杉田久女句集
高濱虚子によって抹殺された悲劇の女流俳人。彼女は、虚子によって狂わされ、孤独に亡くなっていったのだと言いきってよい。
富士見書房から2年前刊行された坂本宮尾著「杉田久女」は、その真相に肉薄して、美事だ。これを読んで、ますます僕は「虚子ぎらひ」となった。彼のやり口は、汚ない、愚劣、最下劣、罵詈雑言を幾ら並べても、表現しきれないほどだ。案外、京大俳句事件辺りも、どうなのだろう、こいつの影がちらつかないか。
足袋つぐやノラともならず教師妻
われにつきゐしサタン離れぬ曼珠沙華
谺して山ほととぎすほしいまゝ
蝉涼し汝の殻をぬぎしより
羅の乙女は笑まし腋を剃る
龍胆も鯨も掴むわが双手
蝶追うて春山深く迷ひけり
最後の句は時世ではないが、僕には、自らの寂しい末期を予言した句、限りなく哀しい時世の句に見える……。
→若き日の、慄っとするほど美しき杉田久女の肖像を見る。
北九州市の公式HPの「ふたりの女性俳人」
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