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2019/05/28

和漢三才図会巻第三十九 鼠類 鼬(いたち) (イタチ)/ 和漢三才図会巻第三十九 鼠類 電子化注~完遂

Itati

 

 

いたち   鼠狼  鼪【音生】

      ?【音谷】 地猴

【音佑】

      【和名以太知】

ユウ

 

本綱鼬狀似鼠而身長尾大黃色帶赤其氣極臭其毫與尾可作筆其肉【甘温有小毒】臭此物能捕鼠及禽畜亦能制蛇虺

△按鼬其眼眩耳小吻黒全體黃褐色身長而柔撓雖小隙竹筒反轉無不出能捕鳥鼠惟吮血而不全食之其聲如輾木音群鳴則以爲不祥或夜中有熖氣高升如立柱呼稱火柱其消倒處必有火災蓋群鼬作妖也

水鼬 本此一種常棲屋壁穴覘瀦池入水捕魚性畏蟾蜍如相見則鼬困迷又畏瓢簞故養魚池邊安瓢簞

 

 

いたち   鼠狼  鼪〔(せい)〕【音「生」。】

      ?〔(こく)〕【音「谷」。】

      地猴〔(ちこう)〕

【音「佑〔(イウ)〕」。】

      【和名「以太知」。】

ユウ

 

「本綱」、鼬、狀〔(かたち)〕、鼠に似て、身、長く、尾、大〔なり〕。黃色に赤を帶ぶ。其の氣〔(かざ)〕、極めて臭し。其の毫〔(がう)〕[やぶちゃん注:細い毛。]尾と與(とも)に筆に作るべし。其の肉【甘、温。小毒有り。】〔は〕臭し。此の物、能く、鼠及び禽〔(とり)〕・畜〔(けもの)〕を捕ふ。亦、能く、蛇・虺〔(まむし)〕を制す。

△按ずるに、鼬、其の眼、眩(かがや)き、耳、小さく、吻〔(くちさき)〕黒く、全體、黃褐色。身、長くして、柔〔かく〕撓〔(たをや)かなり〕。小〔さき〕隙〔(すき)〕・竹の筒と雖も、反轉して出でざるといふこと無し。能く、鳥・鼠を捕へて、惟だ、血を吮〔(す)〕ひて、全く、之れを食らはず。其の聲、木を輾(きし)る音のごとし。群鳴すれば、則ち、以つて不祥[やぶちゃん注:不吉の前兆。]と爲す。或いは、夜中、熖氣、有りて、高く升(のぼ)り、柱を立つるがごとし。呼んで、「火柱〔(ひばしら)〕」と稱す。其の消へ[やぶちゃん注:ママ。]倒るゝ處、必ず、火災、有りといふは、蓋し、群鼬、妖を作〔(な)〕すなり。

水鼬〔(みづいたち)〕 本(〔も〕と)、此〔の〕一種〔なり〕。常に屋壁の穴に棲みて、瀦池(ためいけ)を覘(ねら)い[やぶちゃん注:ママ。]、水に入りて、魚を捕る。性、蟾蜍(ひきがへる)を畏る。如〔(も)〕し、相ひ見るときは、則ち、鼬、困迷す。又、瓢簞〔(へうたん)〕を畏る。故に魚を養(か)ふ池邊に瓢簞を安(お)く。

[やぶちゃん注:食肉(ネコ)目イヌ亜目イタチ科イタチ亜科イタチ属 Mustela に属する多様な種群を指す。ウィキの「イタチ」等によれば、世界には十六乃至十八種が現生し、本邦には、一九六〇年代以降に飼育個体由来の北海道で野生化した北米原産の外来種アメリカミンク(ミンク)Mustela vison を除くと(良安の時代に合わせてこれは数えない)、以下の四種七亜種ほどが棲息する。中国産種はよく判らぬので示さないが、イタチ・オコジョ・イイズナ類の多数種が分布するようである。

ニホンイタチ(イタチ)Mustela itatsi(本州・四国・九州・南西諸島・北海道(偶発的移入):日本固有種:チョウセンイタチMustela sibirica の亜種とされることもあったが、DNA解析により別種と決定されている)

ニホイタチ亜種コイタチ Mustela itatsi sho(屋久島・種子島個体群)

チョウセンイタチ Mustela itatsi coreana(対馬のみに自然分布。本州西部・四国・九州の個体群は外来侵入種で、これは一九四九年頃に船舶の積荷などに紛れ込んで朝鮮半島から九州に侵入したとも、また、同時期に毛皮業者が養殖のために持ち込んで脱走し、西日本を中心に分布を広げたともされる。ニホンイタチの棲息域を圧迫している)

チョウセンイタチ亜種ニホンイイズナ Mustela itatsi namiyei (青森県・岩手県・山形県(?):日本固有亜種。キタイイズナより小型で、日本最小の食肉類とされる。なお、ウィキの「イイズナ」によれば、『東北地方や信州では「飯綱(いづな、イイズナ)使い」「狐持ち」として管狐(くだぎつね)を駆使する術を使う家系があると信じられていた。長野県飯綱(いいづな)山の神からその術を会得する故の名とされる』。『民俗学者武藤鉄城は「秋田県仙北地方ではイヅナと称し』、『それを使う巫女(エチコ)〔イタコ〕も」いるとする』。『また』、『北秋田郡地方では、モウスケ(猛助)とよばれ、妖怪としての狐よりも恐れられていた』とある。)

チョウセンイタチ亜種キタイイズナ(コエゾイタチ)Mustela itatsi nivalis (北海道。大陸に分布するイイズナの亜種)。

オコジョ亜種エゾオコジョ(エゾイタチ)Mustela erminea orientalis(北海道及び千島・サハリン・ロシア沿海地域に分布)

オコジョ亜種ホンドオコジョ(ヤマイタチ)Mustela erminea nippon(本州中部地方以北:日本固有亜種)

以下、ウィキの「ニホンイタチ」を引く。『成獣の大きさはオスとメスで異なり、オスはメスより大きい。体長は、オス』で二十七~三十七センチメートル、メスで十六~二十五センチメートル、尾長はオスで十二~十六センチメートル、メスで七~九センチメートル。体重はオスで二百九十~六百五十グラム、メスで百十五~百七十五グラム。『毛色は個体により様々だが、躯体は茶褐色から黄褐色である。鼻筋周辺は暗褐色。尾の色は』体幹部『とほぼ同色』。『乳頭数は、胸部』にはなく、腹部に二対、鼠径部に二対で、合計八個』。『指趾数(指の数)は、前肢が』五『本、後肢が』五『本』である。『本種は冬眠は』せず、一『年中』、『活動し、その活動時間帯は特に定まっておらず、昼夜活動する。繁殖期以外は基本的に単独で行動する。本種の手足の指の間には蹼(みずかき)があり、泳ぎが得意である。厳冬期にも水に入り、潜ることもある。主な活動地域は川や湖沼、湿地、沢などの水辺であるが、水辺から離れた森林地帯にも生息しており、樹木に登ることもある』。『用心深く』、『後肢で』二『本足立ちして周囲を見回すことがある。この行動を』「目蔭(まかげ)」と称する。『巣は、既存の穴や隙間を使用する』。『メスの活動領域はオスの活動領域よりも狭く、オスの活動領域は複数のメスの活動領域にまたがる』。『食性は主に動物食で、ネズミや鳥、両生類、魚、カニ、ザリガニ、昆虫類、ミミズ、動物の死体など。また、ヤマグワやサクラ、ヤマブドウ、マタタビ、コクワ(サルナシ)の実などの植物質のものも食べる』とある。ここには挙げられていないが、本文にあるように、蛇類も有意に捕食するウィキの「イタチ」の「伝承」の項によれば、『日本古来からイタチは妖怪視され、様々な怪異を起こすものといわれていた』。江戸時代の百科辞典「和漢三才図会」に『よれば、イタチの群れは火災を引き起こすとあり、イタチの鳴き声は不吉の前触れともされている』(本項のこと)。『新潟県ではイタチの群れの騒いでいる音を』、六『人で臼を搗く音に似ているとして「鼬の六人搗き」と呼び、家が衰える、または栄える前兆という。人がこの音を追って行くと、音は止まるという』。『また』、『キツネやタヌキと同様に化けるともいわれ、東北地方や中部地方に伝わる妖怪・入道坊主はイタチの化けたものとされているほか、大入道や小坊主に化けるという』。『鳥山石燕の画集』「画図百鬼夜行」にも『「鼬」と題した絵が描かれているが、読みは「いたち」ではなく「てん」であり』、『イタチが数百歳を経て』、『魔力を持つ妖怪となったものがテンとされている』(後掲する。先行する「和漢三才図会巻第三十九 鼠類 貂(てん)(テン)」も参照)。『別説ではイタチが数百歳を経ると狢になるともいう』。『イタチを黒焼にして飲めば、こわばりなどに良いという伝承が長野県にある』。また、知られた怪奇現象に「かまいたち」があり、『何もしていないのに突然、皮膚上に鎌で切りつけたような傷ができる現象のことを指す』が、『かつては「目に見えないイタチの妖怪のしわざ」だと考えられていたが、現在では、乾燥した肌が衝撃を受けることで裂ける生理現象であると判明している。最近まで、「空気中にできた真空によって引き起こされる」と説明されていたが、科学的な根拠はない』。但し。『「かまいたち」は「構え太刀」が転じたもので、元来はイタチとは全く関係がない、とする説もある』とある。

「其の氣〔(かざ)〕、極めて臭し」所謂、「鼬の最後っ屁(ぺ)」である。イタチは犬や猫のように、肛門周辺に一対の臭腺を持っており。臭腺はマーキングの用途以外にも外敵に襲われた際に用いる。イタチは外敵と遭遇すると、この臭腺から強烈な悪臭を放ち、相手がひるんだ隙に逃げ出す。その悪臭は取れるまでに時間がかかり、嗅覚が優れている動物にとっては地獄のような苦しみであるという。

「虺〔(まむし)〕」マムシ亜科 Crotalinae(ここにはハブ類が含まれる)マムシ属 Gloydius のマムシ類。本邦産種は有鱗目ヘビ亜目クサリヘビ科マムシ亜科マムシ属ニホンマムシ Gloydius blomhoffii と(但し、本種は中国・朝鮮半島にも棲息する)、一九九四年に対馬固有種の独立種として分割されたツシママムシ Gloydius tsusimaensisの二種のみであるが、中国にはマムシ属だけでも複数種が棲息する(中文ウィキの「亞洲蝮屬」(アジアマムシ属)を参照されたい)。また、「和漢三才圖會 卷第四十五 龍蛇部 龍類 蛇類」の「蝮蛇(はみ)」(マムシ)他の項も参考となるので見られたい。

「惟だ血を吮〔(す)〕ひて、全く、之れを食らはず」誤認。そんなことはない。この俗信について、Q&Aサイトの回答で、イタチの専門家ではないと言い添えられながら、『イタチが鶏小屋などに侵入すると』、『とりあえず』、『そこにいる鶏を全部殺して、そのうえで自分の食べる分を持ち帰るから』と思われ、その血だらけになった惨状を『あとから』、『人間が見ると』、『食べもしないのに』、『殺した様子が「血を吸った」ように見え』たものと思われるとあった。目から鱗の解説である。

「其の聲、木を輾(きし)る音のごとし」短いが、You Tube 駆除屋 CH氏の「イタチの鳴き声が聞けました。」がよい。

「夜中、熖氣、有りて、高く升(のぼ)り、柱を立つるがごとし。呼んで、「火柱〔(ひばしら)〕」と稱す」ウィキの「イタチ」に添えられてある、昔から、「何だか、不思議な絵だな」と思っていた鳥山石燕「画図百鬼夜行」の妖獣「鼬」の絵は、まさにこの「鼬の火柱」を形象化したものだったのだと私には思われて、腑に落ちた。

「水鼬〔(みづいたち)〕」これはまさに普通にイタチの習性である。良安は「本(〔も〕と)、此〔の〕一種〔なり〕」とするが、これをわざわざ上記のニホニイタチ以外のイイズナやオコジョ類の別な種に限定同定する必要を私は感じない(魚食に特化したイタチの仲間は本邦には、どうなんだろう、いない気がするが)。

「性、蟾蜍(ひきがへる)を畏る。如〔(も)〕し、相ひ見るときは、則ち、鼬、困迷す。又、瓢簞〔(へうたん)〕を畏る」孰れも由来不詳。ただ、御存じの通り、ヒキガエルは有毒物質を持ち、犬でさえも誤って噛みつくと、その毒(ブフォトキシン(bufotoxin:激しい薬理作用をもつものが多い強心配糖体の一種。主として心筋(その収縮)や迷走神経中枢に作用する)等)には激しく苦しむというから、イタチも学習していて、好んで捕食はしないであろうから、腑には落ちる(「和漢三才圖會卷第五十四 濕生類 蟾蜍(ひきがへる)」の私の注を参照)。また、後者については、単なる思い付きであるが、瓢簞はよく磨くと光るが、イタチは光り物を嫌うという俗信は古くからあったからそれで説明可能かも知れない。

 以上を以って「和漢三才図会巻第三十九 鼠類」は終わっている。]

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