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2006/01/07

森川義信 あるるかんの死

あるるかんの死   森川義信

眠れ やはらかに青む化粧鏡のまへで
もはやおまへのために鼓動する音はなく
あの帽子の尖塔もしぼみ
煌めく七色の床は消えた
哀しく魂の溶けてゆくなかでは
とび歩く軽い足どりも
不意に身をひるがへすこともあるまい
にじんだ頰紅のほとりから血のいろが失せて
疲れのやうに羞んだまま
おまへは何も語らない
あるるかんよ
空しい喝采を想ひださぬがいい
いつまでも耳や肩にのこるものが
あつただらうか
眠るがいい
やはらかに青む化粧鏡のなかに
死んだおまへの姿を
誰かがぢつと見てゐるだらう

かつて僕にとって鮎川は、作品人物共に難解な詩人であった。難解でも重要な作品は生き残るというやや力技の如き謂といい、松川事件での彼の裁判所と検察へのお目出度いまでの頑なな信頼、確か死の直前の「現代詩手帖」のインタビューの後、彼はインベーダーゲーム機へと去っていった。

しかし、「死んだ男」を27の時に授業でやって以来、僕は現代詩の授業に必ず、これを入れている(HPの「アンソロジーの誘惑/奇形学の紋章」中の「詩人の群像~近現代詩篇」島崎藤村「初恋」から藤森安和の「せっぷん」までは、僕の現代詩授業用のオリジナル・プリントである)。

鮎川の詩、いや、彼にとって「荒地」として立ち現れてきた戦後社会を考える時、この森川という分身を透過せずに感じることは、殆ど不可能であるように思われる。鮎川の詩は、森川との永遠のコール・アンド・レスポンスであるようにさえ感じられるのである。

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