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2020/02/28

大和本草卷之十三 魚之下 馬鮫魚(さはら)(サワラ)

 

馬鮫魚 魚大ナレドモ腹小ニ狹シ故ニ狹腹ト名ツクサハ

 狹小閩書曰靑斑色無鱗有齒其小者謂靑箭〇

 今案五月以後十月以前多シ味美ナレドモ病人食ス

 ヘカラス傷寒熱病有瘡瘍及患食積人不可食其

 子ホシテ酒肴トス味ヨシ多食ヘカラス滯氣名ケテカ

 ラスミ云鯔魚ノ子ノ如シヲキサハラハ長六七尺アリ

 味ヲトル東海西海有之ミコ魚ハサハラノ如ニテ大ナリ

 背ニヒレアリヒレノ長キ叓四五尺ハカリ其ヒレ常ニハ背

 筋ノ内長ククホキトコロニタヽミ入テアリ形狀馬鮫魚

 ニ同只ヒレノ長キノミ異トス

○やぶちゃんの書き下し文

馬鮫魚(さはら) 魚、大なれども、腹、小に〔して〕狹し。故に

狹腹(さはら)」と名づく。「さ」は「狹小」〔たり〕。「閩書〔(びんしよ)〕」に曰く、『靑斑色、鱗、無く、齒、有り。其の小なる者、「靑箭(さごし)」と謂ふ』〔と〕。

〇今、案ずるに、五月以後、十月以前、多し。味、美なれども、病人、食すべからず。傷寒・熱病、瘡瘍の有〔るもの〕及び食積〔(しよくしやく)〕を患ふ人、食ふべからず。其の子、ほして、酒肴とす。味よし。多く食ふべからず。氣を滯〔とどこほ〕〕らす。名づけて、「からすみ」と云ふ。鯔魚〔(ぼら)〕の子のごとし。

「をきさはら」は長さ六、七尺あり。味、をとる。東海・西海、之れ有り。

「みこ魚」は「さはら」のごときにて、大なり。背に、ひれ、あり。ひれの長き叓〔(こと)〕四、五尺ばかり。其のひれ、常には背筋の内、長くくぼきところに、たゝみ入れてあり。形狀、馬鮫魚に同じ。只、ひれの長きのみ、異とす。

[やぶちゃん注:スズキ目サバ亜目サバ科サバ亜科サワラ族サワラ属サワラ Scomberomorus niphonius。漢字表記は「鰆」「馬鮫魚」。細長い体形をした大型肉食魚で、出世魚で「サゴシ・サゴチ」(青箭魚:「青い矢の魚」)(4050cm→「ナギ」(50~60cm)→「サワラ」(60cm以上)と呼び名が変わる。一説に、益軒も言っている通り、体長が細長く「狭い腹」から「狭腹(さはら)」と呼ばれるようになったとされる。ウィキの「サワラ」によれば(下線太字は私が附した)、『最大では全長115cm・体重12kgの記録がある。また』、性的二形で『メスの方がオスよりも大型になる。近縁種も含め』、サバ科Scombridae の『仲間でも』、『特に前後に細長い体型で、左右に平たい。地方名のサゴシは「狭腰」』の意とされる。『口は大きく、顎には鋭い歯がある。側線は波打ち、枝分かれが多い。第二背鰭・尻鰭と尾鰭の間には小離鰭が並ぶ。また、体内には浮力を調整する鰾(うきぶくろ)がなく、鰓耙もごく少ない。体色は背側が青灰色、腹側が銀白色で、体側には黒っぽい斑点列が縦方向に7列前後並ぶ』。『北海道南部・沿海地方から東シナ海まで、東アジアの亜熱帯域・温帯域に分布する。これらは日本海南部・黄海・東シナ海に分布する系群と、瀬戸内海から西日本太平沿岸に分布する系群の二つに分けられる。前者は黄海、後者は瀬戸内海を産卵場としている』。『春から秋にかけては沿岸の表層を群れで遊泳するが、冬は深場に移る。食性は肉食性で、おもにカタクチイワシ』(ニシン目ニシン亜目カタクチイワシ科カタクチイワシ亜科カタクチイワシ属カタクチイワシ Engraulis japonicus)『やイカナゴ』(スズキ目イカナゴ亜目イカナゴ科イカナゴ属イカナゴ Ammodytes personatus)『等の小魚を捕食する』。『産卵期は春から初夏で、何回かに分けて産卵を行う。仔魚は当初から鋭い歯をもち、自分と同じくらいの大きさの他魚を貪欲に捕食する。生後1年で46cmほどに成長し、以後は2歳68cm、3歳78cm、4歳84cmほどとなる。成長は温暖な時期に顕著で、冬は成長しない。寿命はオス6年、メス8年ほどである』。『身の見た目はさほど赤くなく』、『白身魚として取り扱われる事も多いが、成分から見ると赤身魚である。日本では一般に焼き魚、西京味噌を使った「西京焼き」、唐揚げ(竜田揚げ)などで食べられる。身が軟らかく崩れやすいので煮物には向かないと言われることもある。岡山県周辺では鮮度の良いものを刺身で食べる。香川県などではサワラの卵巣を使ってカラスミをつくる。まだ脂分が少ない年齢のサゴシは、出汁をとるための煮干しとして近年商品化されている』。『刺し網、定置網、引き縄などの沿岸漁業で漁獲される。春が旬の魚とイメージされているが、本当に味が良いのは秋・冬である。特に冬は脂が乗り、「寒鰆」と呼ばれて珍重されるが、この季節には活動が鈍るため漁獲量も減る。サワラの漢字は魚偏に春で「鰆」と書くが、これは春に産卵のために沿岸へ寄るため人目に付きやすいことから、「春を告げる魚」というのが字源となった』とある。なお、日本近海では他に以下の種が知られるとある。

ヨコシマサワラScomberomorus commerson(全長2mを超える大型種で、体型はサワラに似るが、和名通り、体側に黒っぽい横縞模様が多数走る。日本ではサワラに次いで漁獲量が多く、地方名に「ヨコスジサワラ」「クロザワラ」「イノーサワラ」などがある)

ヒラサワラ Scomberomorus koreanus(全長1.5m。体側模様はサワラによく似るが、和名通り、サワラより平たい体型で体高が高い。別名で「韓国鯖」とも呼ぶ)

ウシサワラ(牛鰆)Scomberomorus sinensis(全長2mに達する大型種。胸鰭の先端が円いことで他種と区別出来る。他にも、サワラより口が前に突き出ている点、額が僅かに窪む点なども識別基準となる。地方名に「ホテイサワラ」「クサモチ」「ハサワラ」「オキザワラ」などがあり、別名で「中国鯖」とも呼ぶ)

タイワンサワラ Scomberomorus guttatus(全長70cmほどで、日本産サワラ類では小型種で、本来はインド洋・太平洋の熱帯域に分布するが、若狭湾での捕獲記録もある。別名「インド太平洋オオサバ」)

「閩書」明の何喬遠撰になる福建省の地誌「閩書南産志」。

「傷寒」昔の高熱を伴う疾患の中でも現在のチフスの類を指す。

「食積」「宿食」(しゅくしょく)に同じ。飲食物が胃腸に停滞してしまう病証を指す。「傷食」「宿滞」などとも称し、食べ過ぎ或いは脾虚を原因とし、上腹部の脹痛・酸臭のあるゲップ・悪心・食欲不振・便秘或いは下痢を主症状とし、悪寒・発熱・頭痛などを伴うこともある。

「からすみ」唐墨。現在、一般には長崎名産として、ボラMugil cephalusの卵巣の塩漬けしたものを酒に漬け、さらに乾燥させたものが珍味として名高いけれども、上記引用にも出る通り、現在でも香川県ではサワラの卵巣から「カラスミ」を製造しており、ボラに比して味は濃厚であると謳っている。台湾では「烏魚子」(ボラ卵使用)、ヨーロッパでは同様のものをフランスで「ブタルグ」(Boutargue)、近年、日本でもパスタ用に盛んに売られているイタリアのサルジニア島のものを「ボッタルガ」(Bottarga)、スペインでは「ウエバ(卵)のサラソン」(「魚卵の塩漬けの乾燥品」の意)などと称して味わう。あちらではマグロ(スズキ目サバ科マグロ族マグロ属 Thunnus)・スズキ(スズキ目スズキ亜目スズキ科スズキ属スズキ Lateolabrax japonicus)・メルルーサ(タラ目メルルーサ科 Merlucciidae 或いはマクロヌス科 Macruroninae)等の多彩な魚卵が使用されている。一言だけ言っておくと、美味だが、そのままでは歯にかなりしつこく粘りつくのが難である。実は、さっと炙るのが「カラスミ」を味わう何よりのコツなのである。

「をきさはら」前に出したウシサワラ。

「みこ魚」不詳。ウシサワラは前に出したし、ヨコシマサワラなら、極めて特徴的な横縞を言わぬはずはないので、所謂、サワラの大型の老成固体であろう。但し、それらの背鰭が益軒の言うような変化を遂げるかどうかは私は知らない。]

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