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カテゴリー「和漢三才図会巻第三十九 鼠類【完】」の25件の記事

2019/05/29

和漢三才図会巻第四十(末) 獸之用 皮(かは) //十二年半かけた「和漢三才図会」動物パート全十八巻のオリジナル電子化注を完遂した!!!

Kawa

 

かは   皮【和名加波】

     革【豆久利加波】

【音脾】

     韋【奈女之加波】

     靻【同右】

 

釋名云皮被也被覆體也剥取獸皮生曰皮理之曰革【音格】

去其毛革更也柔之曰韋【音爲】韋相背也獸皮之韋可以束

物枉戾相韋背故借以爲皮革【俗作※一字作非也】

[やぶちゃん注:「※1」は「韋」の「口」以下の下部を「吊」とした字。]

鞄人【柔革之工】柔革曰※2【奈女須】用稻藁灰汁和米糠畧煖之革

[やぶちゃん注:「※2」=(上)「比」+(中)「穴」+(下)「瓦」。「東洋文庫」訳では(上)「北」+(中){「穴」の第一画の点を除去した字}+(下)「瓦」であるが、私の原典は以上の通り。]

 表裏能揉洗以※3張晒之俟稍乾以竹箆刮去肌肉

[やぶちゃん注:「※3」=「籤」の(たけかんむり)の下部部分に(きへん)「木」を添えたもの。]

凡洗韋垢※4者以糯糠揉洗之不糠去晒乾可揉

[やぶちゃん注:「※4」=「耳」+「黒」。]

凡皮褥夏月不宜藏置可見風日否則毛脫

肉【音辱】

[やぶちゃん注:以下の二行分は、原典では上記「肉」の標題の下に二行で載る。]

 月【同】宍【古文】△按肉肥肉也月字中二畫竝連兩

 傍與日月之月不同俗用完字者宍字謬矣完

 【音桓】全也

 

 

かは   皮【和名「加波」。】

     革【「豆久利加波〔(つくりかは)〕」。】

【音「脾」。】

     韋【「奈女之加波〔(なめしかは)〕」。】

     靻【同右。】

 

「釋名〔しやくみやう)〕」に云はく、『皮は「被」なり。體を被〔(かぶ)〕り覆ふなり』〔と〕[やぶちゃん注:「體を被〔(かぶ)〕り覆ふなり」は和文としてはちょっとおかしい。「體を被覆せるものなり」あたりがよかろう。]。獸の皮を剥(は)ぎ取〔れる〕生を「皮」と曰ひ、之れを理(をさ)むる[やぶちゃん注:皮製品として毛を除去して(後述している)調製加工する。]を「革」【音「格」。】と曰ふ。「其の毛を去りて、革(あらた)め、更〔(か)へ〕る」〔こと〕なり。之れを〔さらに〕柔(やはらかにす)るを「韋」【音「爲」。】と曰ふ。「韋」は「相ひ背〔(そむ)〕く」なり。獸皮の「韋」〔は〕以つて物を束(たば)ねるべし[やぶちゃん注:物を束ねることが出来る。]。枉〔(ま)げ〕戾〔しても〕、相ひ韋-背〔(そりかへ)る〕。故に〔この字を〕借りて以つて「皮革」と爲す【俗に「※」の一字に作〔るは〕非なり。】[やぶちゃん注:「※1」は「韋」の「口」以下の下部を「吊」とした字。]。

鞄人〔(はうじん)〕【革を柔かにするの工〔(たくみ)〕[やぶちゃん注:職人。]。】革を柔かにするを、「※2[やぶちゃん注:音不詳。]」[やぶちゃん注:「※2」=(上)「比」+(中)「穴」+(下)「瓦」。]【「奈女須〔(なめす)〕」。】と曰ふ。稻藁の灰汁(あく)を用ひて、米糠に和(ま)ぜて、畧〔(ほぼ)〕、之れを煖〔(あたた)〕め、革の表裏〔を〕、能く揉み洗ひ、※3(たけぐし)[やぶちゃん注:「※3」=「籤」の(たけかんむり)の下部部分に(きへん)「木」を添えたもの。竹串。]を以つて張りて、之れを晒〔(さら)〕し、稍〔(やや)〕乾くを俟〔(ま)〕ちて、竹箆(〔たけ〕へら)を以つて、肌肉を刮(こそ)げ去る。

凡そ、「韋」の垢-※4(よご)[やぶちゃん注:「※4」=「耳」+「黒」。]れたる者を洗ふに、糯糠(もちぬか)を以つて之れを揉(も)み洗ひ、糠を去らずして、晒し乾し、揉むべし。

凡そ、皮の褥〔(しとね)〕、夏月、藏(をさ)め置く〔は〕宜しからず。風・日を見すべし[やぶちゃん注:風通しがよく、一定時間は太陽光線が射す場所に置いておくのがよい。]。〔かく〕否(〔せ〕ざ)れば、則ち、毛、脫(ぬ)ける。

肉【音「辱〔(ニク)〕」。】

「月」【同。】。「宍」【古文。】。[やぶちゃん注:同義字を掲げているので、通常項のように改行した。]

△按ずるに、肉は「肥肉」なり。「月」の字、中の二畫、竝びに〔→びて〕兩傍に連なる。「日月」の「月」と〔は〕同じからず。俗に「完」の字を用ひるには〔→用ひるは〕、「宍」の字の謬〔(あやま)〕り〔なり〕。「完」【音「桓」。】は「全きもの」〔の意〕なり〔→なればなり〕。

[やぶちゃん注:「釋名〔しやくみやう)〕」後漢末の劉熙が著した辞典。全八巻。ウィキの「釈名」によれば、その形式は「爾雅」に似るが、『類語を集めたものではない。声訓を用いた説明を採用しているところに特徴がある』。『著者の劉熙については、北海(今の山東省)出身の学者で』、『後漢の末』頃『に交州にいた』『ということのほかは』、『ほとんど不明である』「隋書」の「経籍志」には、『劉熙の著作として』本書の他に「謚法」(しほう:普通名詞としては「諡(おくりな)をつける法則」のことを指す)及び「孟子」注を『載せている』。『成立年代は不明だが』、二七三年に『韋昭が投獄されたときの上表文に「又見劉熙所作釈名」とある』。清の官僚で歴史家でもあった畢沅(ひつげん 一七三〇年~一七九七年)は、『釈州国篇の地名に建安年間』(後漢の献帝(劉協)の治世に用いられた元号。一九六年から二二〇年まで)『以降のものがあることなどから、後漢末から魏のはじめにかけての著作としている』が、清中期の考証学者銭大昕(せんたいきん 一七二八年~一八〇四年)は『三国時代』(「黄巾の乱」の蜂起(一八四年)による漢朝の動揺期から、西晋による中国再統一(二八〇年)まで。狭義には後漢滅亡(二二〇年)から晋が天下を統一した二八〇年までを、最狭義には三国が鼎立した二二二年から蜀漢が滅亡した二六三年までを指す)『の作とする説に反対し』、『後漢末の作とする』。なお、「後漢書」には劉珍の著書にも「釈名」が『あったことを記すが』、『劉熙とは時代が異なり、どういう関係にあるのか不明である』とある。以下は、同書の「釋形體」に、

   *

皮、被也、被覆體也。

   *

とあるものである。

「枉〔(ま)げ〕戾〔しても〕、相ひ韋-背〔(そりかへ)る〕」東洋文庫訳では『反対に巻き戻してもすぐもとに背(そり)かえる』とあり、私の添え文もそれを参考にさせて貰った。

『「※2」(「※2」=(上)「比」+(中)「穴」+(下)「瓦」)【「奈女須〔(なめす)〕」。】』現在の「鞣」(なめす)である。動物の皮は柔軟性に富み、非常に丈夫であるが、そのまま使用すると、すぐに腐敗したり、乾燥すると、板のように硬くなって柔軟性がなくなってしまう。この大きなデメリットの属性を、樹液や種々の薬品を使って変化させる方法が「鞣し」である。ここは製革業者団体「日本タンナーズ協会」公式サイト内の『「鞣す(なめす)」とは』に拠った。

「糯糠(もちぬか)」「糯(もち)」とはイネ(単子葉植物綱イネ目イネ科イネ亜科イネ属イネ Oryza sativa)やオオムギ(イネ科オオムギ属オオムギ Hordeum vulgare)などの作物の内で、アミロース(amylose:多数のα-グルコースス(α-glucose)分子がグリコシド結合(glycosidic bond:炭水化物(糖)分子と別の有機化合物とが脱水縮合して形成する共有結合)によって重合し、直鎖状になった高分子。デンプン分子であるが、形状の違いにより、異なる性質を持つ)を全く或いは殆んど含まない特定品種を指す。対義語は「粳(うるち)」で、組成としてアミロースを含む通常の米飯に用いるそれを「粳米(うるちまい)」と呼ぶ(以上はウィキの「糯」に拠った)。]

 

*   *   *

 

本項を以って、私の「和漢三才図会」の動物部の総て、全十八巻のオリジナル電子化注を遂に完遂した(別に藻類の一巻がある)。

 

 思えば、私が、その中、最初に電子化注を開始したのは、私が幼少時からフリークであった貝類の「卷第四十七 介貝部」で、それは実に凡そ十二年と半年前の、二〇〇七年四月二十八日のことであった。

 その時の私は、正直、偏愛する海産生物パートの完成だけでも、自信がなく、まさか、総ての動物パートをやり遂げられるとは、実は夢にも思っていなかった。

 海洋生物パートの貫徹も、幾人かの方のエールゆえ、であったと言ってよい。

 その数少ない方の中には、チョウザメの本邦での本格商品化飼育と販売を立ち上げられながら、東日本大地震によって頓挫された方がおられた。

 また、某国立大学名誉教授で日本有数の魚類学者(既に鬼籍に入られた)の方もおられた。「あなたの仕事は実に楽しく、また、有意義です」というメールを頂戴し、また、私の『栗本丹洲「栗氏千蟲譜」卷九』では、この先生の伝手で、無脊椎動物の幾つかの種の同定について、専門家の意見を伺うことも出来たのであった。

 ここに改めてその方々に謝意を表したい。

 以下、サイト「鬼火」と本ブログ「鬼火~日々の迷走」に分散しているため、全部に就いてリンクを張っておく。

 

ブログ・カテゴリ「卷第三十七 畜類」(各個版)

ブログ・カテゴリ「卷第三十八 獸類」(各個版)

ブログ・カテゴリ「卷第三十九 鼠+「動物之用」(ブログ各個版。「動物之用」は本来は以下の「卷第四十 寓類 恠類」の後に附録するパートであるが、ここに添えた)

卷第四十  寓 恠サイト「鬼火」の「心朽窩旧館HTML版)

ブログ・カテゴリ「和漢三才圖會 鳥★各個版で以下の四巻総て★

卷第四十一 禽部 水禽類

卷第四十二 禽部 原禽類

卷第四十三 禽部 林禽類

卷第四十四 禽部 山禽類

卷第四十五 龍蛇部 龍 蛇サイト「鬼火」の「心朽窩旧館HTML版)

卷第四十六 介甲部 龜 鼈 蟹サイト「鬼火」の「心朽窩旧館HTML版)

卷第四十七 介貝部サイト「鬼火」の「心朽窩旧館HTML版)

卷第四十八 魚部 河湖有鱗魚サイト「鬼火」の「心朽窩旧館HTML版)

卷第四十九 魚部 江有鱗魚サイト「鬼火」の「心朽窩旧館HTML版)

卷第五十  魚部 河湖無鱗魚サイト「鬼火」の「心朽窩旧館HTML版)

卷第五十一 魚部 江無鱗魚サイト「鬼火」の「心朽窩旧館HTML版)

ブログ・カテゴリ「和漢三才圖會 蟲類」★各個版で以下の三巻総て★

卷第五十二 蟲部 卵生類

卷第五十三 蟲部 化生類

卷第五十四 蟲部 濕生類

 

が動物部の総てであり、それに附録して、私のフリーク対象である海藻類を含む

卷第九十七 水草部 藻 苔サイト「鬼火」の「心朽窩旧館HTML版)

が加えてある。

 

 なお、私は植物は苦手で、向後も纏めてそれをやる意志は今のところ、ない。

 

 一つの私の「時代」が終わった――という感を――強く――しみじみと感じている。……では……また……何時か……何処かで…………

和漢三才図会巻第四十(末) 獸之用 蹯(けもののたなごころ)

Mikukyuu

 

けものゝ

たなこゝろ

 

【音番】※1【音柔】

[やぶちゃん注:「※1」=「凩」-「木」+「ム」。]

 

蹯者獸之掌也熊蹯味美煑之難胹得酒醋水三件同煮

熟卽大如皮毬也

爾雅云狸狐貒貈醜其足蹯其跡※1郭璞曰※1者指頭處

與※2同字蓋三隅矛曰※2此相似故名

[やぶちゃん注:「※2」=(上)「九」+(下)「ム」。]

 

 

けものゝ

たなごゝろ

 

【音「番」。】※1〔(じう)〕【音「柔」。】

[やぶちゃん注:「※1」=「凩」-「木」+「ム」。]

 

蹯〔(ばん)〕は獸の掌〔(たなごころ)〕なり。熊の蹯、味、美なり。之れを煑るに、胹〔(に)〕難し[やぶちゃん注:軟らかくなりまで煮ることが難しい。]。酒・醋〔(す)〕・水の三件を得て、同〔じくして〕煮れば、熟して、卽ち、大いさ、皮〔の〕毬〔(まり)〕のごとくな〔れ〕り。

「爾雅」に云はく、狸・狐・貒〔(〔ま〕み)〕・貈〔(むじな)〕の醜き其足〔にも〕蹯(たな心[やぶちゃん注:漢字のルビはママ。訓点の送りがなに含まれる漢字類(「云」「時」など)は今まで総て平仮名で示したが、明らかルビに振られた特異点なので、例外的に漢字で示した。])あり。其の跡、「※1〔(じう)〕」あり。郭璞〔(かくはく)〕が曰はく、『「※1〔(じふ)〕」は、指の頭の處なり。「※2〔(じう)〕」[やぶちゃん注:「※2」=(上)「九」+(下)「ム」。]と同字〔なり〕。蓋し、三隅の矛〔(ほこ)〕[やぶちゃん注:刃の部分が三稜を成している矛のこと。]を「※2〔(じう)〕」と曰ひ、此〔れに〕相ひ似る。故に名づく』〔と〕。

[やぶちゃん注:所謂、肉球を含めた獣類の掌。但し、挿絵では手の甲のそれも添えているから、手首から先全体とするのが本来は正しいかろう。

「爾雅」字書で全三巻・十九編。撰者未詳。周代から漢代の諸経書の伝注を採録したものとされる。後の「郭璞〔(かくはく)〕が曰はく」は「爾雅注疏」で十一巻。晉の郭璞の「爾雅」の注釈書で、北宋の刑昺(けいへい)疏。大変優れたもので、後世の人々から注疏の手本とされている。

「貒〔(〔ま〕み)〕」アナグマ或いはタヌキの異名。「和漢三才圖會卷第三十八 獸類 貒(み)(同じくアナグマ)」を参照。

「貈〔(むじな)〕」同前。この時代のこれらは厳密な生物学的種別ではないので、同定比定する気はない。]

和漢三才図会巻第四十(末) 獸之用 蹄(ひづめ)

Hidume

 

ひつめ  蹢【音的】

     【詩小雅有豕白蹢】

【音題】

     【和名比豆米】

 

切韻云蹄者畜足圓也岐曰甲【和名豆米】爪也

 

 

ひづめ  蹢〔(てき)〕【音「的」。】

     【「詩」[やぶちゃん注:「詩経」。]の

      「小雅」〔に〕、

      『豕〔(ぶた)〕に白蹢〔(はくてき)〕

       有り』といへり。】

【音「題」。】

     【和名「比豆米」。】

 

「切韻」に云はく、『蹄は畜の足の圓〔(まどか)なる〕なり。岐〔(また)〕あるを「甲」【和名「豆米」。】曰ひ、「爪」なり』〔と〕。

[やぶちゃん注:『「詩」の「小雅」〔に〕、『豕〔(ぶた)〕に白蹢』と有り』「詩経」の「小雅」の「漸漸之石(ざんざんしせき)」の一節。以前にも紹介した個人ブログ「raccoon21jpのブログ」のこちらで全文・訓読・和訳が出るので、参照されたい。詩篇本文の詩句が「有豕白蹢」である。

「切韻」隋の韻書。全五巻。六〇一年成立。反切(はんせつ:ある漢字の字音を示すのに、別の漢字二字の音を以ってする方法。上の字の頭子音(声母)と下の字の頭子音を除いた部分(韻母)とを合わせて一音を構成するもの。例えば、「東」の子音は「徳紅切」で「徳」の声母[t]と「紅」の韻母[]とによって[toŋ]とする類)によって漢字の音を表わし、百九十三韻を「平声(ひょうしょう)」・「上声(じょうしょう)」・「去声(きょしょう)」。「入声(にっしょう)」の四声に分類した書。陸法言・劉臻(りゅうしん)・顔之推・盧思道・魏彦淵・李若・蕭該・辛徳源・薛道衡(せつどうこう)の九人が、古今各地の韻書について議論した結果を、陸法言が系統的に整理した。原本は早く失われたが、敦煌から一部が発見されている。唐代、他の韻書を圧倒して、詩の押韻の基準に用いられ、その後、王仁昫(おうじんく)の「刊謬補欠切韻」、孫愐(そんめん)の「唐韻」等により増補し、北宋の陳彭年の「広韻」によって集大成された。これらは〈切韻系韻書〉と呼ばれ、中上古の中国語の体系や音韻を推定するための貴重な資料とされる(以上は「ブリタニカ国際大百科事典」に拠った)。辞書としての役割も持っている。]

和漢三才図会巻第四十(末) 獸之用 角(つの)

Tuno

 

つの    角

      【和名豆乃】

      䚡【音顋】

      【和名古豆乃】

【音覺】

      觘【音鈔】

      【和名沼大波太】

 

△按角獸頭上出骨也角中骨曰䚡【和訓古豆乃】角上浪皮曰

 觘【和訓沼大波太】曲骨曰觠【音權】以角觸物曰觝【與牴同和名豆木之良比】觸

 字本作?作觕會意

本綱羚羊角耳邊聽之集集鳴者良然今牛羊諸角但殺

之者聽之皆有聲不羚羊自死角則無聲矣

煑角作噐法 事林廣記云地骨皮牙硝柳枝與角同煑

 水則柔輭如土以作噐再以甘草水煑堅硬【鹿角之下亦有之】

 鹿角切浸水久則柔也鹿角之用甚多

――――――――――――――――――――――

きば

【音】

[やぶちゃん注:以下の内二行は原典では標題下にある。]

 猛獸牙之纖利曰※【所賣切】事林廣記云煑象牙

[やぶちゃん注:「※」=(「刹」-「刂」)+「閃」。]

 與木賊水同以砂鍋煑之水減則加熱水煑三

 伏時卽柔用作噐再以甘草水煑之堅硬

 

 

つの    角

      【和名「豆乃」。】

      䚡〔(さい)〕【音「顋」。】

      【和名「古豆乃〔(こづの)〕」。】

【音「覺」。】

      觘〔(せう)〕【音「鈔」。】

      【和名「沼大波太〔(ぬたはだ)〕」。】

 

△按ずるに、角は、獸の頭の上に出づる骨なり。角の中の骨、「䚡」【和訓「古豆乃」。】と曰ひ、角の上の浪〔打ちたる樣なる〕皮を「觘」【和訓「沼大波太」。】と曰ひ、曲れる骨を「觠〔(けん)〕」【音「權」。】と曰ひ、角を以つて物を觸(つ)くを「觝〔(てい)〕」【「牴〔(てい)〕」と同じ。和名「豆木之良比〔つきりらひ〕」。】と曰ふ。「觸」の字は、本(〔も〕)と、「?」に作り、〔また、〕「觕」に作り、〔これ、〕會意〔なり〕。

「本綱」、『「羚羊〔(れいよう)〕の角を耳の邊りに〔當て〕之れを聽くに、「集集(しゆつしゆつ[やぶちゃん注:ママ。オノマトペイア。])」と鳴る者、良し」〔と言へど〕、然れども、今、牛・羊の諸角――但し、殺(ころ)したるの者――之れを聽くに、皆、〔その〕聲、有り。羚羊のみならず、自死の角〔(つの)〕のには、則ち、聲、無し』〔と〕。[やぶちゃん注:以上の時珍の文章(以上総ては「本草綱目」の巻五十一上の「獸之二」の「羊」の「集解」の一節)では明らかに部分挿入をして述べているので、今までやったことのないダッシュを用いて示した。]

角を煑〔(に)〕て噐〔(うつは)〕を作る法 「事林廣記」に云はく、『地骨皮〔(ぢこつぴ)〕・牙硝・柳の枝を角と同〔じくして〕水に煑〔れば〕、則ち、柔輭〔に成ること〕[やぶちゃん注:「輭」は「軟」の本字。]、土のごとくにしして、以つて噐に作り、再たび、甘草水を以つて煑れば、堅硬〔と成れり〕【鹿角の下にも亦、之れ、有り。[やぶちゃん注:次の一行がそれであろう。]】』〔と〕。

『鹿の角は、切りて、水に浸〔すこと〕久しきときは、則ち、柔なり。鹿角の用、甚だ多し』〔と〕。

――――――――――――――――――――――

きば

【音[やぶちゃん注:欠字。]。】

猛獸の牙の纖(ほそ)く利(と)きを「※〔(さい)〕」[やぶちゃん注:「※」=(「刹」-「刂」)+「閃」。]【「所」「賣」の切。】「事林廣記」に云はく、『象牙を煑るに、木賊(とくさ)水と同じく〔して〕、砂鍋を以つて之れを煑る。水、減ずるときは、則ち、熱水を加へて、煑ること、三伏時[やぶちゃん注:三日。三昼夜。]、卽ち、柔なり。用ひて、噐に作り、再たび、甘草水を以つて之れを煑れば、堅-硬(かたま)る』〔と〕。

[やぶちゃん注:「會意」漢字の成り立ちを分類する六書(りくしょ)の一つ。二字以上の漢字を組み合わせて、同時にそれぞれの意味をも合わせて一字の漢字とすること。「日」+「月」=「明」、「女」+「取」=「娶」(めとる)などのケース。

「羚羊〔(れいよう)〕」「かもしか」とも訓読出来る。狭義の中国に棲息する「羚羊(かもしか)」となると、獣亜綱偶蹄目反芻亜目ウシ科ヤギ亜科カモシカ(シーロー(英名:serow))属 Capricornis の内で、シーロー亜属スマトラカモシカ(シーロー・ヒマラヤカモシカ)Capricornis sumatraensis(パキスタン北部・インド北部・中国南部・タイ・ミャンマー・スマトラ島などに分布。本種には別に Capricornis milneedwardsiiCapricornis rubidusCapricornis thar の三亜種がいるらしい)。詳しくは「和漢三才圖會卷第三十八 獸類 麢羊(かもしか・にく)・山驢(カモシカ・ヨツヅノレイヨウ)」の私の注を参照されたい。

「事林廣記」南宋末から元代にかけて、福建崇安の陳元靚(ちんげんせい)が著した日用の百科事典タイプの民間書籍。ウィキの「事林広記」によれば、『当時の民間の生活に関する資料を大量に含んでおり、かつ挿絵入りの類書という新しいジャンルを切りひらいた。わかりやすいために、広く普及した』。同書は記載中の『「帝系」の項に』、『「大元聖朝」の一節があり、そこに「今上皇帝中統五年」(』一二四六『年)「至元万万年」』『とあることから、元初のフビライの中統年間から至元年間のはじめ(』十三『世紀中ごろ)に書が完成したことがわかる。この本の原刊本は』既に『失われており、現在は元・明の刻本および和刻本などが知られているが、いずれも増改を経ている』。『元の時代の百科事典として、まず元朝の領域を示した「大元混一図」を置いている。その中に』、『元の上都・大都が描かれている。ついで』、『元朝の郡邑・蒙古字体・パスパ文字』(中国語「蒙古新字」「八思巴字」。十三世紀にモンゴル語など、大元ウルス(元朝)の各種言語表記に用いるために制定された表音文字。上から下へと縦に綴る。「方形文字(ほうけいもじ)」とも呼ばれる)の「百家姓」(伝統的な中国の教育課程に於いて子供に漢字を教えるための学習書の一種。中国の代表的な漢姓を羅列してあるだけの内容だが、「三字経」・「千字文」と同様に韻文の形式で書かれてある)や『元の官制・元の交鈔貨幣・元の皇帝などを順次』、『紹介している。それから元の市井生活および市民生活の常識を紹介しているが、そこでは』、『生活類百科事典ではじめて挿絵を使用している。挿絵には元の騎馬・弓術・拝礼・車両・旗幟・学校・先賢神聖・孔子・老子・昭烈武成王・宴会・建築・囲碁・シャンチー』(象棋。中国及びヴェトナムで盛んな将棋の一つで、二人で行うボード・ゲーム)『・投壺・盤双六・打馬(ダイスゲームの一種)・蹴鞠・幻術・唱歌などがあり、元の歴史や社会生活を研究する上』で、『一級の視覚的資料となっている』。『パスパ文字で書かれた百家姓に多くの紙幅をさいており、かつ「蒙古字体」の説明を行っている。パスパ文字は後世』、『使用されなくなり、元の滅亡後は廃棄されたため、このパスパ文字百家姓はパスパ文字の実物を残すものとして重要である』とある。

「地骨皮〔(ぢこつぴ)〕」被子植物門双子葉植物綱ナス目ナス科クコ属クコ Lycium chinense の根皮。漢方で清涼・強壮・解熱薬などに用いる。「枸杞皮(くこひ)」とも呼ぶ。

「牙硝」不詳。「馬牙硝」(ばがしょう)ならば、硫曹石を再結晶させて精製した、天然の硫酸ナトリウムの水和物。「芒硝(ぼうしょう)」とも呼ぶ。漢方薬では乾燥させた硫酸ナトリウムが便秘の際の便の軟化に用いられており、また、「おでき」や湿疹による炎症を鎮静させる効果も認められる。

「甘草水」植物のカンゾウ(中国の記載であるから、原産地が中国東北部とされている、双子葉植物綱マメ目マメ科カンゾウ属ウラルカンゾウ Glycyrrhiza uralensis とする)の草体全体か根などの部分か、生か乾燥品か、知らぬが、水に浸して得た水溶液であろう。

「木賊(とくさ)水」植物のシダ植物門トクサ綱トクサ目トクサ科トクサ属トクサ Equisetum hyemale を前注同様に(不明部分も同じ)に処理した水溶液であろう。

「砂鍋」土鍋のこと。]

2019/05/28

和漢三才図会巻第四十(末) 獸之用 牝牡(めを)

[やぶちゃん注:ここから以下は、本カテゴリの冒頭で述べた通り、「卷第四十 寓類 恠類」の後にある、短い「獸の用」のみを、便宜的にここで電子化注することとする。なお、この「獣之用」を以って「和漢三才圖會」の動物に関わる記載の私のオリジナル電子化注は、遂に、総てを終了することとなる。]

 

 

   獸之用

牝牡【臏母】

說文云畜母曰牝【和名米計毛乃】畜父曰牡【和名乎介毛乃】凡飛者曰雌

雄走者曰牝牡然亦通用雄狐綏綏則是走獸也雉鳴求

牝則是飛禽也凡鳥交接曰交尾獸交接曰遊牝【二共和名豆流

比】 淮南子云犬三月而生豕四月而生猨五月而生鹿

六月而生虎七月而生 春秋說題辭馬十二月而生

凡熊虎狐狸之聲曰嘷【音豪】牛鳴曰吼【吽同】犬鳴曰吠【音廢三字訓皆保由】

凡獸食蒭已久復出嚼之牛羊麋鹿皆然但其名異耳牛

曰※【齝同音鴟】羊曰齥【音泄】麋鹿曰齸【音益皆訓迩介加無】禽獸所食餘曰

[やぶちゃん注:「※」=「齒」+「同」。]

㱚【音殘】字从肉

以鼻動物曰鼿【音兀訓宇世流】

獸直前足坐曰蹲踞【俗云豆久波不】

尙書云中冬鳥獸氄毛【和名不由介】注云鳥獸皆生細毛自温

也毛落更生整理曰毨【音先】毛羽美悅之狀

 

 

   〔(けもの)〕の用

牝牡(めを)【〔音〕「臏母」。】

「說文」云はく、『畜〔(ちく)〕の母を「牝(め)」【和名「米計毛乃〔(めけもの)〕」。】と曰ひ、畜の父を「牡(を)」【和名「乎介毛乃〔(をけもの)〕」。】と曰ふ』〔と〕。凡そ、飛ぶ者を、「雌雄(しゆう)」と曰ひ、走る者を「牝牡(ひんぼ)」と曰ふ。然れども、亦、通用す。〔例へば、「詩經」に〕『雄狐〔(ゆうこ)〕綏綏〔(すいすい)〕』といふときは、則ち、是れ、走〔る〕獸なり。『雉(きじ)、鳴きて牝を求む』といふときは、則ち、是れ、飛〔ぶ〕禽〔(とり)〕なり。凡そ、鳥、交-接(まじは)るを、「交-尾(つる)む」と曰ひ、獸の交-接〔(まじは)〕るを「遊牝〔(つる)む〕」と曰ふ【二つ共に和名「豆流比〔(つるび)〕」。】。「淮南子〔(えなんじ)〕」に云はく、『犬は三月〔(みつき)〕[やぶちゃん注:以下、妊娠期間の月数。]にして生(こ〔を〕う)み、豕〔(ぶた)〕は四月にして生み、猨〔(さる)〕五月にして生み、鹿は六月にして生み、虎は七月にして生む』〔と〕。「春秋說題辭」に、『馬は十二月にして生む』〔と〕。凡そ、熊・虎・狐・狸の聲を「嘷(ほ)ゆる」【音「豪〔(コウ)〕」。】と曰ひ、牛の鳴くを「吼(ほ)ゆ」【「吽〔コウ/ク/イン/オン〕」も同じ。】と曰ふ。犬の鳴くを「吠(ほ)ゆる」【音「廢〔(ハイ)〕」。三字、訓、皆、「保由」。】と曰ふ。

凡そ、獸、蒭(くさ)[やぶちゃん注:草。馬や牛の飼料とする草であるが、その内、本来は乾燥させた干し草を指し、生のそれは「秣(まぐさ)」として区別していたらしい。]を食ひて、已に久しくして、復た出だして、之れを嚼〔(は)〕むを、牛・羊・麋〔(おほじか)〕・鹿、皆、然り。但し、其の名の異なるのみ。牛のを「※(にげか)む」[やぶちゃん注:「※」=「齒」+「同」。原典は『ニケカム』とルビする。反芻動物のそれは一般には「にれかむ」の読みが知られるが、「にげかむ」「にげがむ」の訓もちゃんとある。]【「齝」も同じ、音「鴟〔(シ)〕」。】と曰ひ、羊のを「齥(にげか)む」【音「泄〔(セツ)〕」。】と曰ひ、麋・鹿のを「齸(にげか)む」【音「益」。皆、訓「迩介加無〔(にげかむ)〕」。】と曰ふ。禽獸の食ふ所の餘(わけ)を「㱚〔(ざん)〕」【音「殘」。】と曰ふ。字は「肉」に从〔(したが)〕ふ[やぶちゃん注:「㱚」の旁(つくり)が「月」(にくづき)であることを指す。]。

鼻を以つて、物を動かすを、「鼿〔(こつ)〕」【音「兀〔コツ)〕」。訓「宇世流〔(うせる)〕」。】

獸、前の足を直〔(すぐにし)〕て坐〔(すわ)〕るを「蹲踞(つくぼ)う[やぶちゃん注:ママ。]」【俗に云ふ、「豆久波不〔(つくばふ)〕」。】と曰ふ。

「尙書」に云はく、『中冬、鳥獸、氄毛(ふゆげ)【和名「不由介」。】』〔と〕。〔その〕注に云はく、『鳥獸、皆、細毛を生じて自ら温〔むる〕なり。〔この〕毛、落ちて、更に生じて整理〔せる毛〕を「毨〔(せん)〕」【音「先」。】と曰ひ、毛羽〔の〕美悅の狀なり』〔と〕。

[やぶちゃん注:「說文」「説文解字(せつもんかいじ)」。後漢の許慎の著になる西暦一〇〇年頃に成立した現存する中国最古の字書。全十五巻。漢字を「扁 (へん)」と「旁 (つくり)」 によって分類し、その成立と字義を解説したもの。書名は「文字」を「説解」したという意で、略して「説文」と呼ばれる。部首は「一」に始り、「亥」に終る五百四十部に亙り、各部に属する文字は類義字の系列順で配列されてある。各字は、まず、秦代の小篆を掲げ、その古字がある場合は下に付記して(「重文」と称する)字体の変遷を示す。則ち、見出し字である小篆九千三百五十三字と、その重文千百五十三字が収められてある。漢字の造字法を「象形」・「指事」・「会意」・「形声」・「転注」・「仮借」の現在も分類として現役の「六書 (りくしょ)」 に分類し、各字について、その造字法と字義とを解説している。漢字の本質を説明した最古にして最も権威ある書で、甲骨文字が発見され、音韻論・語源研究の発達した今日にあっても、その解説は概ね正しいとされ、逆に本書があって初めてこれらの研究が進んだ。漢字の配列・分析に使われる「部首」や、以上の「六書」の発明と相俟って、中国の実証的学問研究の端緒を成すものとされる。テキストは宋初の校訂本が規準とされ、清代にはそれを校合した「説文」研究が盛んとなり、多くの注釈が生れた。中でも清代の考証学者段玉裁の「段注説文解字」(全三十巻・一八〇七年成立) が、強引な論証をも含むものの、最も精密なものとされている(以上は「ブリタニカ国際大百科事典」に拠った)。]

「畜〔(ちく)〕」人が何らかの目的を以って飼育する動物のみを指すが、それだと、そうでない動物の♀♂を「牝牡」と呼んではならないことになるので、これが厳密な意味での本来の原義という謂いであると言う意味で示してあるのである。

「米計毛乃〔(めけもの)〕」言わずもがなであるが、「牝獣(毛物)(めけもの)」の謂いであり、後の「乎介毛乃〔(をけもの)〕」も「牡獣」。

「〔例へば、「詩經」に〕『雄狐〔(ゆうこ)〕綏綏〔(すいすい)〕』といふ」「詩経」の「斉風」の「南山」に出る詩句(書誌情報は平凡社「東洋文庫」訳に拠った)。ここは、「♂のキツネが♀キツネを求めて、ゆるやかに身も軽く、水が流れるように野を走ってゆく」というさまを詠んでいる。詩全体は例えば、個人ブログ「raccoon21jpのブログ」のこちらの原文・訓読・現代語訳及び解説を見られたい。

「雉(きじ)、鳴きて牝を求む」これも実際には前の引用に合わせて「詩経」を念頭に置いていよう。同「邶風」の「匏有苦葉(ほうゆうくよう)」の詩句に「雉鳴求起牡」(雉は鳴き その牡(オス)を求め起(はじ)む)とあるからである。全篇は先の方のブログのこちらで読める。

『凡そ、鳥、交-接(まじは)るを、「交-尾(つる)む」と曰ひ、獸の交-接〔(まじは)〕るを「遊牝〔(つる)む〕」と曰ふ【二つ共に和名「豆流比〔(つるび)〕」。】』この部分、私は良安の割注が気に入らない。前の語はそれを動詞として訓じて訓読しているのであるから、割注の内の和名を名詞で示すというのは、そもそもおかしいからである。

「淮南子〔(えなんじ)〕」(「え」は呉音であるが、こう読まねばならない論理的理由は実は全くない)前漢の武帝の頃に淮南(わいなん)王劉安(紀元前一七九年~紀元前一二二年)が学者を集めて編纂させた思想書。

「春秋說題辭」「春秋」に付会された「緯書(いしょ)」(儒家の経書を神秘主義的に解釈した書物類の総称)の一つで、前漢末頃成立と推定されるもの。東洋文庫訳の書名注では、『一巻。無名氏撰』で、『経書をまねて、吉凶禍福や未来のことを予言した書物で』、「春秋」『に仮託した緯書の一つ』とするが、緯書の書名は三文字で附けられるのが一般的であると、個人サイト「学退筆談」の「『春秋説題辞』は「春秋説」の題辞にあらず」にあって、この書名は正しくない旨の批評が記されてある。

「吽」この字、「阿吽(あうん)」の「ウン」であるが、この「ウン」は仏教の呪言(じゅごん)での音であるので、採用しなかった。

も同じ。】と曰ふ。犬の鳴くを「吠(ほ)ゆる」【音「廢〔(ハイ)〕」。三字、訓、皆、「保由」。】と曰ふ。

「麋〔(おほじか)〕」これを「なれじか」と読み、トナカイ(馴鹿:鯨偶蹄目反芻亜目シカ科オジロジカ亜科トナカイ属トナカイ Rangifer tarandus)とする場合もあるが、トナカイは現行では中国に分布せず、文字列から見ても、ここは「大型の鹿」の意でとるべきである。「和漢三才圖會卷第三十八 獸類 麋(おほしか)附・雙頭鹿(大型のシカ或いはシフゾウ)」も参照されたい。

「字は「肉」に从〔(したが)〕ふ」「㱚」の旁(つくり)が「月」(にくづき)であることを指して謂っている。

「鼿〔(こつ)〕」『訓「宇世流〔(うせる)〕」』岩波書店「広辞苑」に「鼿(うせ)る」の見出しで載り、他動詞で活用未詳(四段・下一段活用の両説があるとする)で、『けものが鼻先でものをつき動かす』とあり、「和名類聚鈔」を出典例とする。調べてみると、「和名類聚鈔」の巻第十八の「毛群部第二十九 毛群體第二百三十五」に、

   *

鼿 「説文」云、『鼿【「五」「忽」反。宇世流。】以鼻動物也』。

   *

とある。

「尙書」「五経」の一つである「書経」の古名。「尚(とうと)ぶべき書」の意。夏・商(殷)・周の史官が当時記録したものを、周末に至って孔子が編纂したとされる君主や重臣の訓告を主とするものであるが、中には後世の偽作も含まれているとされる。

「整理〔せる毛〕」しっかりと、再度、生え揃った毛。]

和漢三才図会巻第三十九 鼠類 鼬(いたち) (イタチ)/ 和漢三才図会巻第三十九 鼠類 電子化注~完遂

Itati

 

 

いたち   鼠狼  鼪【音生】

      ?【音谷】 地猴

【音佑】

      【和名以太知】

ユウ

 

本綱鼬狀似鼠而身長尾大黃色帶赤其氣極臭其毫與尾可作筆其肉【甘温有小毒】臭此物能捕鼠及禽畜亦能制蛇虺

△按鼬其眼眩耳小吻黒全體黃褐色身長而柔撓雖小隙竹筒反轉無不出能捕鳥鼠惟吮血而不全食之其聲如輾木音群鳴則以爲不祥或夜中有熖氣高升如立柱呼稱火柱其消倒處必有火災蓋群鼬作妖也

水鼬 本此一種常棲屋壁穴覘瀦池入水捕魚性畏蟾蜍如相見則鼬困迷又畏瓢簞故養魚池邊安瓢簞

 

 

いたち   鼠狼  鼪〔(せい)〕【音「生」。】

      ?〔(こく)〕【音「谷」。】

      地猴〔(ちこう)〕

【音「佑〔(イウ)〕」。】

      【和名「以太知」。】

ユウ

 

「本綱」、鼬、狀〔(かたち)〕、鼠に似て、身、長く、尾、大〔なり〕。黃色に赤を帶ぶ。其の氣〔(かざ)〕、極めて臭し。其の毫〔(がう)〕[やぶちゃん注:細い毛。]尾と與(とも)に筆に作るべし。其の肉【甘、温。小毒有り。】〔は〕臭し。此の物、能く、鼠及び禽〔(とり)〕・畜〔(けもの)〕を捕ふ。亦、能く、蛇・虺〔(まむし)〕を制す。

△按ずるに、鼬、其の眼、眩(かがや)き、耳、小さく、吻〔(くちさき)〕黒く、全體、黃褐色。身、長くして、柔〔かく〕撓〔(たをや)かなり〕。小〔さき〕隙〔(すき)〕・竹の筒と雖も、反轉して出でざるといふこと無し。能く、鳥・鼠を捕へて、惟だ、血を吮〔(す)〕ひて、全く、之れを食らはず。其の聲、木を輾(きし)る音のごとし。群鳴すれば、則ち、以つて不祥[やぶちゃん注:不吉の前兆。]と爲す。或いは、夜中、熖氣、有りて、高く升(のぼ)り、柱を立つるがごとし。呼んで、「火柱〔(ひばしら)〕」と稱す。其の消へ[やぶちゃん注:ママ。]倒るゝ處、必ず、火災、有りといふは、蓋し、群鼬、妖を作〔(な)〕すなり。

水鼬〔(みづいたち)〕 本(〔も〕と)、此〔の〕一種〔なり〕。常に屋壁の穴に棲みて、瀦池(ためいけ)を覘(ねら)い[やぶちゃん注:ママ。]、水に入りて、魚を捕る。性、蟾蜍(ひきがへる)を畏る。如〔(も)〕し、相ひ見るときは、則ち、鼬、困迷す。又、瓢簞〔(へうたん)〕を畏る。故に魚を養(か)ふ池邊に瓢簞を安(お)く。

[やぶちゃん注:食肉(ネコ)目イヌ亜目イタチ科イタチ亜科イタチ属 Mustela に属する多様な種群を指す。ウィキの「イタチ」等によれば、世界には十六乃至十八種が現生し、本邦には、一九六〇年代以降に飼育個体由来の北海道で野生化した北米原産の外来種アメリカミンク(ミンク)Mustela vison を除くと(良安の時代に合わせてこれは数えない)、以下の四種七亜種ほどが棲息する。中国産種はよく判らぬので示さないが、イタチ・オコジョ・イイズナ類の多数種が分布するようである。

ニホンイタチ(イタチ)Mustela itatsi(本州・四国・九州・南西諸島・北海道(偶発的移入):日本固有種:チョウセンイタチMustela sibirica の亜種とされることもあったが、DNA解析により別種と決定されている)

ニホイタチ亜種コイタチ Mustela itatsi sho(屋久島・種子島個体群)

チョウセンイタチ Mustela itatsi coreana(対馬のみに自然分布。本州西部・四国・九州の個体群は外来侵入種で、これは一九四九年頃に船舶の積荷などに紛れ込んで朝鮮半島から九州に侵入したとも、また、同時期に毛皮業者が養殖のために持ち込んで脱走し、西日本を中心に分布を広げたともされる。ニホンイタチの棲息域を圧迫している)

チョウセンイタチ亜種ニホンイイズナ Mustela itatsi namiyei (青森県・岩手県・山形県(?):日本固有亜種。キタイイズナより小型で、日本最小の食肉類とされる。なお、ウィキの「イイズナ」によれば、『東北地方や信州では「飯綱(いづな、イイズナ)使い」「狐持ち」として管狐(くだぎつね)を駆使する術を使う家系があると信じられていた。長野県飯綱(いいづな)山の神からその術を会得する故の名とされる』。『民俗学者武藤鉄城は「秋田県仙北地方ではイヅナと称し』、『それを使う巫女(エチコ)〔イタコ〕も」いるとする』。『また』、『北秋田郡地方では、モウスケ(猛助)とよばれ、妖怪としての狐よりも恐れられていた』とある。)

チョウセンイタチ亜種キタイイズナ(コエゾイタチ)Mustela itatsi nivalis (北海道。大陸に分布するイイズナの亜種)。

オコジョ亜種エゾオコジョ(エゾイタチ)Mustela erminea orientalis(北海道及び千島・サハリン・ロシア沿海地域に分布)

オコジョ亜種ホンドオコジョ(ヤマイタチ)Mustela erminea nippon(本州中部地方以北:日本固有亜種)

以下、ウィキの「ニホンイタチ」を引く。『成獣の大きさはオスとメスで異なり、オスはメスより大きい。体長は、オス』で二十七~三十七センチメートル、メスで十六~二十五センチメートル、尾長はオスで十二~十六センチメートル、メスで七~九センチメートル。体重はオスで二百九十~六百五十グラム、メスで百十五~百七十五グラム。『毛色は個体により様々だが、躯体は茶褐色から黄褐色である。鼻筋周辺は暗褐色。尾の色は』体幹部『とほぼ同色』。『乳頭数は、胸部』にはなく、腹部に二対、鼠径部に二対で、合計八個』。『指趾数(指の数)は、前肢が』五『本、後肢が』五『本』である。『本種は冬眠は』せず、一『年中』、『活動し、その活動時間帯は特に定まっておらず、昼夜活動する。繁殖期以外は基本的に単独で行動する。本種の手足の指の間には蹼(みずかき)があり、泳ぎが得意である。厳冬期にも水に入り、潜ることもある。主な活動地域は川や湖沼、湿地、沢などの水辺であるが、水辺から離れた森林地帯にも生息しており、樹木に登ることもある』。『用心深く』、『後肢で』二『本足立ちして周囲を見回すことがある。この行動を』「目蔭(まかげ)」と称する。『巣は、既存の穴や隙間を使用する』。『メスの活動領域はオスの活動領域よりも狭く、オスの活動領域は複数のメスの活動領域にまたがる』。『食性は主に動物食で、ネズミや鳥、両生類、魚、カニ、ザリガニ、昆虫類、ミミズ、動物の死体など。また、ヤマグワやサクラ、ヤマブドウ、マタタビ、コクワ(サルナシ)の実などの植物質のものも食べる』とある。ここには挙げられていないが、本文にあるように、蛇類も有意に捕食するウィキの「イタチ」の「伝承」の項によれば、『日本古来からイタチは妖怪視され、様々な怪異を起こすものといわれていた』。江戸時代の百科辞典「和漢三才図会」に『よれば、イタチの群れは火災を引き起こすとあり、イタチの鳴き声は不吉の前触れともされている』(本項のこと)。『新潟県ではイタチの群れの騒いでいる音を』、六『人で臼を搗く音に似ているとして「鼬の六人搗き」と呼び、家が衰える、または栄える前兆という。人がこの音を追って行くと、音は止まるという』。『また』、『キツネやタヌキと同様に化けるともいわれ、東北地方や中部地方に伝わる妖怪・入道坊主はイタチの化けたものとされているほか、大入道や小坊主に化けるという』。『鳥山石燕の画集』「画図百鬼夜行」にも『「鼬」と題した絵が描かれているが、読みは「いたち」ではなく「てん」であり』、『イタチが数百歳を経て』、『魔力を持つ妖怪となったものがテンとされている』(後掲する。先行する「和漢三才図会巻第三十九 鼠類 貂(てん)(テン)」も参照)。『別説ではイタチが数百歳を経ると狢になるともいう』。『イタチを黒焼にして飲めば、こわばりなどに良いという伝承が長野県にある』。また、知られた怪奇現象に「かまいたち」があり、『何もしていないのに突然、皮膚上に鎌で切りつけたような傷ができる現象のことを指す』が、『かつては「目に見えないイタチの妖怪のしわざ」だと考えられていたが、現在では、乾燥した肌が衝撃を受けることで裂ける生理現象であると判明している。最近まで、「空気中にできた真空によって引き起こされる」と説明されていたが、科学的な根拠はない』。但し。『「かまいたち」は「構え太刀」が転じたもので、元来はイタチとは全く関係がない、とする説もある』とある。

「其の氣〔(かざ)〕、極めて臭し」所謂、「鼬の最後っ屁(ぺ)」である。イタチは犬や猫のように、肛門周辺に一対の臭腺を持っており。臭腺はマーキングの用途以外にも外敵に襲われた際に用いる。イタチは外敵と遭遇すると、この臭腺から強烈な悪臭を放ち、相手がひるんだ隙に逃げ出す。その悪臭は取れるまでに時間がかかり、嗅覚が優れている動物にとっては地獄のような苦しみであるという。

「虺〔(まむし)〕」マムシ亜科 Crotalinae(ここにはハブ類が含まれる)マムシ属 Gloydius のマムシ類。本邦産種は有鱗目ヘビ亜目クサリヘビ科マムシ亜科マムシ属ニホンマムシ Gloydius blomhoffii と(但し、本種は中国・朝鮮半島にも棲息する)、一九九四年に対馬固有種の独立種として分割されたツシママムシ Gloydius tsusimaensisの二種のみであるが、中国にはマムシ属だけでも複数種が棲息する(中文ウィキの「亞洲蝮屬」(アジアマムシ属)を参照されたい)。また、「和漢三才圖會 卷第四十五 龍蛇部 龍類 蛇類」の「蝮蛇(はみ)」(マムシ)他の項も参考となるので見られたい。

「惟だ血を吮〔(す)〕ひて、全く、之れを食らはず」誤認。そんなことはない。この俗信について、Q&Aサイトの回答で、イタチの専門家ではないと言い添えられながら、『イタチが鶏小屋などに侵入すると』、『とりあえず』、『そこにいる鶏を全部殺して、そのうえで自分の食べる分を持ち帰るから』と思われ、その血だらけになった惨状を『あとから』、『人間が見ると』、『食べもしないのに』、『殺した様子が「血を吸った」ように見え』たものと思われるとあった。目から鱗の解説である。

「其の聲、木を輾(きし)る音のごとし」短いが、You Tube 駆除屋 CH氏の「イタチの鳴き声が聞けました。」がよい。

「夜中、熖氣、有りて、高く升(のぼ)り、柱を立つるがごとし。呼んで、「火柱〔(ひばしら)〕」と稱す」ウィキの「イタチ」に添えられてある、昔から、「何だか、不思議な絵だな」と思っていた鳥山石燕「画図百鬼夜行」の妖獣「鼬」の絵は、まさにこの「鼬の火柱」を形象化したものだったのだと私には思われて、腑に落ちた。

「水鼬〔(みづいたち)〕」これはまさに普通にイタチの習性である。良安は「本(〔も〕と)、此〔の〕一種〔なり〕」とするが、これをわざわざ上記のニホニイタチ以外のイイズナやオコジョ類の別な種に限定同定する必要を私は感じない(魚食に特化したイタチの仲間は本邦には、どうなんだろう、いない気がするが)。

「性、蟾蜍(ひきがへる)を畏る。如〔(も)〕し、相ひ見るときは、則ち、鼬、困迷す。又、瓢簞〔(へうたん)〕を畏る」孰れも由来不詳。ただ、御存じの通り、ヒキガエルは有毒物質を持ち、犬でさえも誤って噛みつくと、その毒(ブフォトキシン(bufotoxin:激しい薬理作用をもつものが多い強心配糖体の一種。主として心筋(その収縮)や迷走神経中枢に作用する)等)には激しく苦しむというから、イタチも学習していて、好んで捕食はしないであろうから、腑には落ちる(「和漢三才圖會卷第五十四 濕生類 蟾蜍(ひきがへる)」の私の注を参照)。また、後者については、単なる思い付きであるが、瓢簞はよく磨くと光るが、イタチは光り物を嫌うという俗信は古くからあったからそれで説明可能かも知れない。

 以上を以って「和漢三才図会巻第三十九 鼠類」は終わっている。]

2019/05/27

和漢三才図会巻第三十九 鼠類 猬(むささび/のぶすま) (ハリネズミ)

Harinezumi

 

けはりねすみ  彙 毛刺

        蝟鼠

【音彙】

 

ヲイ

 

本綱猬頭觜似鼠刺毛似豪猪蜷縮則形如芡房及栗房

攅毛外刺尿之卽開其刺端分兩頭者爲猬如棘針者爲

䖶人犯之便藏頭足毛刺人不可得能制虎跳入虎耳中

而見鵲便自仰腹受啄物相制如此其脂烊鐵中入水銀

則柔如鉛錫

 

 

けはりねずみ  彙〔(い)〕 毛刺〔(まうし)〕

        蝟鼠〔(いそ)〕

【音「彙」。】

 

ヲイ

 

「本綱」、猬は頭・觜〔(くちさき)〕、鼠に似て、刺(はり)の毛、豪猪(やまあらし)に似る。蜷(ま)き縮(ちゞま)るときは、則ち、形、芡房(みづふき)及び栗(くり)の房〔(いが)〕のごとし。毛は攅(あつま)り[やぶちゃん注:密集して群がって。]、外に〔向きて〕刺〔(とげ)〕あり。之れに尿〔(ゆばり)すれば〕、卽ち、開く。其の刺の端、兩頭を分かつ者、「猬」と爲し、棘針のごとき者を「䖶〔(かい)〕」と爲す。人、之れを犯せば、便〔(すなは)〕ち、頭足、毛刺に藏(かく)して、人、得べからず。能く虎を制す。虎の耳の中に跳〔(をど)〕り入る。而〔(しか)〕も、鵲〔(かささぎ)〕を見れば、便ち、自ら、腹を仰けて、啄〔(くちばし)〕を〔甘んじて〕受く。物、相ひ制すること、此くのごとし。其の脂、鐵〔の〕中に烊〔(とか)〕し、水銀を入るれば、則ち、柔かにして、鉛(なまり)・錫(すゞ)のごとし。

[やぶちゃん注:ここはまずは、東アジアから北東アジアに分布し、現代では日本の一部地域にペット由来の外来種として定着している、哺乳綱ハリネズミ目ハリネズミ科ハリネズミ亜科ハリネズミ属アムールハリネズミ Erinaceus amurensis と同定比定してよかろう。但し、日本では更新世(約二百五十八万年前から約一万年前)の堆積物からハリネズミ類の化石が見つかっていることから、太古には日本列島にもハリネズミが棲息していたものと推測される(ここはウィキの「アムールハリネズミ」に拠る)。広義のハリネズミ類(ハリネズミ亜科Erinaceinaeの仲間)は、ユーラシアとアフリカに分布し、現在、五属十六種がいる。体はずんぐりとし、背面には堅い針状毛を持ち、尾は痕跡的。手足は頑丈で、強大な爪を持つ。平地の農耕地・低木林・草原などに棲み、地上性・雑食性で、温帯に分布するものは、冬に冬眠をする。時珍は針の先の違いで二種を挙げているが、「棘針のごとき者」で「䖶〔(かい)〕」という名のそれをアムールハリネズミとすれば(同種は棘先が分かれてはいないだろうと思う)、「其の刺の端、兩頭を分かつ」「猬」とは何なのかはよく判らない。識者の御教授を乞うものである。

「豪猪(やまあらし)」「和漢三才圖會卷第三十八 獸類 豪豬(やまあらし)(ヤマアラシ)」を参照されたい。また、私の図入りの電子化注『栗本丹洲自筆(軸装)「鳥獣魚写生図」から「豪猪」(ジャワヤマアラシ)』も、是非、どうぞ! 但し、両者の棘(とげ)は使用属性が全く異なる。本ハリネズミのそれは自己防衛のための装置であるが、ヤマラシのそれは積極的な危険な攻撃用具として現に存在しているのである。

「芡房(みづふき)」「水蕗」で、スイレン目スイレン科オニバス(鬼蓮)属オニバス Euryale ferox の異名。一属一種。ウィキの「オニバス」によれば、『アジア原産で、現在ではアジア東部とインドに見られる。日本では本州、四国、九州の湖沼や河川に生息していたが、環境改変にともなう減少が著し』く、『かつて宮城県が日本での北限だったが』、『絶滅してしまい、現在では新潟県新潟市が北限となっている』。『植物』体全体に『大きなトゲが生えており、「鬼」の名が付けられている。特に葉の表裏に生えるトゲは硬く鋭い』ことから、ここに比喩として挙げたのである。なお、私たちが小さなころから写真で見慣れた、子供が乗っている巨大な蓮は、スイレン目スイレン科オオオニバス(大鬼蓮)属オオオニバス Victoria amazonica で、和名は酷似するが、別種である。

「之れに尿〔(ゆばり)すれば〕、卽ち、開く」って、人がってことなわけだけど、「ミミズに小便」式に考えると、恐(コワ)!!!

「虎の耳の中に跳〔(をど)〕り入る」虎、痛(イタ)!!!

「鵲〔(かささぎ)〕」スズメ目カラス科カササギ属カササギ亜種カササギ Pica pica sericea「和漢三才圖會第四十三 林禽類 鵲(かささぎ)(カササギ)」をどうぞ。

「物、相ひ制すること、此くのごとし」自然界の架空の相克関係を五行思想でこじつけているだけである。

「其の脂、鐵〔の〕中に烊〔(とか)〕し、水銀を入るれば、則ち、柔かにして、鉛(なまり)・錫(すゞ)のごとし」殆んど錬金術!!!]

和漢三才図会巻第三十九 鼠類 䶉(たけねずみ)・鼯鼠(むささび/のぶすま) (タケネズミ・ムササビ・モモンガ)

Takenezumi

 

 

たけねすみ  竹㹠

 【音留】

 

本綱䶉出南方居土穴中食竹根之鼠也大如兎人多食

之味如鴨肉凡煮羊以䶉煮鼈以蚊物性相感也

――――――――――――――――――――――

むささひ

鼯鼠

のふすま

[やぶちゃん注:以下は原典では上記三行の下部に配されてある。]

△按鼯鼠毛色形畧似鼠而有肉翼

 也【詳于原禽類伏翼之次】

 

 

たけねずみ  竹㹠〔(ちくとん)〕

 【音「留」。】

 

「本綱」、䶉は南方に出づ。土〔の〕穴の中に居り、竹根を食ふ鼠なり。大いさ、兎のごとし。人、多く、之れを食ふ。味、鴨肉のごとし。凡そ、羊を煮るに、䶉を以つてし、鼈〔(すつぽん)〕を煮るに、蚊を以つてす。物性、相感〔するもの〕なり。

――――――――――――――――――――――

むささび

鼯鼠

のぶすま

△按ずるに、鼯鼠は、毛色・形、畧〔(ほぼ)〕鼠に似て、肉の翼(つばさ)有るなり。【原禽類〔の〕「伏翼〔(かはほり)〕」の次〔じ〕[やぶちゃん注:次第。当該項の解説。但し、これは「和漢三才圖會第四十二 原禽類 䴎鼠(むささび・ももか)(ムササビ・モモンガ)」の項の誤り(「伏翼(かはほり)(コウモリ)」はその前項)。]に詳らかなり。】。

[やぶちゃん注:齧歯目ネズミ亜目ネズミ下目タケネズミ科タケネズミ亜科Rhizomyinae に属するタケネズミ(竹鼠)類。平凡社「世界大百科事典」によれば、中国中部及び南部からアッサム・マレー半島・スマトラにチュウゴクタケネズミ Rhizomys sinensis など三種が分布する。体長は二十三~四十八センチメートル、尾長は五~二十センチメートル、体重は一~四キログラム。体幹は太く、四肢が短くて、耳介と目が小さい。前足の爪、特に第三指の爪が長く、穴掘りに適応している。上下の門歯は大きく口外へ突出し、これは穴掘りにも使用する。竹の下に穴を掘り、その根を摂餌する。

「羊を煮るに、䶉を以つてし、鼈〔(すつぽん)〕を煮るに、蚊を以つてす。物性、相感〔するもの〕なり」「鼈」は潜頸亜目スッポン上科スッポン科スッポン亜科 Trionychinae に属するスッポン類(世界的には約十三属を数えるが、中国産では養殖食用種として著名なキョクトウスッポン属シナスッポン Pelodiscus sinensis がまず挙げられる(本邦にも生息するが、在来種ではないと思われる)。因みに本邦種は大陸にも棲息する同属のニホンスッポン Pelodiscus sinensis。但し、本邦種は在来個体群(大陸からの侵入・移入個体ではなく)のものとしてこれを Pelodiscus sinensis japonica として亜種と見る向きもある)。孰れも五行の性質から、肉を柔らかくするということを謂う。このスッポンとの相制については、「和漢三才圖會 卷第四十六 介甲部 龜類 鼈類 蟹類」の「鼈」の「本草綱目」の引用にも、

   *

蚊を畏る。生きたる鼈、蚊に叮(く)はれ、遇して、則ち、死す。死したる鼈、蚊を得て煮るときは、則ち爛〔(ただ)〕[やぶちゃん注:煮崩れる。]る。蚊を熏〔(くん)〕ずるに、復た、鼈甲を用ひてす。物、報-復(むく)ふこと此くのごとし。異なるかな。

   *

とある。「物、報復ふこと」とは、蚊に刺されると死に、一緒に煮ると、その体を解かすという、正に鼈の天敵である蚊に対して、死んだ鼈の甲羅が、蚊を退治するための燻しに用いられるということは、本来、生時の一方向の「制」のベクトル(蚊が鼈を制する)でも、生死という位相が変じれば、逆のベクトルとしての「制」が発生するという、物質同士の互換性のある相互的因果応報があるということを指しているようである。

「鼯鼠」及び誤った「伏翼」については、上記リンク先の本文と私の注を参照。ムササビ・モモンガ・コウモリ類を中国の本草書が鼠類や鳥類と重複誤認するのは、その体型から判らなくはない。]

和漢三才図会巻第三十九 鼠類 黃鼠(きいろねずみ) (ダウリアハタリス)

Kiironezumi

 

きいろねずみ 禮鼠 拱鼠

       鼲鼠 貔貍

黃鼠

 

ハアン チエイ

 

本綱黃鼠狀類大鼠黃色而足短善走極肥穴居有土窖

如牀榻之形者牝牡則所居之處秋時畜豆粟草木之實

以禦冬各爲小窖別而貯之村民以水灌穴而捕之味極

肥美也晴暖則出坐穴口見人則交其前足拱而如揖乃

竄入穴其皮可爲裘領性最畏鼠狼此鼠大原及沙漠等

北地有之遼人尤以供上膳爲珍饌

 

 

きいろねずみ 禮鼠 拱鼠〔(きようそ)〕

       鼲鼠〔(こんそ)〕

       貔貍〔(ひそ)〕

黃鼠

 

ハアン チエイ

 

「本綱」、黃鼠、狀、大鼠に類して、黃色にして、足、短かく、善く走る。極めて肥え、穴居して土の窖(あな)に有り。牀榻〔(しやうたふ)〕[やぶちゃん注:床(ゆか)寝台。長寝椅子。]の形のごとくなる者、牝牡、則ち、所居(しよきよ)の處なり。秋時、豆・粟〔(あは)〕・草木の實を畜(たくは)へて以つて冬を禦(ふせ)ぐ。各々〔(それぞれ)に〕小〔さき〕窖を爲し、別にして、之れを貯之(たくは)ふ。村民、水を以つて穴に灌(そゝ)ぎて之れを捕ふ。味、極めて肥美なり。晴〔れて〕暖〔かに〕して、則ち、出でて穴の口に坐す。人を見るときは、則ち、其の前足を交〔(まぢ)〕へ、拱(こまぬ)いて[やぶちゃん注:ママ。]揖〔(れい)を〕[やぶちゃん注:中国の昔の礼式の一つで、両手を胸の前で組み、これを上下したり、前にすすめたりする厳粛な礼法。]するがごとし。乃〔(すなは)〕ち、穴に竄(かく)れ入る。其の皮、裘(かはごろも)の領(えり)と爲すべし。性、最も鼠-狼(いたち)[やぶちゃん注:「鼬」。]を畏る。此の鼠、大原及び沙漠等の北地に、之れ、有り。遼人[やぶちゃん注:満州・シベリア・極東にかけての北東アジア地域に住み、ツングース語族に属する言語を母語とする狩猟民族であるツングース族。]、尤も以つて上膳に供して、珍饌と爲す。

[やぶちゃん注:齧歯目リス科 Xerinae 亜科 Marmotini 族に属するジリス(地栗鼠:所謂、地上性生活するリス類の総称)の内、最後の「遼人」の居住域から見て、Spermophilus属ダウリアハタリスSpermophilus dauricus と同定してよいかと思われる。英文ウィキの「Daurian ground squirrelを見ると、分布・生態がよく一致する。詳しくはそちらを参照されたい。]

2019/05/25

和漢三才図会巻第三十九 鼠類 貂(てん) (テン)

Ten

 

 

てん   栗鼠 松狗

     【和名天牟】

【鼦同】

     黑貂【和名布

        流木】

 

本綱貂鼠屬大而黃黒色如獺而尾粗也其毛深寸許紫

黑色蔚而不耀用皮爲裘帽風領寒月服之得風更暖著

水不濡得雪則消拂靣如熖拭眯則出亦奇物也惟近火

則毛易脫毛帶黃色者爲黃貂白色者爲銀貂此鼠好食

栗及松皮故名栗鼠【高麗女直韃靼等諸胡國皆有】

△按貂在山中狀類鼬而身長大如獺毛色亦似鼬而胸

 腹褐色頰短而醜其皮爲鋒槍之鞘袋時珍以爲栗鼠

 蓋本朝謂栗鼠與貂其類不遠而異也【栗鼠乃鼠屬貂鼬屬】

 云老鼬變成貂然乎否能治眯【塵埃入于目中曰眯】

 

 

てん   栗鼠(りす) 松狗〔(しやうく)〕

     【和名「天牟〔(てむ/てん)〕」。】

【「鼦」同じ。】

     黑貂【和名「布流木〔(ふるき)〕」。】

 

「本綱」、貂は鼠の屬にして、大にして黃黒色、獺〔(かはうそ)〕のごとくにして、尾、粗なり。其の毛、深さ寸許り、紫黑色、蔚(しげ)りて[やぶちゃん注:「繁茂して」。緻密みみっちりと生えていることを言っている。]、耀(かゞや)かず[やぶちゃん注:光沢はない。]。皮を用ひて裘〔(かはごろも)〕・帽・風領〔(かざえり)〕に爲〔(つく)〕る。寒月、之れを服すに、風を得て〔も〕更に暖きなり。水に著〔(つけ)〕て〔も〕濡れず、雪を得て〔も〕、則ち、消ゆる。靣[やぶちゃん注:毛皮の表面。]を拂ひて〔は〕[やぶちゃん注:摩擦してみると。]熖〔(ほのほ)〕のごとく〔熱くなり〕、眯〔(び)〕[やぶちゃん注:目の中に入った塵(ごみ)。]を拭ひて〔は〕、則ち、〔それを〕出だす。亦、奇物なり。惟だ、火も近づくときは、則ち、毛、脫(ぬ)け易し。毛、黃色を帶ぶる者、「黃貂〔(きてん)〕」と爲し、白色なる者、「銀貂」と爲す。此の鼠、好んで栗及び松皮を食ふ。故に「栗鼠〔(りす)〕」と名づく【高麗・女直(ぢよちよく)・韃靼〔(だつたん)〕等の諸胡國、皆、有り。】。

△按ずるに、貂は山中に在り。狀、鼬〔(いたち)〕の類にして、身、長く、大いさ、獺〔(かはうそ)〕のごとし。毛色も亦、鼬に似て、胸・腹、褐(きぐろ)色。頰、短く、醜(みにく)し。其の皮、鋒-槍〔(やり)〕の鞘袋〔(さやぶくろ)〕と爲す。時珍、〔本「貂」を〕以つて、「栗鼠(りす)」と爲す。〔而れども、〕蓋し、本朝に謂ふ「栗鼠(りす)」と「貂(てん)」と、其の類、遠からずして、而〔れども〕異なり【「栗鼠」は、乃〔(すなは)ち〕、鼠の屬。「貂」は鼬の屬なり。】。〔或いは〕云ふ、「老〔いたる〕鼬、變じて貂と成る」と。然るや否や。能く眯〔(び)〕を治す【塵埃、目の中に入るを、「眯」と曰ふ。】。

[やぶちゃん注:食肉(ネコ)目イヌ亜目イタチ科イタチ亜科テン属 Martes のテン類。テン属には、北アメリカに、アメリカテンMartes americana・フィッシャー(fisher)Martes pennantiの二種があり、ヨーロッパからアジアにかけて、クロテンMartes zibellina・マツテンMartes martes・キエリテンMartes flavigula・コウライテンMartes melampus coreensis(朝鮮半島南部。但し、捕獲例が二例あるのみ)など七種が棲息する。本邦には孰れも固有亜種の、ホンドテン Martes melampus melampus(本州・四国・九州自然分布。北海道・佐渡島へ移入。沖縄県には棲息しない)と、対馬にのみ棲息するツシマテン Martes melampus tsuensis が棲息する。小学館「日本大百科全書」によれば、『どの種も毛皮が美しいために乱獲され、一時は非常に減少したが、現在では世界各国とも保護策をとっている。また、クロテンは養殖もされている。体形はいずれも似ていて、イタチ』(食肉(ネコ)目イヌ亜目イタチ科イタチ亜科イタチ属 Mustela本巻掉尾が「鼬」である)『より大きく、四肢が長い。毛色は黄ないし黒褐色で、のどの部分が淡い。冬毛と夏毛で毛色が異なるものも多い。いずれも森林にすみ、昆虫や小動物のほか、果実も好む』。本邦産は『体長は雄で』四十五~五十『センチメートル、尾長』十七~二十三『センチメートル、雌はやや小さい。夏毛は全体に褐色で、耳からのどにかけて黄色、顔と四肢は黒い。冬毛は変異が大きく、キテン』(種名ではなく、毛色の有意な相違による呼称。ホンドテンは体色(冬毛)に東北地方などの主に寒冷地に棲息する全身が黄色の個体群と、四国・九州などの主に温暖地に棲息する黄褐色の個体群との、二つの色相がある。前者のように全体に美しい黄色を呈して頭と顔が白いものを「キテン」(黄貂)、地色は夏毛と殆んど変わらずに頭・顔・咽頭部が淡い褐色となるものを「スステン」(恐らくは「煤貂」)と呼ぶ。時珍の言う『白色なる者、「銀貂」と爲す』と言うのも、中国産種の異種ではなく、同一種の中の、そうした毛色の型位相を指している可能性が高い)『ように全体に美しい黄色で、頭と顔が白いものから、スステンのように地色は夏毛とほとんど変わらず、頭、顔、のどが淡い褐色となるもの』、『および』、『その中間型もあり、色相によって区別される別型と考えられている。対馬』『産の亜種ツシマテン』『の冬毛はスステンに似るが、頭、顔、のどは白い。テンの各型および亜種とも、四肢、とくにその先端はつねに黒いが、クロテンと違い』、『尾の先端は黒くない』。『テンは山地から平野部の森林にすみ、高山には少ないが、人里近くにもみられる。日中は樹洞などに潜み、夜間に活動する。雑食性で、昆虫、カエル、トカゲ、小鳥、ネズミなどの動物質のほか、果実も食べ、とくに秋にはノブドウ、アケビ、ムベなどをよくとる。木登りは非常に巧みである。繁殖期以外は単独で生活する。交尾は春から夏にみられ幅があるが、出産は』四~五『に限られ』一産で二~四子を産む。『夏にみられる交尾で』は『妊娠するかどうか』が『わかっていないが、胎児が発育を停止する妊娠遅延があるとも考えられ』ているという。『テンは、毛皮を利用するためと』、『夜行性』であることから、本邦では、『銃器によらず、とらばさみや箱わななどのわなで捕獲する。日本での捕獲数は年間』一『万頭、東北地方と群馬、長野、新潟、島根などの各県が多い。北海道と愛媛県は現在捕獲禁止としている』。『利用はおもにコート、襟巻などで、寒い地域のキテンが価値が高く、なかでも背の下毛が白い根白(ねじろ)が最高級とされ』、『ついで』、『下毛の赤褐色の根赤(ねあか)、黒褐色の根青(ねあお)』の順『となり、暖地のスステンは黒く染色して、より価値の高いクロテンの代用にされる程度である。また、テンは養鶏場や養魚場へ侵入して害を与えることもあり、これらの業者からは嫌われている』とある。なお、漢字「貂」の音は「テウ(チョウ)」で「てん」は訓である。現代中国語では「diāo」(ディアォ)であるが、中国では地方によりまた、朝鮮語音では「トン」と発音することから、本邦ではそれが訛って「てん」となったものと言う。

「貂は鼠の屬」誤り。テンは齧歯(ネズミ)目 Rodentia にあらずして、肉食(ネコ)目 Carnivora である。最後の珍しい良安の時珍への正当な批判も、言わずもがなの「其の類、遠からずして、而〔れども〕異なり」とやらかした部分で、ややズッコケている。但し、割注のと『「栗鼠」は、乃〔(すなは)ち〕、鼠の屬。「貂」は鼬の屬なり』は「栗鼠」は齧歯目リス亜目リス科 Sciuridae で、「鼬」は既に見た通り、食肉(ネコ)目であるから、正しい。

「獺〔(かはうそ)〕」食肉目イタチ科カワウソ属ユーラシアカワウソ Lutra lutra、本邦の日本人が滅ぼしたそれは、ユーラシアカワウソ亜種ニホンカワウソ Lutra lutra nippon「和漢三才圖會卷第三十八 獸類 獺(かはうそ)(カワウソ)」を参照。

「風領〔(かざえり)〕」着衣の大きくとった防寒用の襟。

「高麗」(九一八年~一三九二年)は首都は開京(現在の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)南部にある開城(ケソン)市)。十世紀の最大版図時には、朝鮮半島の大部分に加え、現在の中国の元山市や鴨緑江まで及んだ。この名称は朝鮮半島を表す英語「Korea」の語源である。

「女直(ぢよちよく)」「女眞」(じょしん)に同じで、本来は民族名である「ジュルチン」「ジュシェン」での読みも一般的である。満洲の松花江一帯から外興安嶺(スタノヴォイ山脈)以南の外満州にかけて居住していたツングース系民族が居住し、実効支配していた中国の北外。

「韃靼〔(だつたん)〕」「タタール」に同じ。本来は、モンゴリア東部に居住したモンゴル系遊牧部族タタールを指した中国側の呼称。「タタール部」は十一世紀から十二世紀にかけて、モンゴリアでは最も有力な集団の一つであり、また、モンゴル族の中でも多数を占めていたという。このため「宋」では「タタール部」を「韃靼」と呼んだが,それは拡大してモンゴリア全体を指す呼称としても用いられた。十二世紀末から十三世紀初め、モンゴル部にチンギス・ハーンが出現し、モンゴル帝国が出現するに及んで、「タタール部」の力は衰えた。ここはやはり中国北部外の旧地を指す。

「胡國」古代より中国北方の異民族(夷狄(いてき))の国を呼んだ「野蛮な国」の意を含む蔑称。]

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