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2019/07/06

小泉八雲 神國日本 戸川明三譯 附やぶちゃん注(93)  產業上の危險(Ⅴ) / 產業上の危險~了

 

 併し、若し日本がその祖先の信仰からそれ以上何ものをも得る處はないと想像するのは、又悲むべき談であらう。日本の近代の成功は皆悉〻くそれによつて助けられたもので、その近代の失敗は悉〻く、その道德上の習慣を不必要に破つた爲めに起つたのは明らかな事である。日本が命令一下その人民に、甚大なる苦痛を忍び、努力を爲して、歐洲文明を採用せしめ得たのは、一に人民が長年月の間服從と忠誠と犧牲とに馴れ來たつた故である。そして日本がその道德的過去の全部を抛棄し得る時代は未だ到着しないのである。日本は實際現今以上の自由を要求して居る、――併しそれは叡智によつて制限された自由、他人の爲めのみならず、自己の爲めに考へ、行動し、努力する自由であつて、弱者を壓迫し、單純な人間を私利の爲めに虐使する自由ではないのである。そして日本の產業的生活の新たな殘虐は、此の國の古來の信仰の傳統中には、何等正當とする理由をもつて居ないのである。此の古來の信仰は從屬者から絕對の從順は强要するが、同時に主人からも親切の義務を要求したものである。日本が、その人民をして、親切の道から逸する事を是認すればするだけ、日本自身が確に『神の道』から逸した譯である……。

 そしてまた家庭の將來も暗黑に見える。その暗黑から惡夢が生まれて、日本の愛好者を屢〻襲つて來る。それは、日本がかかる極度の努力を死物狂ひの勇氣でやつては居ても、それは畢竟方面違ひの努力であつて、歸する處は、商賣上の經驗では。日本よりも數百年の長老である他國民の來たつて滯留するに資する爲めに、國を準備するに過ぎない事と、日本が有する數千哩の鐡道と電信と、鑛山や鐡工場、兵器廠や工場、ドツクや艦隊も、外國の資本に利用されんが爲めに整頓されて居る事と、日本の讃嘆すべき陸軍も、勇武に富んだ海軍も、政府の力では到底左右し得ない事情の爲めに挑發され刺激されて、侵略を企圖する貪婪な數國の聯合を迎へて、到底勝算なき戰をする爲めに彼等の最後の犧牲を拂ふ運命となつて居るかも知れないといふ事等の恐れである……。併し日本を嚮導して既にあれ程多くの難關を切り拔けさせた經世の才は、此の密集し來る危險とよく對抗し得る手際を見せるに違ひないと思ふのである。

[やぶちゃん注:……ああ……八雲先生……日本はその後……先生が最後に託した最善の道を選ばなっかったのでした……或いは先生は……それをこの時既に予感しておられたのでは……ありませんか?…………

「嚮導」「〔きやうだう(きょうどう)」は「先に立って案内すること」。他に「軍隊で、横隊の隊列の両端にあって、整列・行進などの基準となる者」をも指す。]

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