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2019/01/17

萩原朔太郞 靑猫(初版・正規表現版) 艶めける靈魂

 

 

 

  

 

 

 

  艶めける靈魂

 

そよげる

やはらかい草の影から

花やかに いきいきと目をさましてくる情慾

燃えあがるやうに

たのしく

うれしく

こころ春めく春の感情。

 

つかれた生涯(らいふ)のあぢない晝にも

孤獨の暗い部屋の中にも

しぜんとやはらかく そよげる窓の光はきたる

いきほひたかぶる機能の昂進

そは世に艶めけるおもひのかぎりだ

勇氣にあふれる希望のすべてだ。

 

ああこのわかやげる思ひこそは

春日にとける雪のやうだ

やさしく芽ぐみ

しぜんに感ずるぬくみのやうだ

たのしく

うれしく

こころときめく性の躍動。

 

とざせる思想の底を割つて

しづかにながれるいのちをかんずる

あまりに憂鬱のなやみふかい沼の底から

わづかに水のぬくめるやうに

さしぐみ

はぢらひ

ためらひきたれる春をかんずる。

 

[やぶちゃん注:老婆心乍ら、「艶めける靈魂」の「艶めける」は当然の如く今までと同様、「なまめける」である。大正一〇(一九一一)年二月新潮社刊「現代詩人選集」初出。初出は私は有意な異同を感じない。但し、最後に下方インデントのポイント落ちで『――島崎藤村氏に呈す――』という謹呈辞が附されてある。「定本靑猫」は再録しない。

「あじない」は近世から使われ出した語で「味無い」で「あじけない」と同義。]

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