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2019/04/21

散步 清白(伊良子清白)

 

散 步

 

稻の靑葉の丈伸びて

畦(あぜ)に水越す六月の

草生(くさふ)の上はことさらに

このごろ蝶の數多き

 

綠の雲の屯(たむろ)する

林の奧に宿しめて

なくほととぎす大空は

ふるふが如くとよむなり

 

秩父の山の靑あらし

幾村々を渡り來て

新桑繭(にひくはまゆ)や河沿ひの

絲とる家も吹きにけり

 

轍(わだち)の跡をとめくれば

樹立にかこむ一廓(くるわ)

空しき庭に火はもえて

栗の花散る門構(かどがま)へ

 

螢逐ふ兒が夜は競(きそ)ふ

澤べの橋にかかる時

知りたる人の會釋(ゑしやく)して

いづこに行くと尋ねけり

 

[やぶちゃん注:初出は明治三八(一九〇五)年九月発行の『文庫』。署名は「清白」。初出では総標題「短夜」のもとに、「卯の花降し」と本篇の二篇を掲げる。「卯の花降し」は次で電子化する。

「新桑繭(にひくはまゆ)」。新しい桑の葉で育った繭。今年の蚕の繭。「にひぐはまゆ・にひぐはまよ」とも読む、万葉語。

 初出形は以下。

   *

 

散 步

 

稻のあを葉のたけのびて

畦(あぜ)に水こす六月の

芝生の上はことさらに

このごろ蝶の數多き

 

綠の雲の屯(たむろ)する

林々に宿しめて

やまほとゝぎす一つ一つ

ことなる歌をなのるかな

 

秩父の山の靑嵐

幾村々を渡りきて

今日や巢立ちし鳩の子の

弱き翅にもかゝるらん

 

轍(わだち)の跡をとめくれば

木立に圍む一廓(くるわ)

空しき家に火は焚えて

栗の花散る裏の庭

 

螢追ふ子が夜は競(きそ)ふ

澤邊の橋にかかる時

知りたる人の會釋(ゑしやく)して

いづこに行くと尋ねけり

 

   *]

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