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2018/05/28

毛利梅園「梅園介譜」石蜐(カメノテ)

 

Baienkaihukamenote

 

石蜐〔ホヤ カメノテ ワシノ爪 シイ〔筑紫。〕〕

   亀脚 紫𧉧

   紫※ 又 石脚

[やぶちゃん注:「※」=(旧くさかんむり)+({「帥」-「巾」-((へん)の一画目を除去)}を左右に配し、間に「昔」。]

「興化府志」

『石𧉧。一名、亀脚。一名、佛爪。一名、仙人掌。』。

 ヲニノテ〔佐州。〕。 セイ〔俗。〕。

 シユシガイ〔同。〕。

此物裏表とも此くのごとくにして、蛤のごとく、口を結ぶ。開けば、中に肉あり。頭は、さながら、亀のてのごとし。貝、うすし。「大和本草」に説くは、説のごとし。

[やぶちゃん注:画像は国立国会図書館デジタルコレクションの「梅園介譜」のこの画像からトリミングした(右下の「糀」、左下の「大和本草」「マカリ」「曲貝」は下部の貝の図のキャプションで本図(本種)とは無関係である)。さても私の大好きな、

節足動物門甲殻亜門顎脚綱鞘甲亜綱蔓脚下(フジツボ)綱下綱完胸上目有柄目ミョウガガイ亜目ミョウガガイ科カメノテ Capitulum mitella

である(一属一種)。謂わずもがなであるが、フジツボと極めて近縁で、荒っぽい言い方をすればエビの仲間であって「貝」ではない。私は既に、このキャプションにも出る貝原益軒の「大和本草」の「卷之十四 水蟲 介類 石蜐」(カメノテ)及び『栗本丹洲自筆「蛸水月烏賊類図巻」カメノテ』を電子化注しているので、カメノテの詳細はそれらを見て貰うとして贅言は附さない。末尾の「説くは、説のごとし」は何だか変だが、私にはそうしか読めない。いい訓読があれば御教授あられたい。

「石蜐」音ならば「せきこふ(せきこう)」又は「せきけふ(せききょう)」と読む。「蜐」は単漢字でもカメノテを指す。

「ホヤ」全くの別種で高等生物である脊索動物門尾索動物亜門ホヤ綱 Ascidiacea のホヤと同名であるが、これは恐らく、岩礁への着底生活をすること、鱗状の頭状部の左右相称に並ぶ大小の貝殻のように非常に硬い殻板(かくばん)や、柄部表面のやはり硬質の鱗片から、或いはホヤの仲間とか、子どもとか思ったものかも知れない(私はその錯誤は案外に腑に落ちる)。石蜐(カメノテ) 「本草」、介類にのせたり。又、龜脚と云ふ。和名、「カメノテ」と云ふ。「大和本草」にははっきりと『「ホヤ」と訓ずるは、あやまれり』と退けているにも拘わらず、梅園が記すのは、本草家としての、益軒とのある距離感が感じられて面白い。

「ワシノ爪」鷲の爪(つめ)。

「シイ」私は本種の異名として広汎に見られる「セイ」「セイガイ」の転訛であろうと思うのだが、「大和本草」で益軒は岩の隙間に『垂れて移り動かず。果(くわ)の木に付けるがごとし』とし、しかも『椎の實のたれたるにも似たり。故に、「シイ」と云ふ』としている。これは筑紫の地方名とし、益軒は福岡藩であるから、これは無視出来ない証言ではある。なお、「セイ」は「勢」で男根の古称である。この性的な異名も私にはすこぶる腑に落ちるものである。

「紫𧉧」「𧉧」は音「キョ・コ・キョウ・コウ」(現代仮名遣)。単漢字ではまず使用しない。「𧉧(きょふ)」はカマキリ或いはヒキガエルを意味し、「石𧉧」(せっきょう)」で本種カメノテを指す。尖った殻板から蟷螂の斧を連想したか。

「紫※」(「※」=(旧くさかんむり)+({「帥」-「巾」-((へん)の一画目を除去)}を左右に配し、間に「昔」)「※」の字は意味不詳。江淹(こうえん:中国南北朝時代の文人)の「石蜐」にはカメノテを一名「紫𧄤」とする。何となく、似ているが、この字も単漢字では意味不明。

「興化府志」明の呂一静らによって撰せられた福建省の興化府地方の地誌。台湾の対岸広域。(グーグル・マップ・データ)。

「ヲニノテ」鬼の手。

「佐州」佐渡国。佐渡では現在も一部地域で本種を食すのは普通。私は特異的に四度も佐渡に行ったが、残念ながら、出逢えていない。二度行ったイタリアでもポップコーン見たようにして食べると聴いていたから、かなり執拗に探したのだが、やはりお目にかかれなかった。私が最初の食べたのは下田でであった。

「セイ」前に注した「勢」。

「シユシガイ」不詳。手指貝か、或いは、先の「大和本草」に出る木の実で種子貝か。

「蛤」ハマグリではなく、広義の二枚貝のことを指しており、されば「がふ(ごう)」と読んでおくのが適切であろう。]

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