人造人間生成夢
言った途端に、トーキーの夢を見た。やはり原因は睡眠の浅さ故に、音声記憶が霞んでいたためらしい。やや安心した。
僕はラボで人造人間を生成しようとしている。生きた右腕からのクローン化である(何と分かり易い! 実際の僕の右腕と、川端と、恐らく映画「フィフス・エレメント」か)。同僚研究員達はバイオ・エシックスの観点から批難轟々であるが(これは現在面倒を見ている医学部小論文で僕が出した課題の影響だ)、既にクローンは赤ん坊にまで成長し、白衣の僕はその子を抱いて「後は初乳の提供者を待つだけだ」とほくそ笑んでいる。そのラボ全体に合唱のように、複数の女性の「コンフェシオン! コンフェシオン!」(懺悔。イタリア語かフランス語風)の響きが被さって、だんだん大きくなる。これは「このシーン」のためのBGMらしい。カメラはそれが聞こえない僕と赤ん坊を諦めたように、クレーン・アップしてゆき、そこで目が醒めた。この響きは、作動していたクーラーの音であった。しかし、何と映像的象徴的な夢か! セオリー通りのフロイト的解釈なら誠に容易な夢であろうが、久し振りに面白い夢を見た。
今、巡回したら偶然、今日の青空文庫の新規公開作品は、寺田寅彦の「夢判断」であった。
今日1964年国民文庫刊「富田木歩全集」を入手した。一冊約3万円とやけに高いなと思ったら、500部限定本だ。句集部分が全句集でないのが残念だが、あらかたの随想が読めるのが嬉しいし、その夥しい序文・回想・資料たるや膨大なもの。声風の友情の産物だ。こういう暖かい書物には、とんと出会わなくなったな。
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