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2019/10/13

大和本草卷之十三 魚之下 鰺 (アジ類)

【和品】

鰺 順和名抄アチト訓ス生東海者形肥大夏秋

 多肉味美冬春味不美以塩漬而乾之亦佳無鱗

 尾上有厚鱗今案性温補發瘡腫痘瘡及諸瘡ヲ

 患ル者不可食又有室鰺嶋鰺味劣

○やぶちゃんの書き下し文

鰺(あぢ) 順〔(したがふ)〕の「和名抄」、「あち」と訓す。東海に生ずる者、形、肥大。夏・秋、肉、多く、味、美〔(よ)し〕。冬・春、味、美からず。塩を以つて漬けて、之れを乾かす。亦、佳なり。鱗、無く、尾の上に、厚き鱗、有り。今、案ずるに、性、温補〔にして〕、瘡腫〔(さうしやう)〕を發す。痘瘡及び諸瘡を患〔(わづらふ)〕る者、食ふべからず。又、室鰺〔(むろあぢ)〕・嶋鰺〔(しまあぢ)〕有り。味、劣れり。

[やぶちゃん注:取り敢えず、条鰭綱スズキ目スズキ亜目アジ科アジ亜科マアジ属マアジ Trachurus japonicus としてよかろう。我々にとって最もお馴染みの食用魚であるが、ウィキの「マアジ」から一部を引用しておく。『成魚の全長は』五十センチメートル『に達するが、よく漁獲されるのは』三十センチメートル『程度までである。体は紡錘形でやや側扁し、頭長は体高より長い。側線は体の中ほどで下方に湾曲し、背鰭第』八『軟条下から尾まで直走する。この側線上には全体に亘って稜鱗(りょうりん : 俗称「ぜんご」「ぜいご」)と呼ばれる棘状の鱗が』六十九個から七十三個『並ぶ。臀鰭の前端部には』二『本の棘条がある。鰓蓋(さいがい、えらぶた)上縁に一つの黒色斑がある。口内では両顎・口骸骨・鋤骨(じょこつ)・舌に細歯がある。背側は緑黒色で腹側は銀白色、中間域は金色である』。『体色と体型は、浅海の岩礁域に定着する「居つき型(瀬付き群)」と、外洋を回遊する「回遊型(沖合回遊群)」で異なる。居つき型は全体的に黄色みが強く、体高が高い。一方、「回遊型」は体色が黒っぽく、前後に細長い体型をしている。例えば東京湾沿岸では居つき型を「キンアジ」「キアジ」、回遊型を「ノドグロ」「クロアジ」などと呼んで区別している』。『ムロアジ属 Decapterus 諸種、メアジ Selar crumenophthalmus 等の類似種がいるが、本種は第二背鰭・臀鰭の後ろに小離鰭が無いこと、側線の全てが稜鱗で覆われること、側線が体の中ほどで大きく下方に湾曲することで区別がつく』。『関西ではマアジを赤アジ、ムロアジを青アジとも呼ぶ』。『北西太平洋の固有種で、北海道から南シナ海までに分布する。特に日本海や東シナ海で個体数が多い』。『地方毎に独立した地方系群もあると考えられ、これらは遺伝子プール・形態・生態・産卵地もわずかずつ異なるとされる。主なものは九州北部群、東シナ海中部群、東シナ海南部群、小さい群として九州南方域、高知沖、関東伊豆付近、瀬戸内海、富山湾がある』。『回遊型は沿岸から沖合の中層・底層を群れで遊泳する。季節に応じた長距離の回遊を行い、春に北上・秋に南下する。一方、居つき型は浅海の岩礁付近に定着し、季節的な回遊をしない。食性は肉食で、動物プランクトン、甲殻類、多毛類、イカ、他の小魚等を捕食する』。『産卵期は地域の気候によって異なり、東シナ海では』一月であるが、『北海道では』八『月となる。早春の東シナ海で仔魚・稚魚が多数見られることから、回遊型は東シナ海で産卵し、これらが黒潮に乗って東アジア沿岸域に分散すると考えられている。産卵数は』成体♀の大きさによって異なり、約十万個から五十六万個に『達する。卵は直径』一ミリメートル弱の『分離浮性卵で』、四十『時間ほどで全長』二・五ミリメートルの『仔魚が孵化する。幼魚は流れ藻に付くことがあり、内湾の浅い海でも見られる』。二~三年で『成熟し、寿命は最長』十二『年という記録がある』。『本種は日本産アジ類の中でも特に漁獲が多く代表種となっていることから「真」が付く』。『新井白石は「アジとは味也、その味の美をいふなりといへり」と記している』。『地方名も多く、アヅ(富山・秋田)、メダマ(東京)、ノドクロ、クロアジ(東京 : 回遊型を指す)キアジ、キンアジ(東京 : 居つき型を指す)、アカアジ(関西 : 稚魚を指す)、ヒラアジ(和歌山・大阪・広島)、ホンアジ(和歌山)、トツカアジ、トツカワ(和歌山)、オオアジ(神戸・松江)、オニアジ(兵庫明石)、ゼンゴ(中国・四国地方)、キンベアジ(鹿児島)、ジンタン(鹿児島 : 稚魚を指す)等がある』。『関アジは豊予海峡で漁獲し、大分県大分市佐賀関で水揚げしたアジの商標である』。なお、アジ亜科 Caranginaeの総説であるウィキの「アジ」の「語源」によれば、『日本語の「アジ」は味が良いことに由来するといわれる』。『「魚」に「参」と書く漢字が当てられるが、この由来は諸説あり、「鱢(ソウ、魚偏に「喿」)」の字の写し間違いであるとする説』、『「おいしくて参ってしまう」の意であるとする説、最も美味の季節が旧暦の』三『月に当たるので』、旁(つくり)に『数字の「参」が使われたとする説などがある』とある。

『順の「和名抄」、「あち」と訓す』源順の「和名類聚鈔」巻十九の「鱗介部第三十」の「龍魚類」第二百三十六に、

   *

鰺(アチ) 崔禹錫が「食經」に云はく、『鰺【「蘇」「遭」の反。「騷」と同じ。和名「阿遲」。】。味、甘温。毒、無し。貌(かたち)、「鯼」に似て、尾に、白剌、相ひ次ぐ者なり。』〔と〕。

   *

とある。「ぜいご」をよく記して、アジ類の記載を思わせるが、しかし、「鯼」(音「ソウ」)はイシモチ(スズキ目スズキ亜目ニベ科シログチ属シログチ Pennahia argentata 或いはニベ科ニベ属ニベ Nibea mitsukurii を指す)の俗字で、イシモチもニベも私はアジ類とは決して似ているとは思わない。

「性、温補〔にして〕、瘡腫を發す」「温補」は漢方で正常な体温を保時させ、補填する性質を謂うが、この文脈ではそれが、「瘡腫」(皮膚が腫れて膿を持った病態)を引き起こす、惹起し易いと言っているようにしか読めない。この「瘡腫」をもっと軽いアレルギ性湿疹と採るにしても、アジ類ではそう頻繁に多数の人に起こるとは考えられないから、この記載は不審である。

「痘瘡」天然痘。

「諸瘡」広義の皮膚の湿疹や糜爛を指す。

「室鰺」狭義にはアジ亜科ムロアジ属ムロアジ Decapterus muroadsi を指すが、ムロアジ属には多くの種が含まれる。ウィキの「ムロアジ」を参照されたい。中でも、クサヤモロDecapterus macarellus は「くさや」の最高級品として賞味される。私も四十年近く前、神津島の製造所で買って民宿で焼いて貰った(同宿の女性二人に大顰蹙を買ったが、宿の主人はにこにこしていた)が、あれは人生最高の「くさや」であった。製造元では「くさや」の漬ける伝来の原液を嘗めさせて貰ったが、非常に美味であったのも忘れられない。

「嶋鰺」しかし、「味、劣れり」はムロアジとともに、断固、抗議する。アジ類ではシマアジは刺身にして最も美味いものですよ! 益軒先生!]

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