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2019/04/16

和漢三才圖會卷第三十八 獸類 豺(やまいぬ) (ドール(アカオオカミ))

 

Yamainu

 

 

 

やまいぬ  犲狗

 

【音儕】

      【俗云也

ツアイ    末以奴】

 

本綱豺處處山中有之狼屬也似狗而頗白前矮後高而

長尾其體細痩而健猛其毛黃褐色而鬇鬡其牙如錐而

噬物群行虎亦畏之喜食羊其聲如犬人惡之以爲引魅

不祥其氣臊臭可惡世傳狗爲豺之舅見狗輒跪亦相制

耳月令云九月豺乃祭獸可謂才故字從才

△按豺【俗云山狗】狀似狗而以足有蹯如狼足爲異山行人怖

 之甚於狼

 

 

やまいぬ  犲狗〔(さいく)〕

 

【音「儕〔(サイ)〕」。】

      【俗に云ふ、「也末以奴」。】

ツアイ

 

「本綱」、豺は處處の山中に之れ有り、狼の屬なり。狗に似て、頗る白し。前、矮〔(ひき)〕く、後ろ、高くして、長き尾たり。其の體、細痩〔(さいそう)〕にして、健〔やかにして〕猛し。其の毛、黃褐色にして、鬇鬡〔(さうなう)〕[やぶちゃん注:毛髪が乱れること。現代仮名遣では「ソウノウ」。]其の牙、錐のごとくにして、物を噬〔(か)〕む。群行して、虎も亦、之れを畏る。喜んで羊を食ふ。其の聲、犬のごとし。人、之れを惡〔(にく)〕む。以つて引魅不祥〔(いんびふしやう)〕[やぶちゃん注:人を惑わす不吉なる存在。]〔のものと〕と爲〔せばなり〕。其の氣〔(かざ)〕臊臭〔(なまぐさ)〕く惡むべし。世に傳ふ、「狗は豺の舅(をぢ)[やぶちゃん注:この場合は伯(叔)父。]たり。〔さればこそ〕狗を見〔るとき〕は、輒ち、跪〔(ひざまづ)〕く」〔と〕。〔されど、それは〕亦、相ひ制するのみ〔なり〕[やぶちゃん注:狼類である彼らが互いに牽制し合っているのを誤解しているだけのことである。]。「月令〔(がつりやう)〕」に云はく、『九月、豺、乃ち、獸を祭る』〔と〕。才〔あり〕と謂ふべし。故に、字、「才」に從ふ。

△按ずるに、豺【俗に云ふ、「山狗」。】狀、狗に似て、足に蹯〔(ばん)〕[やぶちゃん注:何度も注したように「蹯」の字は「足の裏」の意であるが、所謂、掌に相当する、肉球を特徴として、有意に周りと区別出来る部位があることを示す。]有り、狼の足のごとくなるを以つて異と爲す。山行の人、之れを怖るること、狼より甚だし。

[やぶちゃん注:和訓「やまいぬ」は「山犬」だろうし、そもそもが現行、この「豺」の漢字は中国では、ユーラシア大陸の東部(中国・朝鮮半島・東南アジア・ロシア南東部)と同大陸の中央部から南部(モンゴル・ネパール・インド・バングラデシュ・ブータン等)に棲息するイヌ科イヌ亜科イヌ族ドール属ドール Cuon alpinus別名アカオオカミ(赤狼)、英名「Dhole」に当てられており、叙述も以下に見るドールの生態によく一致する(以下の下線太字部など)。ウィキの「ドール」によれば(下線太字は私が附した)、体長は七十五~百十三センチメートル、尾長は二十八~五十センチメートル、肩高四十二~五十五センチメートルで、体重は♂で十五~二十キログラム、♀で十~十七キログラム。『背面の毛衣は主に赤褐色、腹面の毛衣は淡褐色や黄白色』。『尾の先端は黒い体毛で被われる』。『鼻面は太くて短い』。『指趾は』四『本』。『乳頭数は』十二~十六個である。『森林などに』棲息する『昼行性』動物であるが、『夜間に活動(特に月夜)する事もある』。五~十二『頭からなるメスが多い家族群を基にした群れを形成し生活するが』、『複数の群れが合わさった約』四十『頭の群れを形成する事もある』。『狩りを始める前や狩りが失敗した時には互いに鳴き声をあげ、群れを集結させる』。『群れは排泄場所を共有し、これにより』、『他の群れに対して縄張りを主張する効果があり』、『嗅覚が重要なコミュニケーション手段だと考えられている』。『食性は動物食傾向の強い雑食で』、シカやヤギ類などの『哺乳類、爬虫類、昆虫、果実、動物の死骸などを食べる』。『獲物は臭いで追跡し、丈の長い草などで目視できない場合は直立したり』、『跳躍して獲物を探す事もある』。『横一列に隊列を組み、逃げ出した獲物を襲う』。アクシスジカ(鯨偶蹄目反芻亜目シカ科シカ亜科アクシスジカ属アクシスジカ Axis axis:南アジア地域に分布。インドを中心にバングラデシュ・ネパール・ブータンを原産地とする)『などの大型の獲物は他の個体が開けた場所で待ち伏せ、背後から腹や尻のような柔らかい場所に噛みつき』、『内臓を引き裂いて倒す』。『また』、『群れでトラやヒョウなどから獲物を奪う事もある』。『繁殖形態は胎生。妊娠期間は』六十~七十日。『土手に掘った穴、岩の隙間、他の動物の巣穴などで』、十一月から翌年の四月に一回に二~九『頭の幼獣を産む』。『繁殖は群れ内で』一『頭のメスのみが行う』。『授乳期間は』二ヶ月で、『群れの中には母親と一緒に巣穴の見張りを行ったり、母親や幼獣に獲物を吐き戻して運搬する個体がいる』。『幼獣は生後』十四日で目を開く。生後二~三ヶ月で『巣穴の外に出』、生後五ヶ月で『群れの後を追うようになり』、生後七~八ヶ月で『狩りに加わる』。『生後』一『年で性成熟する』。『生息地では』彼らドールの得物の『狩り』方が『残忍とみなされたり』、ヒトの狩猟の『競合相手として』も『敬遠され、報奨金をかけられたり』、『毒餌で駆除される事もあった』。『開発による生息地の破壊、駆除、伝染病(狂犬病、ジステンパー)などにより』、『生息数は減少している』とある。なお、食肉(ネコ)目 イヌ亜目イヌ下目イヌ科イヌ亜科イヌ族イヌ属タイリクオオカミ亜種イエイヌ Canis lupus familiaris の野生化した個体と採るのはやめておく。動物学や環境用語でそうした野生化した犬に内、巷間に見られる「野良犬」と異なり、ヒト依存性を持たない個体や個体群の野犬(やけん)を「ノイヌ」と表示するのは、見ただけで私は虫唾が走る。彼らはもと、ヒトに飼われた犬であったのであり、「イヌ」と区別されて「ノイヌ」と別種の表記されて差別される筋合いの存在じゃあないからだ。彼らは確かに「和漢三才圖會卷第三十七 畜類 狗(ゑぬ いぬ)(イヌ)」であるからである。

「月令〔(がつりやう)〕」「礼記(らいき)」の「月令」篇。月毎の自然現象・古式行事・儀式及び種々の農事指針などを記したもの。「季秋之月」(陰暦九月の条)の以下に出る。

   *

鴻雁來賓、爵入大水爲蛤。鞠有黃華、豺乃祭獸戮禽。

(鴻・雁、賓(ひん)として來たり、爵(じやく:音通で「雀」)大水に入りて蛤と爲る。鞠(=菊)に、黃華、有り、豺、乃(すなは)ち、獸を祭りて禽を戮(りく)す。)

   *

この「祭」とは「天に生贄を供えて祭る」ことを指す。

「才〔あり〕と謂ふべし。故に、字、「才」に從ふ」いやいや! 大修館書店「廣漢和辭典」の「豺」の解字によれば、(つくり)の「才」は「切る・食い切る」で、「食い千切る」の意ですぜ。

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