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2019/02/14

蒲原有明 有明集(初版・正規表現版) 蠱の露

 

  蠱 の 露

 

文目(あやめ)もわかぬ夜(よる)の室(むろ)に濃(こ)き愁(うれ)ひもて

釀(か)みにたる酒(さけ)にしあれば、唇(くちびる)に

そのささやきを日(ひ)もすがら味(あぢは)ひ知(し)りぬ、

わが君(きみ)よ、間(たえま)もあらぬ誄辭(しぬびごと)。

 

何(なん)の痛(いた)みか柔(やはら)かきこの醉(ゑひ)にしも

まさらむや、嘆(なげ)き思(おも)ふは何(なに)なると

占問(うらど)ひますな、夢(ゆめ)の夢(ゆめ)、君がみ苑(その)に

ありもせば、こは蜉蝣(かげろふ)のかげのかげ。

 

見(み)おこせたまへ盞(さかづき)を、げに美(うる)はしき

おん眼(め)こそ翅(つばさ)うるめる乙鳥(つばくらめ)、

透影(すいかげ)にして浮(うか)び添(そ)ひ映(うつ)り徹(とほ)りぬ、

 

いみじさよ、濁(にご)れる酒(さけ)も今(いま)はとて

輝(かゞや)き出(い)づれ、うらうへに、靈(たま)の欲(ほ)りする

蠱(まじ)の露(つゆ)。――いざ諸共(もろとも)に乾(ほ)してあらなむ。

 

[やぶちゃん注:「蠱」(まじ)とは、「蠱じ物」の略(「厭魅」とも書く)。第一義では「呪(まじな)いをして対象のものを呪(のろ)うことやその邪悪な呪詛や修法を指すが、ここは、二義的な広義の「人を惑わすもの・魔性のもの」の謂いである。

「誄辭(しぬびごと)」「偲(しぬ)び言(ごと)」で、上代には「しのひこと」と清音であった。死者の生前の功徳を讃えて哀悼の意を述べる言葉。「誄詞(るいし)」。

「蜉蝣(かげろふ)」かく普通に一般人が用いた場合は真正の「カゲロウ」類である、

 

有翅亜綱旧翅下綱 Ephemeropteroidea 上目蜉蝣(カゲロウ)目 Ephemeroptera の仲間

に、その成虫の形状に非常によく似ている、真正でない「蜉蝣」である、

有翅昆虫亜綱内翅上目脈翅(アミメカゲロウ)目脈翅亜(アミメカゲロウ)亜目クサカゲロウ科 Chrysopidae に属するクサカゲロウ類

及び、

脈翅(アミメカゲロウ)目ウスバカゲロウ上科ウスバカゲロウ科 Myrmeleontidae に属するウスバカゲロウ類

を加えたものを指す。この「カゲロウ」の真正・非真正の問題は、私はさんざんいろいろなところで注してきたので、ここでは繰り返さない。未読の方は、最も最近にその決定版として詳細に注した、「生物學講話 丘淺次郎 第十九章 個體の死(4) 三 壽命」の私の冒頭注『「かげろふ」の幼蟲は二年もかかつて水中で生長する』以下をお読み戴きたい。

「うらうへ」「杪上」。梢やそこの葉の上。]

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