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2019/05/15

廢社晚秋 伊良子暉造(伊良子清白)

 

廢社晚秋

 

神杉に、

雲たちまよひ、

山の井に、

紅葉ぞうかぶ、

秋くれて、

やしろは荒れぬ。

古すだれ、

蝙蝠とびて、

神鈴を、

啄木鳥ならす。

かしは手に、

山ひここたへ、

山彥を、

月ぞきくなる。

狐火か、

峰のおちこち、

旅人の、

心なやます。

たえかねて、

行かむとすれば、

朽ちはつる、

谷のかけ橋、

はらはらと、

木の葉みだれて、

梟のなく。

 

[やぶちゃん注:明治二八(一八九五)年十月二十五日の『文庫』第一巻第四号掲載。署名は本名の伊良子暉造。前の「暉造の詩」発表の次号(十日後)のそれであるから、相応の自信作の詩篇として読める。幻妖世界への積極的な踏み込みがなかなかよいが、鏡花的域を出てはおらず、滝沢残星秋暁もそう感じたかななどと思ったりする。

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