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カテゴリー「栗本丹洲」の115件の記事

2018/07/12

栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 ヱゴダイ (コショウダイ? コロダイ?)

 

ヱゴダイ

 

Egodai

 

[やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像の上下左右をトリミングして用いた。体が膨らまずに側偏して見えること、背鰭と尾鰭の小さな暗色斑が散在すること(これが和名の胡椒鯛の由来)、眼の位置が上吻より有意に高い位置にあることから

スズキ目スズキ亜目イサキ科コショウダイ属コショウダイ Plectorhinchus cinctus

を考えたが、決定打の体側にあるはずの三本の灰色の斜走帯がないのがダメだ。しかし、「WEB図鑑」の「コショウダイの解説に『背鰭と尾鰭が黄色味を帯びることがある。また、稚魚では体が茶色』いとあるのは、あってるじゃないか! 「ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑」の「コショウダイの異名欄に「エゴダイ」もあるぞ! と力づいてきた。そこでふと、この図、見たことがある気がして、「彩色 江戸博物学集成」(一九九四年平凡社刊)を開いて見たら、あった! 田中誠氏(東京衛生局)の「栗本丹洲」のパートの図(百九十八ページ)に載っていた。キャプションを見るとおう! 『コショウダイ?』とあった! と……ここで悠然と「コショウダイ?」で標題しようと思ったのだが、ここで今度は「ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑」の「コショウダイに『コロダイと呼び名などで混同があり、コロタイ、コロダイと呼ぶ地域がある。またコロダイをコショウダイという地域もある』という一文が眼に入ってしまった。そこで「ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑」の「コロダイ」を見た。コロダイも「エゴダイ」の異名がある!

スズキ目スズキ亜目イサキ科コロダイ属コロダイ Diagramma picta

だ……『側扁し、灰青色に黄色い斑文が散らばる』とあるし……なんか、似てる!……「WEB図鑑」の「コロダイ」も見る……トップの写真! 似てるし!……縞いらねえし!……うへ~! 二種候補併記で手打ち!]

栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 スミヤキダイ 石ダイノ類 (不明)

 

スミヤキダイ 石ダイノ類

 

Sumiyakidai2

 

[やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像の上下左右をトリミングして用いた。かなり魚相が悪いなぁ……体色もやけにしっかり黒々してる……魚体の形状も妙に体高さが高い……どうも前の「スミヤキダイ」スズキ目スズキ亜目イシナギ科イシナギ属オオクチイシナギ Stereolepis doederleini とは似てないし……しかもこれ、先の「スミヤキダイ」の真下に並べて貼り付けてある分、余りに相違点が目立ち過ぎる……う~ん、判らん! 体高が異様に高いことと、黒いという点では、

スズキ目スズキ亜目イサキ科コショウダイ属クロコショウダイ Plectorhinchus gibbosus

が思い浮かんだが、特徴の一つである、上顎が有意に突出していて非常に厚みがあるべきところが、ないからなぁ……ただ、未成魚の写真を見ると、それほど分厚くなく、白い口辺が、この図と似てなくもない(例えば、「WEB魚図鑑」の)。ただね、このクロコショウダイは眼が真ん丸で、こんなに悪相じゃあないんだよなぁ……お手上げ!]

栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 スミヤキダイ (オオクチイシナギ)

 

スミヤキダイ

 

Sumiyakidai

 

[やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像の上下左右をトリミングして用いた。

スズキ目スズキ亜目イシナギ科イシナギ属オオクチイシナギ Stereolepis doederleini

でよかろう。別名に現行でもスミヤキダイもある。本邦では各地に分布し、通常は深さ四〇〇~五百メートルの岩礁域の深海に分布するが、産卵期には百五十メートル程度の深さまで上がってくる。幼魚は水深八十~二百メートル附近から漁獲される。図ではちんまいが(幼魚かも知れない)、成魚は二メートル前後と甚だ巨大になる。美味い魚であるが、肝臓には大量のビタミンAが含まれており、知っていて少しにしようと思っても、味わいがいい(私も試しに食べたことがあるが、実際、美味い)ためについ食が進んでしまうことから、急性のビタミンA過剰症(食中毒)を起こす虞れは高い。症状は「激しい頭痛・嘔吐・発熱・全身性皮膚落屑(はくせつ)」等であり、食後三十分から十二時間程度で発症する。]

2018/06/24

栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 イトヨリ・黃イトヨリ (ソコイトヨリ)

 

仝イトヨリ

 

黃イトヨリ

Sokoitoyiri

 [やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像の上下左右をトリミングして用いた。かく、この二図は上下で並んでいるが、但し、貼り交ぜたもので、一枚の紙には書かれていないので注意されたい。「仝」は謂わずもがなであるが、「同」の異体字である。前の図の「糸ヨリ鯛」(私はイトヨリダイに同定)と同じ、と言っているわけだが、ここはよく観察しなくてはいけない。上の魚はまず、下顎後部位置(胸鰭下)から尾部へ向かって一本、腹下部(もう少し下で逢ってほしいのだが)に有意に尾部へ向かって一本、計二本の黄色い縦縞が現認出来る。下の図は黄色くないが、しかし標題に「黃イトヨリ」とある。この二図の魚は体型は極めて酷似する。されば、上図は特徴的な黄縞から、

スズキ目スズキ亜科イトヨリダイ科イトヨリダイ属ソコイトヨリ Nemipterus bathybius

と同定する。而して、その縞が描かれていなくても、黄色いイトヨリを意味するキャプションを附している以上は、下部のそれも同種としておきたい。下の魚を何故、そう安易に同定出来るんだ、と文句を言われる向きもあろうかと思うが、さっきもちょっと言い添えたように、ソコイトヨリの下腹部の非常に鮮やかな黄色い縦縞は(腹部が白いために上の筋(こちらは赤い鱗によって実は個体によっては全く目立たない)より遙かにはっきり見える。どれだけ鮮やかかは「ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑」の「ソコイトヨリ」やWEB魚図鑑」の「ソコイトヨリの画像群を見られたい)、実は腹部のずっと下方にあるので、向きによってはそれは見えなくなるからである。]

2018/06/19

栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 金線魚 糸ヨリ鯛 (イトヨリダイ)

 

金線魚 此名出閩書

 糸ヨリ鯛

 

Kiitoyoridai

 

[やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像の上下左右をトリミングして用いた。これはもう、尾鰭上端の糸状に伸びた特異点と、ややくすんでいるものの、体側表面の黄色筋状の模様から(「金線魚」という異名は実は尾の旒状部分に由来するのではなく、恐らくは泳いでいる際、この縦縞模様が金糸を織ったように美しく見えるからである)、

スズキ目スズキ亜目イトヨリダイ科イトヨリダイ属イトヨリダイ Nemipterus virgatus

に同定して間違いない。とても美しい魚である。是非、WEB魚図鑑」の「イトヨリダイ」の画像群を見られたい。

「此名出閩書」は『此の名、「閩書(びんしよ)」に出づ』で、「閩書」とは明の何喬遠(かきょうえん)撰になる福建省の地誌「閩書南産志」のこと。]

栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 アカサギ (アカイサキ)

 

アカサギ

 

Akazagi

 

[やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像の上下左右をトリミングして用いた。これは正直、同定したくなくなるほど、丹洲にしては絵が拙い。全体の形状と「アカサギ」という名称から、何となく、何とはなしにイサキ(スズキ目スズキ亜目イサキ科コショウダイ亜科イサキ属イサキ Parapristipoma trilineatum)っぽいものが臭ってくること、背鰭の棘条部の先端を有意に黒くしようとした跡が窺えることなどが、せめてもの特徴か。「真っ赤なイサキはいねえしなぁ」と思いながら調べてみると、いや! いるんだよ! 「アカイサキ」が!

スズキ目スズキ亜目ハタ科ハナダイ亜科アカイサキ属アカイサキ Caprodon schlegelii

だ。しかも、「ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑」の「アカイサキ」を見ると、神奈川県三崎での呼び名に「アカイサギ」(「赤伊佐磯」で「伊佐磯」は「イサキ」のことである)があると書かれている。さらに「アカイッサキ」「アカイセギ」もあるとある。こうなると、これ、「アカサギ」への転訛は、もう半歩だ! WEB魚図鑑」の「アカイサキ」を見ると、『胸鰭が長い。尾鰭は湾入しない。雄の体側には黄色斑が多数あ』り、『眼の周辺に黄色線がある』が、『雌は赤みを帯びる。雄の背鰭棘部には黒色斑が』一『つある。雌には数個の黒色斑が背鰭から体側の背部にかけてある』とある。本図の胸鰭は長い。尾鰭の湾入は「WEB魚図鑑」の多数の画像を見ると、本図と同じものはある。本図がアカイサキのならば全体の赤い色は納得出来る(例えば写真と図を比較されたい)。また、解説にある通り、同種は背鰭の棘条部の先の方の間膜が有意に黒くなっている個体が見受けられ、これは本図の微かな特徴と類似しているように私には思われるのである。]

2018/06/12

栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 方頭魚 (シロアマダイ)

 

方頭魚

 ヲキツダイ

 クヅナ【九州】

 アマダイ【東國】

 伊与宇和嶌《いようわじま》ノ産

 長サ一尺九寸許《ばかり》

 幅四寸五分許

Houtouuo


[やぶちゃん注:
国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像の上下左右をトリミングして用いた。これは本巻子本「魚譜」の二番目に出現した大型の図「豫州 アマダイ」(「豫州」は伊予国で現在の愛媛県)とほぼ同じである(図のサイズは三分の二以下と小さいが、描いた個体が同じ「伊与」(「伊豫」の誤記(略記))産とあるから、同一個体を描いたものかも知れぬ(だとすれば、以下に記す図の拙劣さから、こちらが一回目の素描と思う)。但し、持ち込まれたのが複数個体であった可能性もあろう)から、まず、文句なしに、それと同じく、

条鰭綱スズキ目スズキ亜目キツネアマダイ科アマダイ属シロアマダイ Branchiostegus albus

に同定してよい。但し、頭部や口腔の描写の質感、鰓の形状描出、鱗の細部の描き込みなどの点で、先の図より、遙かに劣る価値はデータとしてのキャプションだけと言ってもよい。

 本種はその体色から、市場では現在、「シラカワ」(白川・白皮)と呼ばれることが多いが、それ以外にも単なる「アマダイ」を始めとして、現在でも多様な方言名・流通名を持っており、「ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑」の「シロアマダイ」のそれらが列挙される。その中に「クズナ」「ムラサキクヅナ」の名を見出せ、他のサイトを調べると、「キンクズナ」(長崎)があり、また、先の「ムラサキクズナ」は鹿児島での呼称とする。また、既に先行する頭魚(アカアマダイ)」で注した通り、アマダイ類は別名「オキツダイ」(興津鯛)(静岡)とも呼ばれる(この由来も示したが、再掲しておくと、「おきつ」という名の奥女中が、徳川家康にこの魚を献じ、賞味されたからという説、及び興津(現在の静岡県静岡市清水区の地名。この附近(グーグル・マップ・データ))辺りで多く漁獲されたから、とも言われる)。

「伊与宇和嶌《いようわじま》」現在の愛媛県宇和島市。(グーグル・マップ・データ)。

「長サ一尺九寸許《ばかり》」全長約五十七センチ六ミリ。

「幅四寸五分許」体高十三センチ六ミリ。]

2018/06/11

栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 方頭魚 (イラ)

 

Hanaoredai

 

方頭魚 異品

   ハナオレダイ

   外ハナオレ

   ト呼フモノアリ

   同名異物

《「方頭魚」 異品。

  「ハナオレダイ」。外に「ハナオレ」と呼ぶものあり。同名異物。》

[やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像の上下左右をトリミングして用いた。

 まず、キャプションの「方頭魚」であるが、これは既に名前として本魚譜には既出で、「【和名オキツダイ アマタイ】」と出て、そこで私は、その図の魚を、所謂、「グジ」、条鰭綱スズキ目スズキ亜目アマダイ科アマダイ属アカアマダイ Branchiostegus japonicus に同定したのであった。しかし、丹洲が添えているように、この体色はトンデモない「異品」である。私はこんな体色の「方頭魚」=アマダイ類はいないのではないかと思うのである(しかし、「方頭魚」という漢名が丹洲にとって、まずはまず、「グジ」=アマダイであったことは、実は次の図(実際にはこの図の真上にあり、尾は本図の魚より、前の方に突き出ているから、電子化している私の順序から言うと、それを先にするところなのであるが、以下の考証上、どうしてもこれを先にしなくてはならぬと私は考えたのであった)が「方頭魚」で、そちらの方は間違いなく、「グジ」=「アマダイ」属にしか見えないことから明白なのである)。

 次に「ハナオレダイ」であるが、この異名は実は現在も使われており、通常のそれは、やはりこれも、やはり「コダイ(キダイ 初めての「鯛」)」で同定した、スズキ目スズキ亜目タイ科キダイ属キダイ Dentex hypselosomus の異名なのであるが、リンク先のその図を見て貰うと判る通り、キダイは泰然とした、基、「鯛」然とした真正のタイの仲間で、凡そこの図にあるような、多色刷り見たような派手な色はしていないし、体型も明後日どころか、千日前ぐらい違うから、絶対にキダイではないことは、幼稚園生でも判る。そもそもが、ここで丹洲がわざわざ『外に「ハナオレ」と呼ぶものあり。同名異物』としたのは、これは世間で、一般に「ハナオレダイ」、及び、それとは異種の「ハナオレ」と呼ばれている魚とは「違う!」とはっきり思っているから、わざわざ、こんなことを書き添えたのだと私は思う。

 則ち、言ってしまうと、ここまでで、キャプションの「方頭魚」も「ハナオレダイ」も「ハナオレ」も総て、同定比定には殆んど役立たないものであると考えた方がよいということを意味しているということである。

 但し、「異品」は大事な表現だと私はハッと思ったのだ!

 何故か?

 この前回に出した魚の図を思い出して貰いたいのだ。

 前回の「アマタイ(アカアマダイ? イラ?)魚の図は、まさに本魚の前(尾鰭の後ろ位置)に、同じ高さ・同じ大きさで描かれているのである(但し、貼り込みであって、連続した紙に描かれたものではない。国立国会図書館デジタルコレクションの画像のコマ10コマを見て戴きたい)が、そこでそれぞれの魚の画像を、並べて画面に示して貰いたいのである。と、本記事の画像のこれだ(★両方を別ウィンドウで開いて並べてみて!)。

 どうです? 色を問題にしないなら、頭の形とか極似だし、全体の体つきもよく似ているのである。

 さて、そこで、です。私は前回の「アマタイ」とキャプションのある魚を「アカアマダイ」か? 或いは「イラ」か? として、投げ出していたのを思い出して欲しいのである。アマダイは既に出たからいいとして、「イラ」は魚フリークか魚釣りをする人でないと判らないだろう。この子は、

スズキ目ベラ亜目ベラ科タキベラ亜科イラ属イラ Choerodon azurio

でアマダイとは科のレベル(タクソン)で異なる魚で、「伊良・苛魚」などと漢字表記する、本州中部地方以南・台湾・朝鮮半島・東及び南シナ海に棲息する魚である。ウィキの「イラによれば、全長は約四十~五十センチメートルで、『体は楕円形でやや長く、側扁』する。『また、イラ属はベラ科魚類の中では体高が高』く、『額から上顎までの傾斜が急で、アマダイを寸詰まりにしたようである』(これと以下が本図と完全に合致する点に注意で、しかもこの筆者は種としては縁のすこぶる遠い「アマダイ」を引き合いに出していることにも注意して貰いたいのである)。『老成魚の雄は前額部が隆起・肥大し』、『吻部の外郭は垂直に近くなる』。『アマダイより鱗が大きい』(またまた縁も所縁もないアマダイが出てきた! ということは、ですよ、イラはアマダイとは無縁な魚なのに見た目はアマダイに似ているということなのですよ!)。『側線は一続きで、緩やかにカーブする』『前鰓蓋骨の後縁は細かい鋸歯状となる』(これは本図の方ではっきりと見られる!)。『前部に最低』一『対の大きな犬歯状の歯(後犬歯』『)がある』(本図の口元見てみて!!)。『側線は一続』『尾鰭後縁はやや丸い』(これも本図と一致する)。『体色は紅褐色』『から暗紅色で腹側は色が薄く』(本図と一致!)、『尾鰭は濃い』。『口唇は青色』(本図と一致!)『で、鰭の端は青い。背鰭と腹鰭、臀鰭は黄色。背鰭棘部の中央から胸鰭基部にかけ、不明瞭で幅広い黒褐色の斜走帯が走る』。『その帯の後ろを沿うように白色斜走帯(淡色域』『)がある』(本図とモロ一致!!!)。『幼魚にはこの斜走帯はない』。『雌雄の体色や斑紋の差が大きい』とある。そうして、最後の「名前」(異名)の項を見ると、『名前からテンスやアマダイ、ブダイ、カンダイと混同されていることがわかる』として(注記号を消去した)、『アマ(和歌山県太地町)、アマダイ(甘鯛)』、『イソアマダイ(和歌山県)(磯甘鯛)』、『オキノアマダイ(沖甘鯛)』『(東京)』、『クジ』『(静岡県沼津)』が挙げられてあるのだ。則ち、現在でも「イラ」は「アマダイ」「グジ」と呼ばれている地方が有意にあるのである。

 最後にWEB魚図鑑の「イラ」写真を見なはれ! 本図の魚は間違いなく、「イラ」でんがな! この子ら、なんや、えらい、可愛いなあ!

2018/06/08

栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 アマタイ (アカアマダイ? イラ?)

 

アマダイ

 

Akaamdai2

 

[やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像上下左右をトリミングして、合成して(画像は魚体が分断されてしまっているため)用いた。キャプションは虫食いで見難くなっているが、尾鰭の付け根の下方に書かれてある。これを見なければ、思うに、他の種を考えた気がする。まずは既出の、

スズキ目スズキ亜目アマダイ科アマダイ属アカアマダイ Branchiostegus japonicus

を候補として挙げておくが、どうも何か、「違う」という私の中の呟きが聴こえる。その内心の声は、実は或いは、

スズキ目ベラ亜目ベラ科タキベラ亜科イラ属イラ Choerodon azurio

ではないか? と聴こえるのだ。これは次の形酷似の色違いの魚図で再考したい。

栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 タイ (マダイ)

 

タイ

 

Tai

 

[やぶちゃん注:キャプションは右上。虫食いがあるが、読める。国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像の上下左右をトリミングして用いた。背鰭と尻鰭の前方の棘条数(マダイはが違う(マダイの背鰭の棘条は十二本で後に軟条が十連なり、尻鰭も似たように棘条が三本で、後に軟条が八ある)のが気になるが、既に述べた通り、丹洲の図はそうした部分で必ずしも正確でないから、これを捉えて、他種を考える意欲が湧かない。連発で、

スズキ目スズキ亜目タイ科マダイ亜科マダイ属マダイ Pagrus major

とする。]

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