萩原朔太郎 芥川龍之介の死 9 芥川の台詞
「だが自殺しない厭世主義者の言ふことなんか、皆ウソにきまつてゐるよ。」
それから笑つて言つた。
「君も僕も、どうせニセモノの厭世論者さ。」
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これは第9章の最後に現れる、台詞である。芥川はホンモノを証明する為に死んだか。いや、恐らく、違う。僕は、芥川は真の厭世主義者ではなかったのだと思う。彼は、ニセモノの厭世主義者を演じ続けたが、その為にこそ、遂に自殺せねばならなかったのだと言うべきである。総合学習で「芥川の死について」を選んだ君、よくぞ、僕を釣り上げた。しかし、この迷宮は、一筋縄ではいかないぞ!