32歳の僕の肖像画(部分)
小学生の僕の写真なんて馬鹿にしてると思われそうなので、32歳の時、当時の職場の先輩の美術教師で、画家の齋藤重先生に描いていただいた僕の肖像画の顏部分を、慣れないデジカメで撮った。デジカメの性能が悪いのと、硝子入りの額装なので反射を排除できず、暗い状態で、顔のアップだけにした。
僕の大変お気に入りの絵で、ホリゾントは黒々とした不毛の地平、空は暗いセピア色に燃える虚空で、これは僕の私淑する画家、イヴ・タンギーの仮想世界を髣髴とさせる。
暗褐色の皮のジャンパーを着た僕は振り返っているが、じきにくるりと背を向けて彼方へと歩み去ろうとする雰囲気で描かれている。
向かって右の私の背後には、机の一部が見え、そこには顏を下に伏せた仮面と多立方体、金属の集合体で出来た鳥の頭部が置かれている。
これらは描いてくれた先生のデッサン用の小物なのだが、僕にはどれもが僕自身の象徴として美事に機能しているように感ぜられるのだ。

