フォト

カテゴリー

The Picture of Dorian Gray

  • Sans Souci
    畢竟惨めなる自身の肖像

Alice's Adventures in Wonderland

  • ふぅむ♡
    僕の三女アリスのアルバム

忘れ得ぬ人々:写真版

  • 縄文の母子像 後影
    ブログ・カテゴリの「忘れ得ぬ人々」の写真版

Exlibris Puer Eternus

  • 20250201_082049
    僕が立ち止まって振り向いた君のArt

SCULPTING IN TIME

  • 熊野波速玉大社牛王符
    写真帖とコレクションから

Pierre Bonnard Histoires Naturelles

  • 樹々の一家   Une famille d'arbres
    Jules Renard “Histoires Naturelles”の Pierre Bonnard に拠る全挿絵 岸田国士訳本文は以下 http://yab.o.oo7.jp/haku.html

僕の視線の中のCaspar David Friedrich

  • 海辺の月の出(部分)
    1996年ドイツにて撮影

シリエトク日記写真版

  • 地の涯の岬
    2010年8月1日~5日の知床旅情(2010年8月8日~16日のブログ「シリエトク日記」他全18篇を参照されたい)

氷國絶佳瀧篇

  • Gullfoss
    2008年8月9日~18日のアイスランド瀧紀行(2008年8月19日~21日のブログ「氷國絶佳」全11篇を参照されたい)

Air de Tasmania

  • タスマニアの幸せなコバヤシチヨジ
    2007年12月23~30日 タスマニアにて (2008年1月1日及び2日のブログ「タスマニア紀行」全8篇を参照されたい)

僕の見た三丁目の夕日

  • blog-2007-7-29
    遠き日の僕の絵日記から

サイト増設コンテンツ及びブログ掲載の特異点テクスト等一覧(2008年1月以降)

無料ブログはココログ

« 手術記2 | トップページ | 最大絶対の痛打 »

2005/07/25

手術記3

今朝の話で、「手術記」は終わりとする。

足腰が(面白い。この語には手がない。こんな状態で使ってみて初めて分かった)がぴんぴんしているのに寝床にいるのは如何にも苦痛である。今朝も目覚めて、こっそり、屋外に煙草を吸いに行き、さて11時の退院まですることがない。主治医も休診日で来ない。やっと頼んで傷口の清払をしてもらうが、ピンニングや器具の血糊を綺麗にふき取ってくれないので、また湘南鎌倉3大がっかりだ。

実は昨日、包帯を外してみて、裸の状態は、かなり他人にはエグイということが分かった。固定器の中央、右手首の親指根元に、パラソルの持ち手状のシルバーの金属ピンの頭がぶっ刺さっているのだ。ちょうどインドやモロッコの大道芸人が、頬や胸部の皮膚に金串を刺したのと全く同じなのだ(よく観察すると、固定器の下も間隙があり、骨へのボルトが突き出ているのは良くわかるが、これは通常、固定器に隠れて見えないからまだよい)。

ともかく僕の「固定器ちゃん」は綺麗にしてあげないとね、と独り言を言いながら、早くも金属部の磨きに左手でいそしむ。次に、すべて部屋を復元する。ゴミも分別、ロッカーのもともと曲がったハンガーやら壊れていたフックを左手でなんとか修復した(なんといっても、自分の右手を分けも分からず整復したんだから、この左手は黄金だ!)。

それでも、まだ余る。

自力でものを書く練習でもしてみるか?

入院に際しての書類も、すべて看護師に書いてもらった。昨日までは、全く、ものを掴めなかった。

ナース・ステーション(「看護婦」がいけないのなら、「ナース」は何でいいんだろ? 看護師はメイル・ナースだろ? 言葉狩り、中途半端なら止めたがいいぞ)に紙とボールペンを借りに行く。

梅崎を書写しようと思ったが、書写は時間が懸かる。暗誦できる文章だ。中島敦の「山月記」がいい。とびきり難しい漢字もいっぱいある!

退院までの2時間で、冒頭から袁と李徴と再会、そして「李徴がどうして今の身となるに至ったかを訊ねた。草中の聲は次のやうに語った。」(細かな字を練習するために、なるべく旧字で書くように心掛けた)まで、最初はまさに生徒のような蚯蚓ののたくった字が、「遂に発狂した」辺りから、人並みには読める字になったのには驚いた(少なくとも一部の生徒の漢字テストより10倍ましな字)。勿論、痛みはひどくぶり返したのだが、「これなら」という淡い光明が見えた気もした。ちょっと蒸す外気も、今の僕には天国だった。

実は、今、このBlogも、たどたどしいが両手で打っているのであった。かと言って、楽観はしていない、そもそも僕は悲観主義者だから。しかし、悲観主義者にとって、絶対的な悲観的状況は、悲観として作用しないような気がする。ウェーバーの法則だな。

では、ご心配をかけた多くの皆様に、とりあえず、ありがとう!

なお、正式な病名は「橈骨遠位端骨折」である。

« 手術記2 | トップページ | 最大絶対の痛打 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。