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2019/06/05

染分手綱 すゞしろのや(伊良子清白)

 

染分手綱

 

染分手綱ゆらゆらと

靑柳けふる春の野を

淚なくてぞ嫁らまし

花傘にほふ白月毛

 

とてもかよはき吾胸は

戀のなやみに絕えざれば

塵をゆるさぬ小枕に

夜半の寐覺はやすかりし

 

常少女にてへましかは

姿見くもる朝なぎに

亂れし髮を洗ふとも

花の袂はぬらさじを

 

淺き緣につながるゝ

胡蝶の夢にたはぶれて

あだなる人の盃を

口にふくむがつらき哉

 

筑波は近しむらさきの

麓の野邊の枯生より

とけて流るゝ淡雪に

產湯浴びたる我なれば

 

鏡とすめる高濱の

波にすだれを捲きぬとも

かりがね落る欄干に

魚釣(なつり)する子はなじまじな

 

[やぶちゃん注:明治三三(一九〇〇)年一月十五日発行の『文庫』掲載。署名は「すゞしろのや」。「けふる」「へましかは」の清音はママ。この年、伊良子清白満二十三歳。前回述べた通り、この年一月十日頃に上京、二月より日本赤十字社病院内科の医員試補として勤務を始めた。一方で、鳳晶子(一歳歳下)に会い(上京直前の一月三日の関西文学同好者新年大会席上。この時、清白は「幻覚について」という講演をしている)、上京直後に筑波山麓に橫瀬夜雨を訪れ(初対面乍ら、一ヶ月も滞在している)、二月二十日は麹町の与謝野鉄幹(四歳年上)を初めて訪問、とも親しく交流、三月には一時、鉄幹宅に寄寓して『明星』(翌月に創刊号刊行)の編集に関わっている。五月より、河合酔茗が堺から上京したのを受けて『文庫』の詩欄の編集も担うようになっているから、この上京は医師としての独立した活動目的と等価に本格的詩人活動の決意に動かされたものでもあったことが判る。六月には横浜海港検疫所検疫医員となり、七月には横浜戸部町へ転居した。但し、八月、与謝野鉄幹と晶子の恋愛がスキャンダルとして問題になるに連れて、鉄幹とは疎遠になっている(以上は底本全集年譜に拠る)。

「嫁らまし」「よめらまし」か。]

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