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2019/06/16

新涼三景 伊良子清白

 

新涼三景

 

 

  都 市

 

秋が走るよ

町々を

をとこをんなの

秋の脚

舖道(ほだう)のしめり

暑うても

秋の日射しは

花やかに

深山の奧の

生栗(なまぐり)が

靑い八百屋で

ゑみ割れる

無花果(いちじゆく)、葡萄

秋の實(みの)り

人の稔(みの)りの

秋の裝ひ

時が流れる

なめらかに

銀器(ぎんき)の

手ざはり

夕冷えに

月の片割れ

一つは空に

のこる一つは

ふところに

涼しや涼しや

 

 

  漁 村

 

とぶよ若鯔(わかいな)

  火のやうに

走る秋雲

  風や吹く

ただならぬ空の

  けしきとて

船はみだるる

  をちこちに

沖の朝日の

  鈍(にび)いろよ

 

 

  農 村

 

暑いとて、あついとて

  畠(はた)のとうもろこし

     毛があついとて

  星のふる夜は

     露もふる

  露にぶたれて

     玉蜀黍(とうもろこし)の

  赤い毛並(けなみ)が

     よれよれに

 

[やぶちゃん注:昭和五(一九三〇)年六月九日発行のアンソロジー「一九三〇年詩集」(詩人協会編アルス刊)に先の「ここは雲の路」及び後の「近代女性の顏」とともに掲載。「とうもろこし」のルビはママ。署名は「伊良子清白」。

「若鯔(わかいな)」出世魚として知られる条鰭綱ボラ目ボラ科ボラ属ボラ Mugil cephalus の比較的成長した若魚(通常成体の「ボラ」(体長五十センチメートル前後)の前段階)の呼称。地域によって多少異なるが、概ね十八センチメートルから三十センチメートルほどまでのものを指すことが多い。]

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