芥川龍之介 遺書 (小説)
芥川龍之介の未定稿未完の小説、「遺書」を正字正仮名で「やぶちゃんの電子テクスト:小説・随筆篇」に公開。この推定執筆年代が正しいとすれば、彼は24歳である。
「己自身でも何故己が之を書くかはつきりとはわからない」
「生涯の目的を破壞する事になる」
「或物に對する己の不安が強ひて之を書かせる」
「君は之を讀む第一の人間になる」
「こゝに書いてある凡ての事實に正當な信用を置いて、讀んでくれる事を希望する」
「毀誉襃貶が死後の己に意識されるとは思つてゐない。しかし己にはそれが何よりも氣にかゝつた」
「單なる學者を輕蔑した。彼等は冬籠りをしてゐる熊が木の實を貯へて生活する如く、知識の貯蓄によつて、衣食する人間にすぎない」……
――24の彼は、既に既に自身の「遺書」を予見していた……。
« 芥川龍之介 沼地 + Marcel Duchamp “Pharmacie” | トップページ | 芥川龍之介 侏儒の言葉 (やぶちゃん合成完全版)+α »