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2019/06/19

神島外海 伊良子清白

 

神島外海

 

どうしてこんな景色があるか。

靑い髮の海が食ひちぎつたのだ。

危巖亂立、目もはるかに續く。

波の手が白く閃めく。

ど、ど、どーん、ど、ど、どーん、

ひつきりなしの釣瓶打だ。

天地廓寥、ただ響。

この沸えくりかへる坩堝(るつぼ)が、

がらんどうの中でつぶやく。

灰色の退屈が、

霧のやうに降るではないか。

 

[やぶちゃん注:昭和七(一九三二)年九月一日発行の『女性時代』(第三年第九号)に次の「入江のある風景」とともに掲載。署名は「伊良子清白」。この年、伊良子清白、満五十五歳。年初より歌誌『白鳥(しらとり)』への短歌の投稿が定期的となり、十月からは『鳥人』で毎号短歌評も手掛けるようになった。十二月四日、佐藤惣之助が来訪、一泊している。

「神島」既出既注

「廓寥」「くわくれう(かうりょう)」は「広いだけで何もなくて寂しい様子・なんとなく寂しいこと」を謂う。]

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