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2019/04/17

戀の使 伊良子清白 (附・初出形「柳の芽」)

 

戀 の 使

 

日の午(ひる)ごとに尾を擴げ

步む孔雀の盛なる

戀は歷史に殘りたり

われは小さき地上の芽

 

垣根に生ふる鳳仙花

節(ふし)くれ立ちし莖よりぞ

爪紅(つまくれなゐ)は咲きにける

戀はすべてを女王とす

 

わがこひ小さく紅(べに)を帶び

ふふめる程のをさなさに

戀の使は箭(や)を番(つが)へ

兵(ひやう)と射てこそ立ちにけれ

 

[やぶちゃん注:明治三四(一九〇一)年十月発行の『明星』初出。初出標題は「柳の芽」であるが、初出形から大きな改変が行われている。以下に初出形を示す。

   *

 

柳 の 芽

 

甘き泉に醉ひぬらん

若き泉に醉ひぬらん

醉ふ戀ならば美しく

瞳の色は輝かむ

 

日の午ごとに尾を擴げ

步む孔雀の盛なる

戀は歷史に殘りたり

われは小さき柳の芽

 

垣根に植ゑし鳳仙花

節くれだちし垂よりぞ

匂へる花は咲きにける

戀はすべてを女王とす

 

衆落は森に隱るれど

胸におほはん羽もなき

人の戀こそあらはなれ

風もて冷やす魔やあらむ

 

戀は苦しき戀にして

卽ち物の極みなる

彼方の空を仰ぎたる

わが目はにぶく曇りたり

 

   *

 なお、この年に与謝野鉄幹(鉄幹は不倫)と晶子は正式に結婚するが、先立つ三月に二人を誹謗中傷する怪文書「文壇照魔鏡」なるものが横浜から出回り、小島烏水・山崎紫紅とともに伊良子清白がその作者ではないか、というあらぬ嫌疑がかけられていた(これは前年の八月に鉄幹と晶子の二人が出逢い、不倫恋愛(鉄幹には妻子があった)としてスキャンダル化してゆくに従い、清白は鉄幹を離れたことと関係しているように思われる)。その結果、『明星』への寄稿は同年八月・九月とあったものの、この十月を以って終り、以降は絶え、鉄幹・晶子とは絶縁状態となってしまう。それは四年後の明治三八(一九〇五)年十一月の烏水・河井酔茗との与謝野邸訪問で解けまで続いた(底本全集年譜に拠る)。]

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