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« 老年 伊良子清白 | トップページ | 和漢三才圖會卷第三十八 獸類 海鹿(あしか) (前と同じくアシカ類・ニホンアシカ) »

2019/04/24

和漢三才圖會卷第三十八 獸類 海獺(うみうそ) (アシカ類・ニホンアシカ)

Umiuso

 

 

うみうそ  川獺海獺山獺

       之三種有之

海獺

    【卽是此云海鹿也

     重出于後】

[やぶちゃん注:良安は「獺」の(つくり)を総て「頼」とするが、総て正字で表記した。]

 

本綱海獺生海中似獺而大如犬脚下有皮如胼拇毛着

水不濡頭如馬自腰以下似蝙蝠其毛似獺大者五六十

斤肉可烹食又有海牛海馬海驢等皮毛在陸地皆候風

潮猶能毛起

△按海獺處處有海中狀獸與魚相半者其大者六七尺

 頭靣至肩類牝鹿而耳小眼大有利齒背身毛細密而

 短微赤土器色美兩䰇末黒似手是以下腹大肥尻

 窄有尾長二寸許似龜尾而黒夾尾有䰇黒色縱有五

 㽟近耑前一寸許處有黒刺爪欲立行則開擴之以爲

 足出肩以上於水靣則似獸也欲潜游則窄伸之如魚

 尾然

山獺

 一名挿翹出廣州其性淫毒山中有此物凡牝

 獸皆避去其陰莖以爲補助要藥然不載形狀

[やぶちゃん注:「山獺」の前には通常附録項の場合に必ず附帯する縦罫がなく、「海獺」本文から直に繋がっている。また、以上の二行は底本では「山獺」の大項目の下に一字下げ二行で記されてある。]

 

 

うみうそ  川獺(かはうそ)・海獺・

       山獺の三種、之れ、有り。

海獺

    【卽ち、是れ、此〔(か)く〕

     云ふ、「海鹿〔(あしか)〕」なり。

     重ねて後に出づ。】

[やぶちゃん注:「海鹿」は次項で「あしか」とルビする。ここの割注も無論、良安の注意喚起のそれで、次の「海鹿」では、その冒頭で良安は、『海鹿卽海獺也(海鹿(あしか)は、卽ち、海獺(うみうそ)なり』として、本種と同一であると断じているのである。]

 

「本綱」、海獺、海中に生ず。獺に似て、大いさ、犬のごとし。脚の下に、皮、有り、胼拇〔(べんぼ)〕[やぶちゃん注:胼胝(たこ)のような親指のようなものの謂い。]のごとし。毛、水に着きて〔も〕濡(ぬ)れず。頭は馬のごとく、腰より以下は蝙蝠(かはもり)に似たり。其の毛、獺に似る。大なる者、五、六十斤[やぶちゃん注:明代の一斤は五百九十六・八二グラムであるから、三十キログラム弱から三十六キログラム弱。]。肉、烹て食ふべし。又、海牛・海馬・海驢等、有り。皮毛、陸地に在りて、皆、風潮〔(ふうてう)〕を候〔(うかが)〕ふ。猶ほ、能く、毛、起つがごとし。

△按ずるに、海獺、處處、海中に有り。狀、獸と魚と相ひ半ばする者〔なり〕。其の大なる者、六、七尺。頭・靣〔より〕肩に至〔つては〕牝鹿(めじか)に類して、耳、小さく、眼、大きく、利〔(と)き〕齒、有り。背身の毛、細密にして短くして微赤、土器(かはらけ)色にして美(うつく)し。兩の䰇(ひれ)[やぶちゃん注:「鬐」「鰭」の異体字。]の末、黒く、手に似る。是れより以下、腹、大きに肥え、尻、窄(すぼ)く、尾、有り〔て〕長さ二寸許り、龜の尾に似て黒し。尾を夾(はさ)んで、䰇、有り、黒色。縱(たて)に五つの㽟うね)有り、〔その〕耑(はし)[やぶちゃん注:端。]に近く、前一寸許りの處〔に〕黒〔き〕刺爪〔(きよくさう)〕有り。立行せんと欲すれば、則ち、之れを開(ひら)き、擴(ひろ)げて、以つて足と爲す。肩以上を水靣に出だす〔によつて〕、則ち、獸に似たり。潜游せんと欲すれば、則ち、之れを窄〔(すぼ)く〕伸ばして、魚の尾のごとく〔して〕然り。

山獺(やまうそ)

一名、「挿翹〔(さうぎやう)〕」。廣州[やぶちゃん注:広東・広西地方。]に出づ。其の性、淫毒なり。山中に此の物有れば、凡そ、牝〔(めす)の〕獸、皆、避け去る。其の陰莖、以つて補助の要藥と爲〔(な)〕す。然れども、形狀を載せず。

[やぶちゃん注:食肉目イヌ亜目鰭脚下目アシカ科アシカ亜科 Otariinae のアシカ類。漢字では現行「海驢」「葦鹿」等と表記するが、ここ以降、海棲哺乳類に入ると、呼称や良安の比定同定にもブレが生ずる。しかしこれは今でも同じなのであり、以下に引くウィキの「アシカ」の冒頭からして既に、上記の分類群をアシカ類と示しながらも、但し、『現状』、「アシカ」と呼ぶ生物対象(群)『の範囲は文脈により』、『揺らぎがある。最も広義にはアシカ科』科 Otariidae『の総称であるが、アシカ科、アシカ科には一般的にオットセイ』(オットセイ亜科 Arctocephalinae)・『トド』(アシカ科トド属トド Eumetopias jubatus)・『オタリア』(アシカ亜科オタリア属オタリア Otaria flavescens)『も含まれ、これ等(特にオットセイ)を別扱いとする場合もある。さらに狭義の意味で、アシカ属』一『属を意味することもある』とあるからである。以下、「定義」の項。『アシカの定義には揺らぎがあり、狭義』のそれ『から順に』、『次のようになる』。

 『歴史的な資料(たとえば』「日本後紀」や本「和漢三才図会」)『においてアシカ(あしか、海驢、葦鹿)に言及している場合』、それは、ほぼ例外なく、既に日本人が絶滅させてしまったと考えられるアシカ科アシカ属ニホンアシカ Zalophus japonicusであり、『これがこの言葉の原義ということになる』。

 次のレベルでは、『アシカ科アシカ属の総称』で、これには絶滅種である『ニホンアシカ』、及び北アメリカ大陸西岸を生息域とする『カリフォルニアアシカ』(アシカ属カリフォルニアアシカ Zalophus californianus)と、ガラパゴス諸島の固有種である『ガラパゴスアシカ』(Zalophus wollebaeki)の三『種が属する。なお、アシカ属に』一『種か』二『種しか認めない説もあり、それらの説に則る場合は「アシカとはアシカ科の』一『種のことである」や「アシカとはニホンアシカとカリフォルニアアシカの』二『種の総称である」(カリフォルニアアシカにガラパゴスアシカを含んでいる)と表現されることもあるが、意味するところは同じである』。

 その次のレベルが、非生物学的な、『和名に「〜アシカ」と付く種の総称』で、『アシカ属に加え、オーストラリアアシカ』(アシカ亜科Neophoca属オーストラリアアシカNeophoca cinerea)『とニュージーランドアシカ』(アシカ科ニュージーランドアシカ属ニュージーランドアシカ Phocarctos hookeri)『を含む。ただし』、これは『分類学的なグループでも』、『系統学的なグループでもない』。

 さらに汎称とされるのが、『アシカ科アシカ亜科の総称』に加えて、『オタリアとトドを含』めてしまうものである。日本人には違和感がある群だが、『英語の「シーライオン sea lion」はほぼこの意味である。ただし、アシカ亜科は単系統ではなく』、『系統学的には否定されたグループであり』、これらは『「長い体毛を持たない」以外に顕著な共通点はない』、古典的博物学的呼称と言える。

 その上のタクソンで『アシカ科の総称』となると、『さらにオットセイ』が含まれることになる。

なお、『セイウチ』(鰭脚下目セイウチ科セイウチ属セイウチ Odobenus rosmarus)『やアザラシ』(鰭脚下目アザラシ科 Phocidae)『はアシカ科にも含まれず』、『別科である。そのため、「アシカとアザラシの違い」について語られるとき、アシカとはアシカ科のことである。いっぽう、「アシカとオットセイの違い」について語られるときは、アシカとはアシカ亜科か、(アシカ亜科とオットセイ亜科の違いとして語れることはほとんどないので)もっと狭くアシカ属のことである』とある。ともかくも、良安の言っている「あしか」とは、『北海道を除く』、『日本本土近海に生息するアシカ類は、絶滅したと見られるニホンアシカのみであり、この語も本来はニホンアシカを指したものである』以上、ニホンアシカ Zalophus japonicusを限定的に指すと考えねばならない。『「あしか」の語源は「葦鹿」で「葦(アシ)の生えているところにいるシカ」の意味であるという。古くは「海(あま)鹿」説もあったが、アクセントから否定されている』。『奈良時代には「みち」と呼ばれていた。他に異名として「うみおそ(うみうそ)」「うみかぶろ」がある。うみおそは海にいるカワウソ、うみかぶろは海にいる禿の意である』。『佐渡島ではこの「うみかぶろ」(海禿)の名で妖怪視されており、両津港近辺の海でよく人を騙したという伝承がある』とある。但し、良安の引用する「本草綱目」の場合は事態が変わってくる。それは、記載内容から、まず明らかに複数の海棲哺乳類を一緒くたにして語り、しかもそれらを一種、彼ら本草学者の悪癖である〈ためにする分類〉によって、恣意的にして致命的に再分類し、別な漢名を与えてしまっているからである。私はそこまで踏み込む気持ちは全く、ない。それは中国の博物史家がやるべき仕事であるからである。

「川獺(かはうそ)」既出既注

「山獺」これは川・海とに「獺」(邦語なら「をそ」「おそ」)が居るのだから、山にも居なくてはならないという、何が何でも分類して対応させねば気が済まない中国古来の五行思想の悪しき部分が生んだ幻獣としか思えない。なお、Q&Aサイトの回答に、朝鮮語にはテン(朝鮮半島に棲息しているとならば、食肉目イヌ亜目イタチ科イタチ亜科テン属テン亜種コウライテン Martes melampus coreensis か)の類又はタヌキ(イヌ亜目イヌ科タヌキ属タヌキ Nyctereutes procyonoides)を指す漢風の名称に、「山獺(サンダル)」という単語があるとあった。

「海牛」哺乳綱アフリカ獣上目海牛(ジュゴン)目Sirenia のジュゴン科 Dugongidae・マナティー科 Trichechidae の属するカイギュウ類。特にヒトが滅ぼしてしまった巨大海棲哺乳類であったジュゴン科†ステラーカイギュウ亜科ステラーカイギュウ属ステラーカイギュウ Hydrodamalis gigas を挙げずにはいられない。繰り返すのはやめるが、例えば「獸類 犛牛(らいぎう)(ヤク)」の私の注の「海牛」の部分を読まれたい。

「海馬」タツノオトシゴの異名は問題外として、これは「セイウチ」・「トド」・「アシカ科のアシカ類(上記の通り、オットセイ・トド等を含み、アザラシやセイウチ等を含まない)」・上記の二番目の「アシカ」類・最も狭義の「ニホンアシカ」の異名であったし、ジュゴンを誤ってかく呼称した事例もある。

「海驢」調べて見たが、前の「海馬」とほぼ同じで差別化する気にならなかった。

「皮毛、陸地に在りて、皆、風潮〔(ふうてう)〕を候〔(うかが)〕ふ。猶ほ、能く、毛、起つがごとし」東洋文庫訳では、『皮毛は陸地にあってはいずれも風潮をうかがって』、『よく毛が起(た)つ』とある。「風潮」は風と潮(しお)、或いは、風によって起こる潮の流れを指す。海の生き物だったから、共感呪術で陸にあってもそれを感じてそうした動きを成すという五行思想的謂いか。

「其の陰莖、以つて補助の要藥と爲〔(な)〕す」先のQ&Aサイトの答えに、陰茎や『骨水獺を薬にするとの』ことだが、『日本野生生物研究センターの江戸時代の産物帳から過去の動物の分布を研究した資料には山獺は出てい』ないともあった。実在生物種も比定し得ず、その陰茎の生薬ときた日にゃ、流石に調べる気にもならん。因みに、薬になる陰茎とすると、陰茎骨である可能性が高いように思われるのだが(まあ、海綿体組織でも生薬にはなろうが)、ウィキの「陰茎骨」によれば、『陰茎骨(いんけいこつ)とは哺乳類の陰茎の亀頭内部に存在する骨である。バキュラム(baculum)とも呼ぶ』。『陰茎骨を持つのはサル目』(=霊長目 Primates)『(ヒト』(霊長目直鼻猿亜目狭鼻下目ヒト上科ヒト科ヒト亜科ヒト族ヒト亜族ヒト属ヒト Homo sapiens)・『クモザル属』(直鼻猿亜目真猿下目広鼻小目クモザル科クモザル属 Ateles)・『ウーリーモンキー属』(クモザル科クモザル亜科ウーリーモンキー属 Lagothrix)・『メガネザル属』(直鼻猿亜目メガネザル下目メガネザル科メガネザル属 Tarsius)『などを除く)、ネコ目』(=食肉目 Carnivora)『(ジャコウネコ科』(ネコ型亜目ジャコウネコ科 Viverridae)『の一部やハイエナ科』(ネコ亜目ハイエナ科 Hyaenidae)『を除く)、コウモリ目』(翼手(コウモリ)目 Chiroptera)『(一部の種を除く)、ネズミ目』(真主齧上目グリレス大目 Glires 齧歯(ネズミ)目 Rodentia)・『モグラ目』(=食虫目 Insectivora)『などで』、陰茎骨を持たない哺乳類は、『有袋類』(=有袋上目 Marsupialia)『単孔類』(=原獣亜綱カモノハシ目 Monotremata)・『ウサギ目』(Lagomorpha)『(アメリカナキウサギ』(ナキウサギ科ナキウサギ属 Pika 亜属アメリカナキウサギ Ochotona princeps)『にはある』『)、サル目の一部』(上記を見よ)『ネコ目の一部』、『コウモリ目の一部、鯨偶蹄目(クジラウシ目)』(鯨偶蹄目 Cetartiodactyla)・『ウマ目』(Perissodactyla)・『ゾウ目』(=長鼻目 Proboscidea)・『ジュゴン目』(=海牛目 Sirenia)『などは陰茎骨を持たない』とあり、『陰茎骨は亀頭内の尿道の上付近にあり、他の骨と連結しておらず』、『孤立している。陰茎骨の形やサイズは分類群によって様々である』。『役割はまだはっきり分かっていないが、交尾時に機能すると考えられる。例えば、挿入時は未勃起で挿入後に海綿体が膨張するイヌ科では、陰茎骨があることで非勃起状態での挿入が容易になる。サル目やネコ目(食肉目)では交尾の時間が長い種は陰茎骨が長い傾向がある』、『高緯度に生息する種ほど』、『陰茎骨が長い傾向がある』。『ゴリラ』(ヒト科ゴリラ属 Gorilla)が一センチ二ミリのごく短い『陰茎骨しか持たないことに示されるように、必ずしも体躯の大きな種が長大な陰茎骨を持つとは限らない。また、陰茎における陰茎骨の割合や海綿体の大きさや陰茎の膨張率は分類群によって様々であるので、陰茎骨の長さと陰茎の長さは異なる』。『コウモリ類などでは』、『しばしば酷似する近似種間で陰茎骨の形態が著しく異なるため、形態分類学で重要視されている』とあった。まあ、この薬方も類感呪術的で、まがまがしいから私の探究心はここまでである。では。]

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