夜の果ての旅 セリーヌ 終章
その橋のずっと向こうは海だ。しかし、今はもう、海のことは何も浮かばない。他にすることがある。俺の愚劣な人生と二度と向き合わずにすむように、俺が姿を晦まそうとして何処に行っても、俺はいつもそいつに出くわしたんだ。必ず、俺に、戻って来ちまうんだ。俺の放浪、そいつはもうお仕舞だった。もう、放っとおいてくれ!…世界は幕を閉じちまったんだ! もう、終わりまで来ちまったったんだよ、俺たちは!…祭りだって、終わる!…悲しみを抱くだけじゃあ、まるで足りない、もっと、音楽が、もっと悲しみが必要なんだ…でも、俺はもう沢山だ!…みんな、そうやって実は、も一度若さが欲しいだけだ、まるでそんな素振り一つ、見せないくせに…なんという愚劣の極みだ!…ともかく、我慢するなんて気持ちは、俺にはもう、ないんだ…
*
トロン・ポワンを生かして。
高校2年の夏、「夜の果ての旅」読んで、痛く打たれたものだった。その時、徒然の手帖にメモしたのも、この一節だった…
「俺はもう沢山だ!」
これは、あらゆることと、あらゆるひとへの、今の僕の素直な気持ちそのものだ。事実だから、仕様がない。