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カテゴリー「夢」の97件の記事

2017/06/11

竹林白虎図屏風の人物となる夢

今日に日付けが変わった頃……
 
一幅の竹林図屏風が立ててある……
 
その屏風の中、向かって右手奥に、中国服を着た僕が隠者然として正面を向いて立っている……
 
すると、屏風左手から白虎がゆっくりと入ってくる……
 
それに気づいた絵の中の僕は「嗚呼!(ウーフー!)」と叫ぶ――
 
   *
 
実際に大きな声で自身、「うをぉおおおッツツ!」と叫んで目覚めた。妻はまだ階下のカウチで寝ていたのは幸いであった。
 

2017/05/28

タルコフスキイと逢う夢

僕は修学旅行の引率で[やぶちゃん注:この設定が如何にもしょぼいが仕方がない。]ロシアに行く――

そうして、あの「鏡」の故郷の家を訪れる――

そこにアンドレイと妹のマリーナが待っている――

僕は感激のあまり、言葉も出ない――というより、ロシア語も出来ず、頭に浮かぶ片言に組み立てられた英語の文字列が全く僕自身の感動を伝えていないことに絶望的になって――言葉が出ない――

アンドレイはただ黙って私を見つめている――

そのあの例の鋭い眼は

「――何でもよい――思いを語れ――」

と命じている――

僕は絶望的に発すべき言葉が吃って出てこない――[やぶちゃん注:これはまさに「鏡」のプロローグのあの青年のようだ!]

そんな僕の心を察した僕のすぐ横に座っているマリーナが――突如――僕を抱きしめ、キスをする――

アンドレイはそれを見て初めて笑ってうなずく……

モスクワ空港――

私は小さな紙切れにマリアに宛てて

「あなたの兄アンドレイは1986年12月29日に亡くなります」

と懸命に辞書を引きながら、ロシア語で綴って、泣きながらポストに投函した……

2017/05/03

夢二題

一昨日の夢――

H高校の体育館で独り「ゴルトベルグ変奏曲」を弾いているグレン・グールドが、アリアを弾き終わると、振りかえって、たった独りで聴いている僕を呼んだ。

「第一変奏を弾くのだ。」

と彼は僕に言う。

「それから最終変奏もね。それが君の『運命』さ。」

と言い添える。そうして夢の中で僕はグールドと二人で全曲を弾き上げた。聴衆は誰もいない…………

   *

今朝方の夢――

夕暮れである。M高校の小さな方の職員室の中央の大きな机に僕は蒲団を敷いて氷囊を乗せて寝ている。僕は何か重い熱病に罹っているようだ。

大きな職員室から母が入って来て、

「直史――土筆を採ってきて。土筆ご飯を作るから――」

と言う。

『アリスを散歩させながら採りに行こう……でも、もう今は土筆は終わってしまってるし……』

と、ぼぅとした頭で考えていると、6時のチャイムが聴こえた。

「……母さん……学校はもうじき、自動警備に入るから帰らなくてはいけないんだよ……」

母は

「土筆ご飯……作れないわねぇ……」

と淋しそうに言った。

僕も淋しかった…………


 

2017/03/14

妖異饕餮點燈夢

……僕は今やつてゐるのと同じやうに自分の書齋で柴田宵曲文集第六卷(平成三(一九九一)年小澤書店刊)「妖異博物館」を開いてパソコンで注を打つてゐる。――

……ところが……その底本の本文には……饕餮文(たうてつもん)を鐫(ほ)り込んだ小さな小さな銅製の楯が幾つか並らんでゐて……それらの楯の上には……これまた――小さな小さな青白い人魂が白氣を騰(のぼ)らせ乍ら……ちらちらと燃えているのである……

といふ夢を、今朝、見た。
僕は遂に――妖怪の力を借りて注を打つ――眞怪――となつたらしい。

2017/03/08

変な夢

こんな夢を見た。

僕は嘗て勤務した学校の同窓会に招かれているようだ。

そこで一人の女子生徒が僕に「今年の××大学[やぶちゃん注:超有名な私大であるが伏せておく。]の小論文問題なのですが……」と言って意見を求めてきた。その問題を手に取った……

 

――トウギョ[やぶちゃん注:この後に常染色体と性染色体の記号が羅列されてあるが、後者は三つ記されてあったように記憶する。]を4個体(♂2・♀2)、広い水槽で飼育している。そこに5個体目の♂を入れた。ここで♂の闘争によって他個体が死滅することがないと仮定して、F世代の♂の個体には後から入れた5個体目の遺伝子はどれだけ残されている可能性があるかを簡潔に述べよ(但し、ハーディー・ワインベルクの法則を用いてはならない)。――

 

僕は、

「……これ、何故、トウギョなのだろう?……そもそも、ハーディー・ワインベルクの法則を用いてはいけない、ってどういうこと?……因みにトウギョは……性転換は、しないよね?……」

などと呟いたのを覚えている。

その生徒と、その問題を議論しながら一緒にとある都会の居酒屋の前を通りかかる。

するとその店の前に大きな水槽があって、そこにまさにトウギョのつがいが華麗に泳いでいるのを見つけた。

「この店! トウギョを食わせるのか!!」

と憤慨した途端、その小論文の答えと、その答えが持つところの、××大学の〈忌まわしい意図〉が僕に瞬時に認識されたのであった。それを生徒に語って入学を辞退するように説得した。しかし、それに対して、その女生徒は、

「先生、やっぱりそれでよかったのですね! 正解でした! 合格しました!!!」

と叫んで、彼女は独り、スキップをしながら、夜の街路を遠ざかって行った……

[やぶちゃん注:条鰭綱スズキ目オスフロネムス科ゴクラクギョ(極楽魚)亜科ベタ(トウギョ/闘魚)属 Betta :「ベタ」は原産であるタイのメコン川流域での方言名由来で日本語ではない。なお、本邦ではこの「トウギョ」で狭義にベタ・スプレンデンス Betta splendens を指すことが多い)。私はせいぜいトウギョの美麗さと、♂が強いテリトリーを持ち、非常に激しい攻撃性を示すこと、浮き巣を形成して仔の養育と保護をすること程度しか知らない。彼らの性染色体の数も知らぬ。多分、性転換はしないであろう。]

2017/01/24

SMAPラスト・ステージ出演夢

極めて久しぶりに夢を見たら――トンデモ夢だった――

SMAPのラスト・ステージに出演することとなる夢である――

 
しかもそのためにSMAPと一緒に最後の新曲を一緒に創るのである――
 
しかも――言わんでもええのに、僕は、出来上がっていた歌詞の一部に難癖をつけ始め、それをまたSMAPのみんなと一緒に、ああだこうだ、と創り変えたりするのである……
 
……見知らぬ北の海辺の漁村(そこの少年少女はSMAPのことを知らなかった)にプロモーション・ビデオの撮影に行ったりした……
 
……と……そこまではすこぶる楽しかった……ところが……
 
――気がつくと、もう明日が本番のライヴなのだ
 
――だのに、僕はその歌詞も暗記していないのである!
 
――しかも、決まった振付も――無論、彼らはバッチリなのに――僕は全く教えられていないのだ!
 
――草彅剛が
「一番後ろに君はいるから、前の僕たちを見て真似してればそれで平気だよ。」
と慰めてくれるのであるが……

……これはもう絶望的に地獄なのであった…………

[やぶちゃん注:遺憾乍ら、僕には彼らへの思い入れは殆んど全くない。寧ろ、かなり以前から、彼らは実は仲が悪いのではないか、と生理的に実感してさえいたから、今回の騒動は実はすこぶる腑に落ちたのでもあった。しかし、ただ一枚だけ彼らのベスト・アルバム「クール」は発売(1995年)された時に買って持っている。「がんばりましょう」のメロディ・ラインの半音の上下行が一聴して気に入り、歌詞の「東京タワーで昔」の下りに強く惹かれたからである。なお、私が初めて東京タワーに昇ったのは、そのもっと後、2006年の高校生の社会見学の引率の折りであった。私は、今でもそれを張り貼けた東京タワーの土産物を内心、欲しいと思う人種である。なお、最後に草彅が語りかけてくるのであるが、これは僕が個人的にメンバーの中で彼にだけ、理由はよく判らぬが不思議に好意を持っているからであろう。]

2016/12/11

人魚夢

三日前の未明の夢――

人々によって人魚が捕獲される。僕はあまりに可哀想になって婚姻届に僕の名を書き(彼女の姓名の欄には姓に「人」(ルビ:にん)、名「魚」(ぎょ)と書いたことは覚えている)、目出度く受理され、僕は捕獲者らが口をポカンと開けて呆然としている中、彼女をお姫さま抱っこして正当に引き取るのであった――

そのまま(僕が彼女をだっこしたまんま)スペインのコスタ・デ・ソルの無人の砂浜にいる。

僕は波打ち際へと入ってゆき、彼女を沖へ放つ。

彼女は波頭に一跳びすると、水面で尾鰭だけで「さよなら」をして海底(うなぞこ)へと消えていった……

[やぶちゃん注:ここより前段の捕獲シーンを眺めている場面があったが、記憶を再構成してしまっている惧れがあるのでカットした。実に残念なことは、彼女(人魚)の顔を全く覚えていないことである(これは覚醒時も同様であった)。しかし、浦島太郎的迂遠な乙姫との出逢いから復讐顛末という残酷性からは救われており、久しく悪い夢しか見ていない僕には珍しい「いい夢」であった。実はこの夢、僕にはすこぶる納得出来る夢であり、かなりはっきりとした解釈が出来るのであるが、それは他人には面白くないことであるから、ここには記さない。序でに言えば、コスタ・デ・ソルには十数年前の灼熱の夏、ガウディ参りの途次に寄ったけれど、砂浜は芋洗い状態で、しかも半数近い女性がトップレスであったため、砂ばかり弄っていて海を少しも見られず(僕は僕のウブであることを暗に言っているのではない。実際にそうした中に投げ込まれると恐らく多くの日本人男性はそうなるはずである)、早々にホテルに引き揚げ、ホテルのプール際で、やおら、持参した岩波文庫の「北越雪譜」を読み続けたのを思い出すばかりである。
 
ふと、思い出した好きな詩がある。
 
伊藤整の「海の少女に」だ。彼のパブリック・ドメインは僕の生きているうちには来ないような気がしてきたので、ここにひっかけて引用で出そう。

  
  海の少女に   伊藤 整
 
ではお歸り。
そこの濱風がおまへを呼んでゐる。
海續く草原に牛が鳴き
岬は七月の草木に埋まつて
鳴り騷ぐ浪の上に臨んでゐる。
おまへは其處の金色の朝日に射られて
鷗のやうに羽搏くのだ。
 
おまへの惱みから逃れ
おまへを疲らすものを脱ぎすてて
砂上の裸足の少女になり
髮を吹かれる微風の子になり
磯の貝を拾つてゐるうちには
浪の音に今までの言葉も思ひだせなくなり
もしかしたら自分は
天上から來たみなし兒だと考へるやうになるだらう。
 
でもあり日ふと足もとに泡立つ浪のおもてに
ぽつかりと私が寫つたら
おまへは始めて悟つて驚くだらう。
私を置いて行つてから
どんなに長いことになつてゐるかを。

底本は昭和33(1958)年新潮文庫「伊藤整詩集」を用いた。これはその初版の28刷で昭和55(1980)年刊のものだが、ああ、この時代(僕は既に教員二年目)でも正字正仮名の正統なるこれが、たった280円で売られていたことをさえ、僕はなんだかひどく古えのことのように懐かしく思い出していた……]

 

2016/11/03

文楽人形になる夢――

 

30日の未明に見た夢――どうも不可思議で記さずにはおけぬ夢――

僕は大阪の文楽劇場の楽屋に入ってゆく――

僕はそこで――文楽の女形のかしら「むすめ」の人形――になる――ことになっている――のである

僕は鏡に向かって独りで――顔に白い胡粉を刷(は)き――娘の髷を被り――娘の衣裳を纏う……

僕の上半身はすっかり「むすめ」の人形になっていた――

ところが、そこで僕は尿意を催してしまう。文楽の女形には下半身はないのだが、僕の下半身はまだ人間なのである。見下ろしてみると、僕はタイトなGパンを穿いている。
[やぶちゃん注:僕は実はGパンが好きでない。高校時代に穿いていたことはあるが、記憶の中では二十代以降、現在に至るまでGパンを穿いたことがなく、持ってもいないのである。]。
僕はこれを脱ぐ。そうして上半身は「むすめ」人形のままでトイレに行こうとすると、楽屋にいる太夫や人形遣たちが、

「あかん。人形になったら、もう、御不浄へは行けんのや。……そやな……裏の坪庭の垣根の辺りで……しなはれ……」

と言うのである。「むすめ」人形上半身の下半身パンツ一丁の僕は、おしっこを我慢して、ひた走りに楽屋の奥に向かって走るのであった…………

そこで実際の尿意を催して目覚めた。午前三時であった。その時、僕は

「僕を遣う面遣(おもづかい)は是非、蓑助さんで、あってほしい。」

と訳の分からぬ感想を感じていた…………

 

2016/10/26

タルコフスキイを撮る夢

本未明のタルコフスキイを撮る夢――

僕はどこかの国の高台の修道院に匿われているタルコフスキイと面会している。

[やぶちゃん注:後からその修道院が遠景で映し出されるれるが、それは「ノスタルジア」ドメニコが世界の終末のために家族を匿うロケ地とよく似ていた。]

背後の壁は全体を大きなゴブラン織りが覆っていて、その上にルブリョフの「三位一体図」(троица:トローイツァ)が掛かっている。

[やぶちゃん注:ゴブラン織りは「鏡」の「作家」の家のもの、言わずもがな、「三位一体図」は「アンドレイ・ルブリョフ」の最後に映し出されるあれだ。]
タルコフスキイは、
「明日、官憲が私を捕縛に来る。その連行される一切が今回の私の作品のエンディングとなる。君は他の二人とともにそれを撮るのだ。」
と僕に命じながら、右手で絨毯の上に伏せしている犬の頭を撫でる。犬は僕を見て尻尾を振る。犬はシェパードである。

[やぶちゃん注:この犬は言わずもがな、「ノスタルジア」の「ゾイ」である。]

隣りの部屋に後の二人がいる。一人は長机の部屋の奥の端に僧衣を被っており、今一人は、その真反対にある出窓の前で外を見ている。二人とも暗く沈んでいる。

僧衣の男はアナトリー・ソロニーツィン、窓辺の男はトニーノ・グエッラであった。

[やぶちゃん注:前者 Анато́лий Алексе́евич Солони́цын 1934年~1982年)はタルコフスキイ組の私が最も好きなロシア人名優。後者はTonino Guerra 1920年~2012年) はイタリアの脚本家で「ノスタルジア」の脚本やイタリアでのタルコフスキイの複数のドキュメンタリー映像を手掛けた。]

翌日、官憲が修道院へやって来る。百人以上の重装備の機動隊である。彼らがタルコフスキイのいる納屋に近づいてゆく。しかし、その扉が自ずと内からゆっくりと開かれる。暗闇の納屋の中、そこだけスポットが当たるようにしてタルコフスキイが毅然として立っている(ここはモノクロ)。

[やぶちゃん注:この扉は「サクリファイス」の戦闘機音とともに激しく開くそれと同じ扉であり、開いた後のシーンの処理は「鏡」の少年期の「作家」のイメージ部分とよく似ていた。]

官憲に乱暴に引き立てられてゆくタルコフスキイ。

修道院からは徒歩である。その道は地肌も露わな赤土で、昨晩の雨でどろどろにぬかるんでいる。
私は師の捕縛を哀しんでその先導をする修道僧の役となり、ソロニーツィンにカメラを頼む。
下り道の崖側には牧羊の囲いに有刺点線が張られている。
僕は何度もずるずると滑りそうになる。
その都度、僕は右手で囲いを摑む。
その都度、僕の右の掌は甲まで錆びた鋭い有刺鉄線が突き抜けて、飛び出るのであった。
それをソロニーツィンが撮ってくれているのが判る。

[やぶちゃん注:この泥濘の道は「アンドレイ・ルブリョフ」でルブリョフ(ソロニーツィン演)と喧嘩別れした青年「ボリースカ」(ニコライ・ブルリャーエフ演)が鐘に最適な粘土を発見するシークエンスの道を恐ろしく長く高くしたようなものであった。有刺鉄線は「僕の村は戦場だった」で主人公「イワン」(同ブルリャーエフ演)を有刺鉄線でなめるシーンとダブった。なお、このシークエンス全体はタルコフスキイの好んだ、キリストのゴルゴダへの登攀の逆転したシンボライズであるように思われる。]
麓の町につく。

[やぶちゃん注:以下で実は、その町の老婦人と、先の「ゾイ」そっくりの犬が登場し、煉瓦の壁に掛かった三枚のルネサンスの絵画(その時は夢の中でその絵を誰の何としっかり認識していたのに今は失念してしまった)を僕がカメラ映りのよいように何度も掛け変えるシーンなどが挟まるのだが、超常的な現象が多発したりして、説明に時間がかかるので総て涙を呑んで割愛する。]

護送車が待っている。
その横にこちらを向いてグエッラが哀しげな表情で立っている。
僕は師タルコフスキイの先払いの演技をしながらも、
『グエッラって黙って立ってると、美事に「役者」やないけ』
と心の中で思ったことを覚えている。そうして、そうした総てを背後でソロニーツィンが撮っているのを背中に感じながら。
そう。そのグエッラへの感じは一種の嫉妬に近い感情であったことを告白しておく。僕は終始、僧帽を深く被っていて顔が出ないのである。ドキュメント映像には僕の顏は全く出ないのである。
タルコフスキイを載せた護送車が薄い霧の中をだんだんに小さくなってゆく…………

[やぶちゃん注:これも言わずもがな、「サクリファイス」のエンディングで狂人扱いされたアレクサンデルが救急車で運ばれるシークエンスのインスパイアである。出来れば、ここで今の覚醒した僕としては、「タルコフスキイ! また、いつか、どこかで!!」と叫びたかったのだが、夢の僕は、ささくれた唇から血を流してむっとした表情で目を大きく開いてそれを見ているばかりであった。しかしそれは「僕の村は戦場だった」のあの「イワン」の、見上げるきっとした強烈な表情にそっくりだったとは思うのである。]

2016/10/17

蜂の夢

今曉の第一の夢――

 

「すがる」を放つ夢を見た……右手で軽く摘まんだ「すがる」をぱっと空に放つのだ…………

 

……タルコフスキイの「鏡」の射撃場の後の、ブリューゲル風の遠景のある、冬の木立と小鳥と少年のようだった……映像もあのシークエンスのようにハイ・スピード撮影である……僕はやはりあの「少年」のようである……それを「僕」が、あのシークエンスのカメラと同じような位置から見ているのである…………

 

[やぶちゃん注:「すがる」とは「須軽・酢軽・為軽・蜾蠃・蜂腰」或いは単に「蜂」などと書く、万葉以来の「似我蜂(じがばち:膜翅(ハチ)目細腰(ハチ)亜目アナバチ科ジガバチ亜科ジガバチ族 Ammophilini)の古名。或いは広義の蜂(膜翅(ハチ)目 Hymenopteraを総称する古称でもある。「似我蜂」の由来その他はよろしければ私の「和漢三才圖會卷第五十二 蟲部 蠮螉」の注を参照されたい。]

 

第二の夢――

 

裏山の道にポリ袋の塵芥が山と積まれている。そこを通るとスズメバチの集団が「スター・ウォーズ」か「アバター」の軍用機のように、その上でゴマンとホバリングしている。そこを通らないと僕は家に帰れない。

『――僕は出掛けなければならない。――旅立ちが遅れてるんだ。――もう「その」時刻は過ぎてしまったんだ。……』

と焦る。

しかしスズメバチに刺されるのは怖い。

僕は右手のなだらかに広がる麦畑の方へ逸(そ)れて、麦の穂の間にしゃがんで身を潜める。

風と麦の香りがする。

結局、最後まで僕はスズメバチには刺されない。しかし同時に遂に「旅立ち」はやって来ないのであった…………

 

[やぶちゃん注:僕は小学校二年の夏、カブトムシを捕りに行ってアシナガバチ(細腰亜目スズメバチ上科スズメバチ科アシナガバチ亜科アシナガバチ族アシナガバチ属 Polistes の恐らくはフタモンアシナガバチ(二紋脚長蜂)Polistes chinensis)に太腿を刺されて大泣きしたことはあるが、スズメバチ科スズメバチ亜科 Vespinaeのスズメバチ類に刺されたことは幸いにして、ない。但し、最強のスズメバチ属オオスズメバチ Vespa mandarinia に危うく刺されかけたことは、ある。昔、自宅の庭樹にハンドボール大の巣を作られ、竹の棒の先に灯油を含ませた布を巻いて焼き払った際、右眼を狙われた。しかし、眼鏡のガラス面に毒液が噴射されただけで命拾いした。因みに、その毒液のために見事にガラスのコーティングが溶けた。]

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