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2019/03/18

柳田國男 山島民譚集 原文・訓読・附オリジナル注「河童駒引」(36) 「河童の神異」(2)

 

《原文》

 事玆ニ及ビテハ河童ハ到底動物學上ノ問題ニ非ザルナリ。草木言問フ神代ナラバイザ知ラズ、今時河童ガ人間ト會話ヲ爲シ、モシクハ人ヲ欺キ、或ハソコニ居リナガラ姿ヲ見セズナドト云フガ如キ、是レ所謂靈異ニ非ズシテ何ゾヤナリ。【人ヲ化カス動物】我々祖父母ノ頃マデハ、狐狸貉ノ類ハ獸ニシテ兼ネテ人ヲ魅スルノ力アルコトヲ許サレタリシモ、仔細ニ考慮ヲ加フレバ、此ハ他ノ一面ニ動物ヲ神ニ齋クダケノ覺悟アリテ始メテ現ハレ來ルべキ思想ナリ。木ノ神モ蟲ノ神モ皆同ジコトニテ、拜スレバコソ祟ルト云フコトモアルナレ。語ヲ換ヘテ申サバ、惡ノ力モ世ノ進ムト共ニ漸ク衰ヘ行クべキモノナリ。此古風ナル信仰ノ斷シテヨリ後ハ、傳ノミガ其跡ニ取殘サレテ只ノ小トシテ存在シ、假令最初ニ之ヲ語リシ人ハ如何ニ眞面目ナリキトスルモ、後世ニ於テハ單ニ興味ノミヲ以テ之ヲ語リ傳ヘ、又興味ヲ以テ自由勝手ニ之ヲ變形シ行クコトモ無シトハ云フべカラズ。故ニ諸國ノ澤山ノ河童談ヲ比較硏究スルニ非ザレバ、何ノ爲ニ斯ル話ガ發生シタルカヲ理解スルコト能ハザルハ當然ノ事ナリトス。

 

《訓読》

 事、玆(ここ)に及びては、河童は、到底、動物學上の問題に非ざるなり。草木(くさき)言問(こととふ)ふ神代(かみよ)ならばいざ知らず、今時、河童が人間と會話を爲し、もしくは人を欺き、或いは、そこに居(を)りながら、姿を見せずなどと云ふがごとき、是れ、所謂、靈異(りやうい)に非ずして何ぞやなり。【人を化かす動物】我々祖父母の頃までは、狐・狸・貉(むじな)の類は獸にして兼ねて人を魅(み)するの力あることを許されたりしも、仔細に考慮を加ふれば、此れは他の一面に動物を神に齋(いつ)くだけの覺悟ありて、始めて現はれ來あるべき思想なり。木の神も、蟲の神も、皆、同じことにて、拜すればこそ、祟ると云ふこともあるなれ。語を換へて申さば、惡の力も世の進むと共に漸く衰へ行くべきものなり。此の古風なる信仰の斷してより後は、傳のみが其の跡に取り殘されて只だの小として存在し、假令(たとひ)最初に之れを語りし人は如何に眞面目なりきとするも、後世に於いては單に興味のみを以つて之れを語り傳へ、又、興味を以つて自由勝手に之れを變形し行くことも無しとは云ふべからず。故に諸國の澤山の河童談を比較硏究するに非ざれば、何の爲に斯(かか)る話が發生したるかを理解すること能はざるは、當然の事なりとす。

[やぶちゃん注:「狐」脊椎動物亜門哺乳綱食肉目イヌ科キツネ属アカギツネ亜種ホンドギツネ Vulpes vulpes japonica

「狸」イヌ科タヌキ属タヌキ亜種ホンドダヌキNyctereutes procyonoides viverrinus

「貉」「狐」「狸」と差別化する場合は、食肉目イヌ型亜目クマ下目イタチ小目イタチ上科イタチ科アナグマ属ニホンアナグマ Meles anakuma を指す。食肉目ネコ型亜目ジャコウネコ科パームシベット亜科ハクビシン属ハクビシン Paguma larvata を「貉」に含める識者も多いが、私はハクビシンは近代以降の人為的外来侵入種と捉えており、ここでの「むじな」には含めて考えない。

「齋(いつ)く」大切に神的存在として祀る。]

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