村上昭夫忌
明日、村上昭夫忌。
*
木蓮の花
村上昭夫
五月に散る一番の花は木蓮の花だ
散って見ればそれが分るのだ
花の散る道をしじみ賣りが通ってゆく
こまもの賣りが通ってゆく
それはみんな貧しい人々
花が散って見ればそれが分るのだ
はるかな星雲を思う人は木蓮の花だ
宇宙が暗くて淋しいと思う人は
木蓮の花だ
花が散って見ればそれが分かるのだ
(1999年思潮社刊「村上昭夫詩集」より)
*遠い昔、便箋に美麗に書写されたこの詩を、僕は或る人から貰ったことがある。それは、今も僕の筺底に在る。