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2019/02/14

蒲原有明 有明集(初版・正規表現版) 晝のおもひ

  晝のおもひ

 

晝(ひる)の思(おもひ)の織(お)り出(い)でし紋(あや)のひときれ、

歡樂(くわんらく)の緯(ぬき)に、苦悶(くもん)の經(たて)の絲(いと)、

縒(よ)れて亂(みだ)るる條(すじ)の色(いろ)、あるは叫(さけ)びぬ、

あるはまた醉(ゑ)ひ痴(し)れてこそ眩(めくる)めけ。

 

今(いま)、夜(よる)の膝(ひざ)、やすらひの燈(ともし)の下(もと)に、

卷(ま)き返(かへ)し、その織(お)りざまをつくづくと

見(み)れば朧(おぼろ)に危(あやふ)げに、眠(ねぶ)れる獸(けもの)、

倦(う)める鳥(とり)――物(もの)の象(かたち)の異(こと)やうに。

 

裁(た)ちて縫(ぬ)はさむかこの巾(きれ)を、宴(うたげ)のをりの

身(み)の飾(かざり)、ふさはじそれも、終(つひ)の日(ひ)の

棺衣(かけぎぬ)の料(れう)、それもはた物狂(ものぐる)ほしや。

 

生(せい)にはあはれ死(し)の衣(ころも)、死(し)にはよ生(せい)の

空炷(そらだき)の匂(にほ)ひをとめて、現(うつつ)なく、

夢(ゆめ)はゆらぎぬ、柔(やはら)かき火影(ほかげ)の波(なみ)に。

 

[やぶちゃん注:目次」で判る通り、ここまでが、本詩集では「豹の血(小曲八篇)」とパート題された詩篇群である。八篇総てが四連構成の、七五七・五七五調交互調のソネット(Sonnet:十四行詩)であり、ここまでは、標題を含めて見開きで各一篇が読み終える、非常に読み易く心地よい版組となっている。

「空炷(そらだき)」「空薰き」とも書く。「炷(た)く」は別表記でも判る通り、「香をたく」の意に用いる。前もってたくか、別室でたくかなどして、人に知られぬよう、どこからともなく薫ってくるように香をたきくゆらすこと。或いは、どこからともなく匂ってくる良い香りを指す、平安以来の古語である。]

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