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2018/05/10

脳性痙攣薬服用中止記念 大和本草卷之八 草之四 海藻類 心太 (ココロフト=トコロテン)

 

【外】

心太 心太ハ國俗ノ所稱之名也コヽロハコヾル也フトノ反ハホ

 ナリホトモト通スコヽルモナリ閩書云石花菜生海石上

 性寒夏月煮之成凍今按ニ是心太ナルヘシ但綱目ノ

 石花菜ヲ説ケルハ異リ今心太ヲ國俗トコロテント稱ス

 蠻語ノ如シ煮テ凍ルモノ也細ニサキテ麪條ノ如ニシテ食ス

 性寒病人虛人不可食庭訓ニ西山ノ心太ト云シハ昔

 嵯峩邊ニコレヲ製シテ賣シカ名物ナリシニヤ○海髮順

 和名抄ニノセタリ是亦心太ノ類煮テ凍トシ食ス毒ア

 リ往々殺人不可食又ウケウトヽ云物アリ紫色ナリ

 一種別種ナリ是等漢名未詳非佳品不可食

○やぶちゃんの書き下し文

【外】

「心太(〔ココロ〕フト)」 心太は國俗の稱する所の名なり。「ココロ」は「こごる」なり。「フト」の反は、「ホ」なり。「ホ」と「モ」と通ず。『こごる「モ」』なり。「閩書〔(びんしよ)〕」に云はく、『石花菜は海石の上に生ず。性、寒。夏月、之れを煮て凍(こほり)と成す』〔と〕。今、按ずるに、是れ、心太なるべし。但し、「綱目」の「石花菜」を説ける〔と〕は異〔(い)な〕り。今、心太を、國俗、「トコロテン」と稱す。蠻語のごとし。「煮て凍るもの」なり。細かにさきて、麪條(きりむぎ)のごとくにして食す。性、寒。病人・虛人、食すべからず。「庭訓〔(ていきん)〕」に『西山の心太』と云ひしは、昔、嵯峩〔(さが)〕邊〔(あたり)〕に、これを製して賣しが、名物なりしにや。

○「海髮(イギス)」、順が「和名抄」に、のせたり。是れ亦、心太の類。煮て凍とし、食す。毒あり、往々、人を殺す。食ふべからず。又、「ウケウト」と云ふ物、あり。紫色なり。一種、別種なり。是等、漢名、未だ詳かならず。佳品に非ず、食ふべからず。

[やぶちゃん注:最初は現在の加工食品である「心太(ところてん)」であるが、本「大和本草」の書式から考えると、これを益軒は特定の藻類を指す語として強引に分析しようとしているようで、その結果として袋小路に入ってしまった観がある。そもそもが、「ところてん」の原料は単一種ではない。天草(テングサ)類(紅色植物門紅藻綱テングサ目テングサ科 Gelidiaceae の総称であり、テングサという種は存在しない)やオゴノリ(於胡苔)類(紅藻綱オゴノリ目オゴノリ科Gracilariaceae 或いはオゴノリ属オゴノリ Gracilaria vermiculophylla)などの広汎な寒天原藻である紅藻類を茹でて煮溶かし、そこに生じた寒天質を冷まして固めたものを「ところてん」、それを戸外で凍結乾燥させたものを「寒天」と呼ぶ。テングサ類などの食用海藻類は古くは「こるもは」(「凝(こ)る藻葉(もは)」て、水中に生える草を指す「藻」の古名。既に祝詞の中に出ており、それは「靑海(あをみ)の原」「の邊(へ)つ」「に住む物」とあるかから海産藻類の本種群を既にして限定していたと考えてよい)或いは「こころふと(心太)」と称した。小学館「日本大百科全書」には、これから製した食品「ところてん」も、初めは「こころふと」であったのが、「こころてい」「こころてん」「ところてん」に転訛したものであろうといわれていると記す。但し、ウィキの「ところてん」では、その説を示した後で、『古くは正倉院の書物中に』「心天」『と記されていることから』、『奈良時代にはすでに』、「こころてん」又は「ところてん」と『呼ばれていたようである』ともあって読者を惑わす。

 「その程度なら知ってるよ」とうそぶく方のために(言っておくが、私はネットから引いても、私のフリークな対象については、必ず、所蔵する書籍や論文で確認をとっている。ただのサンピンのコピー・ペースターなんぞでは、ない)それでは、所持する一九七四年法政大学出版局刊の、食物文化史を研究されてきた宮下章氏の著になる「ものと人間の文化史 11・海藻」の『大凝菜(オオゴルモハ) 凝海藻(コルモハ)』から引用しておこう(以下の太字はやぶちゃん)。大凝菜(オオゴルモハ)は概ね「テングサ」類では最も一般的な種テングサ科テングサ属マクサ Gelidium elegans を指し、凝海藻(コルモハ)は「延喜式」に出るが、これは大凝菜より小型で、トコロテンの材料として貴重なものとされた、後でも出る「海髮(イギス)」、紅藻綱イギス目イギス科イギス連イギス属イギス Ceramium kondoi 指すと考えてよい。『晒して煮ればどろどろに溶け、後に凝結する。つまり凝(こご)る藻(もは)だから、「コルモハ」の語が生まれた。ただし』、この「コルモハ」という音は『「凝海藻」の漢字を』当時の訓で詠んだ『ものであって』、その当時の本当の『和名は明らかではない』(民間では別にあったはずである)。『この製品を「心太(こころぶと)」といったが、「心(こころ)」は「凝(ここ)る」が転訛したもので、やはり日本名ではなかった』とあり、さらに『おそらく仏教の伝来』(五三八年(宣化天皇三年))と同時に、『精進料理の導入にともなってトコロテン製法が伝えられ、その主原料が凝海藻または大凝菜であることを教えられたのであろう。そこから』「コゴルモハ」『の日本名が生まれ、その製品を』「ココロフト」『と呼び』「心太」『の字を宛てたものとみられる』とされる。『「太」の字が問題だが、これについては』、「小」凝菜(先に示した種としての「イギス」)に対する「大」凝菜の『製品だからという説が多い(小凝菜は葉が細いが、大凝菜は葉体がやや多い)』。「太」という字は『呉音では「テイ」と読む』ことから、「ココロフト」が「ココロテイ」に『変る(中世には両方が使われた)、さらに江戸期になると、トコロテンに変わるのである』とある。『トコロテンの名称が定着した後世、海藻名の方は、大凝菜がすたれて「石花菜」という別の漢字に変わる』。花を咲かせたような珊瑚と似て『見えるところから付けられた文字である。この文字にはトコロテンの原草の意味で「テングサ」があたえられた、が、こ唸ったのは古代から数百年を経てののちのこと』だったのである。

 因みに、テングサ科 Gelidiaceae の中でも「ところてん」原藻としての糊分の多い順では(田中次郎著「日本の海藻 基本284」(二〇〇四年平凡社刊)に拠る)、

テングサ属オニクサ(鬼草)Gelidium japonicum(これだけを素材として煮出すと非常に固い寒天が出来る)

同属オオブサ(大房)Gelidium pacificum(生殖器官を附けた枝が房状になるのが一番の特徴で、和名もそれに由来するのであるが、時期的にそれがないと、マクサなどとの区別は難しい。藻体はマクサよりやや固く、大型になり、小枝が枝の一個所から纏まって生えることなどが識別のヒントにはなるようである)

同属マクサ(真草)Gelidium elegans(「テングサ」類では本種が最も一般的な種。「真草」の「真」はそれを意味していよう)

ユイキリ属ユイキリ(結切)Acanthopeltis japonica(別名「トリノアシ」。本種の枝状部が鶏の脚の脛(すね)に似ていることに由来する。寒天原藻であるが、他に比べると品質が劣る)

ヒラクサ属ヒラクサ(平草)Ptilophora subcostata(高さ二十~三十センチメートル、枝幅五ミリメートルあり、「テングサ」類中、最も大きくなる。藻体の質がかなり硬い)

であるが、実は本邦にはテングサ属 Gelidium だけでも十六種が知られている

 

『「フト」の反は、「ホ」なり』。「反」は漢字の音を表わす反切(はんせつ)法(漢字二文字で当該漢字の音を表わす方法)のことであろうが、「太」の反切は「廣韻」では「他蓋切」で「ホ」ではないし、以下の『「ホ」と「モ」と通ず』も判ったようで判らない。ハ行とマ行の同じオ段だなんて判ったようなことを言って、転訛し易いなんて安易千万なことを言うんじゃないだろうな?

『こごる「モ」』既に示した通り、煮ることで「煮凝る藻」の意である。

「閩書」明の何喬遠撰になる福建省の地誌「閩書南産志」。

『「綱目」の「石花菜」を説ける〔と〕は異〔(い)な〕り』李時珍の「本草綱目」の巻二十八の「菜之四 水菜類」に、

   *

石花菜【食鑑】

釋名璚枝【時珍曰並以形名也】

集解【時珍曰石花菜生南海沙石間高二三寸狀如珊瑚有紅白二色枝上有細齒以沸湯泡去砂屑沃以薑醋食之甚脆其根埋沙中可再生枝也一種稍粗而似雞爪者謂之雞脚菜味更佳二物久浸皆化成膠凍也郭璞海賦所謂水物則玉珧海月土肉石華卽此物也】

氣味甘鹹大寒滑無毒主治去上焦浮熱發下部虛寒【寗原】

   *

とある。益軒はこれは「閩書」のトコロテン原藻の記載とは異なっているとするのであるが、そうだろうか? 私は全く以って「天草」類の記述だと思うぞ! 「一種稍粗而似雞爪者謂之雞脚菜」なんて、モロに別名「トリノアシ」のユイキリ属ユイキリじゃあないか! 益軒先生、私は大いに反論致します!!!

「蠻語のごとし」未開僻地の土人の語のようである(が、しかし)、「煮て凍るもの」の転訛した語なのである、と言いたいようである。

「麪條(きりむぎ)」漢語としては「麺」に同じい。「きりむぎ」は「むぎきり」(麥切(麦切り))で、大麦の粉を練って延ばし、短い饂飩(うどん)のように切ったもの。まあ、ウドンである。しかし、形状や食感から言えば、「葛切り」の方が遙かに近いと思うのだが。葛切りは当時でも高級食だから、無理ないか。

「虛人」虚証の激しい状態、体温が低下した衰弱傾向にある人。

「庭訓」室町時代の往来物(平安末期に生まれた一種の初等教科書様の書物の総称。当初は手紙の模範文例集の体(てい)を成していたが、近世には項目が多様化して寺子屋の教科書となった)として知られる「庭訓往来」。全一巻。玄恵(げんえ)著と伝えられるが、未詳。応永年間(一三九四年~一四二八年)頃の成立か。一年各月の消息文を集めた初学者用書簡文範集。擬漢文体で書かれ、武士・庶民の生活上必要な用語を網羅している。江戸時代には寺子屋の教科書として広く用いられた。「西山の心太」は、その中の、地方の名産品を並べた、物尽くしの一段に出る(下線太字やぶちゃん)。

   *

……次に大舍人綾、大津練貫、六條染物、猪熊紺、宇治布、大宮絹、烏丸烏帽子、室町伯樂、手島莚、嵯峨土器、奈良刀、高野剃刀、大原薪、小野炭、小柴黛、城殿扇子、仁和寺眉作、姉小路針、鞍馬木芽漬、醍醐烏頭布、東山蕪、西山心太。此外、加賀絹、丹後精好、美濃上品、尾張八丈、信濃布、常陸紬、上野綿、上總鞦、武藏鐙、佐渡沓、伊勢切付、伊豫簾、讃岐圓座、同檀紙、幡磨杉原、備前刀、出雲鍬、甲斐駒、長門牛、奧州金、備中鐵、越後鹽引、隱岐鮑、周防鯖、近江鮒、淀鯉、土佐材木、安藝槫、能登釜、河内鍋、備後酒、和泉酢、若狹椎、宰府栗、宇賀昆布、松浦鰯、夷鮭、奧漆、筑紫殿。……

   *

「西山」は清滝から「嵯峩〔(さが)〕」(嵯峨嵐山)から松尾大社辺り(この附近(グーグル・マップ・データ))の広域を指す通称呼称のようである。芭蕉の没年の元禄七(一六九四)年の嵯峨にあった折りの句にも(「泊船集」の形に拠る)、

 

 淸瀧の水汲ませてやところてん

 

と出る。因みに、貝原益軒(寛永七(一六三〇)年~正徳四(一七一四)年松尾芭蕉(寛永二一(一六四四)年~元禄七(一六九四)年)は同時代人である。

「これを製して賣しが、名物なりしにや」トコロテンは海産加工物であるが、清冷水で食してこそ美味であったし、寒天はまさに海浜ではなく、運ばれて、内陸の気温差の激しい(凍結乾燥=フリーズ・ドライが自然状態で出来る)盆地や山間地で製される。現在でも、長野県諏訪地方が寒天製造では日本一である

「海髮(イギス)」紅藻綱イギス目イギス科イギス連イギス属イギス Ceramium kondoi。藻体は糸状で、樹枝状に分枝し、暗紫色を呈する。十数種の近縁種があり、各地の磯の潮間帯の岩上や他の海藻上に生える。寒天の混和物でもあり、刺身のツマや糊(のり)の原料とする。また、山陰や瀬戸内地方で食される生大豆の粉に本藻を入れて煮溶かし、醤油などで味をつけて冷やし固めた「いぎす豆腐」はとみに有名である。なお、困ったことに「海髪」は全くの別種である紅藻綱オゴノリ目オゴノリ科オゴノリ属オゴノリ Gracilaria vermiculophylla の異名でもあるので注意されたい。オゴノリは潮間帯付近の岩場に植生し、単に「オゴ」「ウゴ」などとも呼ばれる。テングサなどとともに寒天原藻にも混入し、食用としては刺身のツマなどに用いられるが、これは石灰処理をして茹でると、藻体が青色になるので、とても紅藻類(紅色植物門 Rhodophyta 紅藻綱 Rhodophyceae)とは思われない。これは本種のフィコビリン(Phycobilin:藻類に分布するビリン色素(bilin:ビラン・胆汁色素)のサブ・グループで、タンパク質と共有結合してシアノバクテリア(cyanobacteria:かつての「藍藻(らんそう:blue-green algae)」のこと。藍色細菌)や真核藻類(灰色藻・紅藻・クリプト藻(遊泳性の単細胞藻類でクリプト藻綱 Cryptophyceae に属する淡産及び海産藻類の総称)に於ける光合成の主要な集光色素とし働いている色素である)系の赤い色素が変成した上に、葉緑素の色が同じく変成したものの、緑色としてそこに残ったためである(田中次郎著「日本の海藻 基本284」他に拠る))。そう、あの青いツマである。だが……(以下に続く)

「毒あり、往々、人を殺す」前に注したオゴノリ Gracilaria vermiculophylla に代表されるオゴノリ科Gracilariaceae には、本邦産だけでも、オオオゴノリGracilaria gigas・ミゾオゴノリGracilaria incurvata・フシクレオゴノリGracilaria salicornia・シラモGracilaria bursa-pastoris・カバノリGracilaria textorii・シンカイカバノリGracilaria sublittoralis等、実に二十種が知られており、普通に刺身のツマとして使用され、食べている(私も好んで総て食う)のであるが、実は、オゴノリと言えば、本邦ではオゴノリ類によると疑われる中毒が数例報告されている。しかも死亡例も複数あり、それらは総てのケースが血圧低下によるショック死で、全員、女性である。それらはみな、オゴノリ類の生食(記載によっては真水につけて刻むともある)によるもので、現在ではその中毒機序は一応、まずは――オゴノリの脂質に含まれるPGE2prostaglandin E2プロスタグランジンE2)摂取が行われ、次に、このPGE2を更に増殖させる酵素の摂取、即ち、刺身などの魚介類の摂取=魚介類に多く含まれる不飽和脂肪酸であるアラキドン酸(Arachidonic acid)の多量供給により、PGE2が摂取者の体内で過剰に生成されたのが原因ではないか――と疑われている。さらに、プロスタグランジン類には主に女性に対して特異的限定的薬理作用を持つものがあり、その子宮口軟化・子宮収縮作用から産婦人科で分娩促進剤として用いられており、更に血圧低下・血管拡張作用等を持つ。低血圧症であったり、若しくは、逆に、高血圧で降圧剤を服用していた女性に、そうした複合的条件が作用し、急激な低血圧症を惹起させたのではないかという推定がなされている。但し、市販されているオゴノリは青色を発色させるために石灰処理を行っており、その過程で以上のような急性薬理活性は完全に消失しているので、全く危険はない。しかし、そうした中毒原因の推理の一方で、その後にハワイで発生したオゴノリ食中毒の要因研究の過程では、その原因の一つにPGE2過剰等ではなく、アプリシアトキシンaplysiatoxinという消化管出血を引き起こす自然毒の存在が浮かび上がってきている。これは単細胞藻類である真正細菌 Bacteria 藍色植物門Cyanophyta の藍藻(シアノバクテリアCyanobacteria)が細胞内で生産する猛毒成分である。即ち、本邦の死亡例も、オゴノリに該当アプリシアトキシンを生成蓄積した藍藻がたまたま付着しており、オゴノリと一緒に摂取してしまった、とも考えられるのである。ネット上の情報を縦覧する限り、本中毒症状は、未だ十分な解明には至っていないという印象を受けるのである。それにしても、この益軒の記載がそうした極めて数少なかったはずの死亡例の江戸前・中期の記録警告であるとすれば、非常に貴重な記載と言えると私は思うのである。

「ウケウト」これは「おきうと」のことであろう。「おきゅうと」として、最近はスーパーでも普通に見かける全国区となった海藻加工食品であるが、元は福岡県福岡市を中心に食べられてきたもので、私の好物でもある。ウィキの「おきゅうと」から引くと、漢字では「お救人」「浮太」「沖独活」などとも表記されるそうで、『江戸時代の『筑前国産物帳』では「うけうと」という名で紹介されている』。『もともとは福岡市の博多地区で食べられていたようだが、その後福岡市全体に広がり、さらには九州各地に広がりつつある。福岡市内では、毎朝行商人が売り歩いていた』。『作り方は、原料のエゴノリ(「えご草」、「おきゅうと草」、博多では「真草」とも呼ばれる)』(紅色植物門紅藻綱イギス目イギス科エゴノリ属エゴノリ Campylaephora hypnaeoides前に出した紅藻綱オゴノリ目オゴノリ科オゴノリ属オゴノリ Gracilaria vermiculophylla と酷似した和名であるが、全くの別種であるので注意が必要)『と沖天(イギス、博多ではケボとも呼ばれる)』(前注参照)『やテングサ』(紅藻綱テングサ目テングサ科Gelidiaceae に属する海藻類の総称であるが、最も一般的な種はテングサ属マクサ Gelidium elegans)『をそれぞれ水洗いして天日干しする』(状態を見ながら、干しは一回から五回ほど繰り返したりする)。この時の歩留まりは七割程度であるが、『この工程を省くと』、『味が悪くなり』、『黒っぽい色の』「おきゅうと」になってしまう『ため、手間を惜しまない事が重要である(ただし、テングサは香りが薄れるので』、『自家用の場合は洗う回数を減らすことがある』)。『次に天日干しした』エゴノリと同じく天日干ししたイギス(或いはテングサ類)を、凡そ七対三から六対四の割合で混ぜて、よく叩く。『酢を加えて煮溶かしたものを裏ごしして小判型に成型し常温で固まらせる』。『博多では、小判型のおきゅうとをくるくると丸めたものが売られている』。『おきゅうとの良し悪しの見分け方として、あめ色をして、ひきがあるものは良く、逆に悪いものは、黒っぽいあめ色をしている。また、みどり色をしたものは、「おきゅうと」として売られているが』、全くエゴノリが『使われていないものもあり』、テングサ類が『主原料の場合は「ところてん」であり』、『「おきゅうと」ではない』(これは絶対で、舌触りも異なる)。『新潟県や長野県では』、エゴノリのみを『原料とした』殆んど「おきゅうと」と『製法が同じ「えご(いご)」「いごねり(えごねり)」が食べられている』。「おきゅうと」との『製法上の相違点は』、エゴノリを『天日干しせず、沖天を使用しないところである』。食べ方は、五ミリから一センチの『短冊状に切り、鰹節のうえに薬味としておろし生姜またはきざみねぎをのせ生醤油で食べるか、または芥子醤油やポン酢醤油やゴマ醤油などで食べるのが一般的である。もっぱら朝食の際に食べる』。この奇妙な『語源については諸説あり』、『沖で取れるウドという意味』・『キューと絞る手順があるから』・『享保の飢饉の際に作られ、「救人(きゅうと)」と呼ばれるようになった』・『漁師に製法を教わったため、「沖人」となった』、『などが挙げられる』とある。]


――2年8ヶ月飲み続けてきた
脳性痙攣薬から解放された。左内頸動脈の動脈瘤も問題なかった。――

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