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2019/05/03

墓場をいでて 伊良子清白

 

墓場をいでて

 

墓場をいでて少女子は

盆の踊にまじりけり

白き衣を身にまとひ

萎(しを)れし花を手にもちて

 

踊の群は散りにけり

月靑白く秋の夜を

死にし少女ぞ踊るなる

むかしのうたをうたひつつ

 

月靑白く秋の夜を

萎れし花ぞ靡(なび)くなる

萎れし花も落ち散りて

少女は死にに死ににけり

 

[やぶちゃん注:初出は明治三六(一九〇三)年十一月発行の『文庫』であるが(署名「清白」)、総標題「野菊」として、「さゝなきしては」「秋風白々」(この二篇はドイツ・ロマン派の詩人ウーラント(Johann Ludwig hland 一七八七年~一八六二年)の翻案詩らしい)と、先の「少女の死を悼みて」と本「墓場を出でゝ」(初出題表記はこれ)の四篇からなる。初出との詩篇本文の有意な異同を認めないが、大事なことは、初出ではこの詩篇の最終行は『少女は死にに死ににけりUhland のうたのこゝろを)』となっているのである。しかも、この前の「少女の死を悼みて」は明らかに親和性が強いのである。さればこそ私は「少女の死を悼みて」も本篇も、やはりウーラントの詩篇の翻案詩であると考えるものである。]

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