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2018/07/11

諸國里人談卷之三 狐火玉

 

    ○狐火玉(きつねのひだま)

元祿のはじめの頃、上京(かみぎやう)の人、東川(ひがしがわ[やぶちゃん注:ママ。])へ夜川(よ〔かは)〕に出〔いで〕て、網を打(うち)ける。

加茂の邊(へん)にて、狐火(きつねび)、手もとへ來りしかば、とりあへず、網を打かけゝれば、一聲(ひとこへ[やぶちゃん注:ママ。])鳴(ない)て、去りぬ。

網の中に、光るもの、とゞまる。

玉のごとくに、その光り、赫々(かく〔かく〕)たり。

家に持歸り、翌日(あけのひ)、これを見れば、その色、うす白く、鷄(とり)の卵のごとし。

晝は光(ひかり)なし。夜(よ)に入れば、輝(かゝや)けり。

夜行(やかう)の折から、挑灯にこれをうつせば、蠟燭より明らか也。

「我(わが)重宝。」

とよろこび、祕藏してけり。

ある時、又、夜川に出けるが、かの玉を紗(しや)の袋に入〔いれ〕、肘(ひぢ)にかけて網を打しが、大さ、一間ばかりの、大石とおぼしきもの、川へ、

「ざんぶ。」

と落(おち)て、川水、十方(じつぽう)へ、はねたり。

「これはいかに。」

と驚く所に、玉の光、消(きへ[やぶちゃん注:ママ。])たり。

袋をさぐれば、ふくろ、破れて、玉、なし。

二、三間むかふに、光りあり。

「扨はとりかへさる。」

と口おしく、網を擔〔になひ〕て追行(おひゆき)しが、終にとり得ずして、むなしく歸りぬ。

[やぶちゃん注:直接話法が多いので、特異的に改行した。

「元祿のはじめ」元禄は一六八八年から一七〇四年までの十七年。

「東川」京の東を流れる賀茂川の異称。対語は西を流れる桂川の「西川」。

「夜川」は「夜川網漁」(よかわあみりょう:現代仮名遣)即ち、夜の川漁のこと。但し、狭義には「鵜飼い」をする川に於いて夜に行う漁に用いる語であるらしい。

「加茂の邊」より山が近い上賀茂神社と採っておく。別に、当時の下賀茂神社でも草木深くはあるから、それを外すものではない。

「一間」約一メートル八十二センチ。

「二、三間」三メートル六十四センチから五メートル四十五センチほど。]

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