用字となっている』とある。一一九〇番歌は、「覊旅作」(覊-旅(たび)にして作れる)歌群の中の一首で、

 

舟盡 可志振立而 廬利爲 名子江乃濱邊 過不勝鳧

舟泊(は)てて杙(かし)振り立てて廬(いほり)せむ名子江(なごえ)の濱邊過ぎかてぬかも

 

である(「杙(かし)」は舟を係留するための杭(くい)。「廬」は旅宿。「名子江」は位置不詳。「名児(なご)の海の入り江」としても住吉(現在の大阪湾)辺りとも、越中(富山県)ともされ、最早、確定不能である)。この「かも」詠嘆的疑問を示す係助詞で、係助詞「か」に係助詞「も」が付いて一語化したものである)。また、鳥としての「ケリ」は、巻第二十の四三三九番歌(防人歌で作者は刑部(おさかべの)虫麻呂。天平勝宝七(七五五)年二月作)で、

 

久尒米具留 阿等利加麻氣利 由伎米具利 加比利久麻弖尒 已波比弖麻多禰

國巡(めぐ)る猲子鳥(あとり)鴨(かま)鳧(けり)行き巡り歸り來(く)までに斎(いは)ひて待たね

 

詠われている。この「國」は筑紫国。「猲子鳥(あとり)」はスズメ目アトリ科アトリ属アトリ Fringilla montifringilla。「鴨(かま)」はカモの訛り。「斎(いは)ひてひて待たね」は「身を慎んで私の帰るのを待っていておくれ」の意。

「膈噎〔(かくいつ)〕」漢方では「噎」は「食物が喉を下りにくい症状」を指し、「膈」は「飲食物を嚥下出来ないこと」「一度は喉を通っても後で再び嘔吐する症状」を指す。精神的な嚥下不能から喉の炎症、アカラシア(achalasia:食道アカラシア。食道の機能障害の一種で、食道噴門部の開閉障害若しくは食道蠕動運動の障害或いはその両方によって飲食物の食道通過が困難となる疾患)や咽頭ポリープによるもの、更には食道狭窄症や逆流性食道炎、重いものでは咽頭癌・食道癌や噴門部癌や胃癌も含まれると思われる。

「山計里〔(やまけり)〕」これはケリの異名であって、別種ではない。]

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