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2019/06/07

前天橋立歌 すゞしろのや

 

前天橋立歌

 こは和鄕ぬしの哥につぎて早く出すべかりしを拙き詞の
 やさしくて久しく匣に祕めおきつるなり 流石に蠹魚の
 みは獨あるじの惠をよろこびたらんかし

[やぶちゃん注:「和鄕ぬし」既出既注。木船和郷。詳細不詳。

「哥」不詳。本篇は『文庫』投稿であるから、これ以前のかなり以前の号に和郷が投稿した天橋立を詠じた「哥」(短歌か詩篇)を指すものであろうとは思う。その「哥」を見たいものである。

「やさしくて」気恥ずかしくて。きまりが悪かったので。

「匣」「はこ」。手文庫箱。

「蠹魚」「しみ」。節足動物門昆虫綱シミ目 Thysanura のシミ類。私の「和漢三才圖會卷第五十三 蟲部 衣魚(シミ)」を参照されたい。]

 

つきあかし

つきのうさぎもくだりこむ

橋立小女郞まつにきてまへ

  (老狐異名)

   ○

更け行くなべに

    影沈む

一里の松の

    葉を黑み

あまつをとめが

    わすれたる

白き翼と

    まがふまで

月のひかりは

    みちにけり

さやけき月の

    やどるなる

涼しき露は

    葉にみちて

散らば桂や

    生ひもせん

枝を交ふる

    老松の

眞砂が原の

    月くらし

 

月やうやうに

    かたぶきて

いその洲崎に

    やどれるを

ゆめよりさむる

    水鳥の

おどろき立てば

    靜なる

蘆間の影も

    さわぎけり

   ○

なみのおと

まつのひゞきもなりあひの

かぜふきわたるあまのはしたて

  (順禮歌)

   ○

鈴のねくらき

    あかつきの

みてらのやまを

    のぼりきて

菅の小笠に

    松かさの

をりをりおつる

    つゞらをり

いたゞき近く

    みおろせば

 

雲の錦の

    色深み

かぎろひもゆる

    ひんがしの

花の浮城

    とだえして

紅匂ふ

    日の影は

西にいざよふ

    夕暮の

豐旗雲の

    なびくまで

長き日ねもす

    松ばらの

天の橋立

    わたるらん

 

鏡とすめる

    與謝の海の

玉藻刈るこが

    一葉ぶね

さをにみだるゝ

    浪の上に

黃金をくだく

    朝日子は

千本の松を

    吹きこゆる

みどりの風に

    うちのりて

今下つ枝を

    昇るなり

 

[やぶちゃん注:明治三三(一九〇〇)年四月一日発行の『文庫』掲載。署名は「すゞしろのや」。

「(老狐異名)」これは前のソリッドな三行の挿入詩篇の標題的後書き(後の「(巡禮歌)」もそうとしか採れないから)であるが、特に「橋立小女郞(はしだてこぢよらう)」がその「老狐」の「異名」とはとれる。

「與謝の海の」「よさのみの」。老婆心乍ら、「與謝の海」は天橋立の砂州で区切られた西の潟湖阿蘇海(あそのうみ)の古名で歌枕でもある。]

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