雲
村上昭夫
雲が泣いているのを見たことがある
空はこんなにも青いし
野山はこんなにも明るいのに
この何処からともなく吐き出される暗さは
一体なんだろう
雲はそう言いながら
ぼうぼうと風に送られて
飛んで行ったのだ
私は実際恥ずかしかった
吐き出される暗さは
たしかに私のものであったかも知れないし
雲はそれを知っていたと思うのだから
(村上昭夫詩集「動物哀歌」思潮社刊より引用)
真っ青な空と真っ白な入道雲が、出かけようとした僕の書斎から見える。
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