VERKEHRSINSEL 「銃」 伊東靜雄
銃 伊東靜雄
私は廣大な森を所有つて居る
私が植林した樹列の間や
私が播種した草々の上に
私に自由を奪はれた
鳥らが放ち飼ひにしてある
*
注1:全集版で打ち込みながら、おやと思った。「私に自由を奪はれた」で終わっており、どう考えてもおかしい。角川書店版1974年刊「日本の詩集 15 伊藤静雄詩集」を確認、最終行が落ちていた。同書で、補正した。
注2:VERKEHRSINSEL=〔独〕安全地帯。
***
「日本の詩集 15 伊藤静雄詩集」
この本は僕にとって忘れられぬ存在だ。この本と共に、19歳の僕は、初めてある人に出会い、その人に教えられて伊東靜雄の詩に出会い、そうして僕の狭量故に、その人と別れた。それは間違いなく、僕の生涯の致命的な誤りだった。
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