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2019/04/25

和漢三才圖會卷第三十八 獸類 胡獱(とど) (トド)

Todo

 

 

 

とゝ   海驢【天木集】

     【別有海驢與

      此不同】

胡獱

   【胡者夷之名獱

    者大獺之名也】

     【俗云登土】

[やぶちゃん注:「獱」は底本では、総て、(つくり)が「濵」の(つくり)であるが、正字で示した。「獺」も今までと同じく正字で示した。]

 

△按胡獱松前海中有之形色氣味共似膃肭而大也

 但以齒辨之【膃肭下齒二行胡獱齒如尋常】好眠常寢於水上亦奇也

 本草所謂海獺【出於前】一類乎蓋海獺膃肭阿茂悉平胡

 獱之四種同類異物也特以膃肭人賞之故以胡獱僞

 充膃肭獸

               衣笠内大臣

  夫木わが戀はとどのねなかれさめやらぬ夢なりなから絕えやはてなん

 

 

とゞ   海驢【「天木集」。】

     【別に「海驢」有る〔も〕、

      此れと同じからず。】

胡獱

   【「胡」とは「夷」の名なり。「獱」とは

    大獺〔(おほかはうそ)〕の名なり。】

     【俗に云ふ、「登土」。】

 

△按ずるに、胡獱、松前の海中に之れ有り。形・色・氣味、共に、膃肭〔(をつとつ)〕[やぶちゃん注:オットセイ。]に似て大なり。但し、齒を以つて、之れを辨ず【膃肭は、下の齒、二行〔(ふたくだり)〕、胡獱は齒は尋-常(つね)のごとし。】好んで眠る。常に水上に寢るも亦、奇なり。「本草」に謂ふ所の「海獺〔(うみうそ)〕」【前に出づ。】、一類か。蓋し、海獺(うみうそ)・膃肭(をつとつ)・阿茂悉平(あおもしつぺい)・胡獱(とど)の四種、同類異物なり。特に膃肭を以つて、人、之れを賞す。故に、胡獱を以つて僞り、膃肭獸に充〔(あ)〕つ。

               衣笠〔の〕内大臣

 「夫木」

   わが戀はとどのねなかがれさめやらぬ

      夢なりながら絕えやはてなん

[やぶちゃん注:一属一種の食肉目アシカ科トド属トド Eumetopias jubatusウィキの「トド」によれば、「トド」という和名は、アイヌ語の「トント」に由来するもので、『これは「無毛の毛皮」つまり「なめし革」を意味する』。『トドそのものは、アイヌ語で』「エタシペ」と『呼ばれる。日本各地にトド岩という地名も散見されるが、過去においては日本ではトドとアシカ(ニホンアシカ)は必ずしも区別されておらず、アシカをトドと呼ぶ事も度々みられ、本州以南のトド岩の主はアシカであったようである』とある。北太平洋・オホーツク海・日本海(朝鮮半島北部から北海道島牧郡以北)・ベーリング海に分布し、『繁殖地は千島列島やアリューシャン列島』から『カムチャツカ半島東部、カリフォルニア州にかけての地域に点在する』。『日本には』十月から翌年五月に『千島列島の個体群が、北海道沿岸域(礼文島』から『積丹岬にかけて、根室海峡など)へ回遊する』。最大全長は三メートル三十センチメートルで、体重は♂で一トンにも達するが、♀は三百五キログラムで極端な性的二型を示す。アシカ科では最大種。『背面の毛衣は淡黄褐色、腹面の毛衣は黒褐色』、『四肢(鰭)は黒く、体毛で被われない』。『出産直後の幼獣は全長』一メートルで、体重は十八~二十二キログラム、♂の『成獣は額が隆起し、後頭部の体毛が伸長し』て、鬣(たてがみ)状を呈し、『種小名 jubatus は「たてがみがある」の意』である。『上半身が肥大化する』。『海岸から』三十『キロメートル以内の海域に生息』し、『昼間は岩礁海岸で休む』。『食性は動物食で、魚類(カサゴ、シシャモ、スケトウダラ、ヒラメ、ホッケ、マダラ、メバルなど)、軟体動物(イカ、ミズダコ)などを食べる』。五~七月に『なると』、♂が『上陸して縄張りを形成し、数頭から数十頭の』♀と『ハーレムを形成する』。『主に』六『月に』、一『回に』一『頭の幼獣を産む』。『授乳期間は』一~二年で、♂は生後三~四年、♀は生後四~五年で『性成熟する』とある。

「天木集」「夫木集」の誤字。何度も出、本項の最後にも出している「夫木和歌抄」のこと。

「別に「海驢」有る〔も〕、此れと同じからず」小学館「日本国語大辞典」では、これに「あしか」と当て訓し、一番目に狭義のアシカ(ニホンアシカ)に当て、他に「うみおそ」「うみうそ」「みち」という呼称を示す。しかし、二番目に、鰭脚目アシカ科の哺乳類の総称とし、トド・オットセイなども含まれる、としている。後者は多分に近世以降の意義規定のように思われるものの、寺島良安がここを敢えて「とど」としたのは、江戸初期に於いて、「海驢」を「とど」と読むのが普通の一解釈としてあったことを示している。但し、最後の注も必ず参照されたい。

「胡」「夷」孰れも国境外の未開地の意。

「大獺〔(おほかはうそ)〕」先行する「獸類 獺(かはうそ)」には「大獺」はない。カワウソの大型個体と採っておく。

「海獺〔(うみうそ)〕」「【前に出づ。】」先行する「獸類 海獺(うみうそ)」を見よ。そこの注で考証した通り、アシカ類或いは、本邦産ならば、ニホンアシカに同定した。

「阿茂悉平(あおもしつぺい)」前の「獸類 膃肭臍(をつとせい)」に膃肭臍の『小さき者を「阿毛悉乎(あもしつぺい)」と名づく』とある。キタオットセイの若年個体と採る。

「同類異物なり」以上から、必ずしも異物という良安の見解には賛同しない。

「特に膃肭を以つて、人、之れを賞す」ここは肉ではなく、毛革を指していよう。

「衣笠〔の〕内大臣」「夫木」「わが戀はとどのねなかがれさめやらぬ夢なりながら絕えやはてなん」衣笠(藤原)家良(建久三(一一九二)年~文永元(一二六四)年)は鎌倉時代の公卿で歌人。正二位・内大臣に至った。藤原定家に師事し、「万代和歌集」を藤原光俊と共撰し、「続古今和歌集」の撰者にも加わり、「新勅撰和歌集」以下の勅撰集に百十八首が入集している。但し、「夫木和歌抄」のそれは、「日文研」の「和歌データベース」では、巻三十六の「雑十八」にある(同ページの通し番号17063歌)、

 わかこひはみちのねなかれさめやらぬゆめなりなからたえやはてなむ

で、これは、

 我が戀は海驢(みち)の寢流れ覺めやらぬ夢なりながらえや果てなむ

であって「とど」とは読んでいない。この「みち」に後世、「海驢」を当てたものが流布し(小学館「日本国語大辞典」の「馬驢」に引かれた本歌がまさにそうなっている)、それを良安は「とど」と読んだのである。

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