学級日誌 又は やぶちゃんに扮する萩原朔太郎
皆さんはご存知ないだろうが、現在、学校の学級日誌というものは、校内必須保管書類の扱いである。有り体に言えば、何らかの問題(いじめ等)が生じた時の参考資料として「死蔵」され、卒業後3年程で廃棄処分される。何も残らない。残せない。子供たちの懐旧の思いなど、行政には不要なのだ。
僕は、幸いにして、この制度が施行される前までの学級日誌の内、忘れがたい何冊かを、今も保持している。クラス会に呼ばれる都度、確実に場を沸かしてくれる僕のまさにとっておきの、リーサル・ウュエポンだ(そのほかにも、当時の一クラス分の読書感想文やアフォリズム、創作俳句集等の秘密兵器もあるのだが)。
昨日は、ある教え子が、日誌でのジャズの書き込みの対話を思い出してメールをくれたのだが、当時の日記から、どんなことを彼が書き、僕がどう答えたかを活字にして返信した。彼も、吃驚していたが、僕も、読み返して、ほう、こんなことを書いていたかと興味深く読んだ(流石に僕も、保管はしていても、読み返すほどには暇ではない)。
今日は、殺人的な忙しさで、疲れた。テクストを打ち込む余力はない。それでも、この連休のテンションの高まりは断絶したくない気がした(3日でHPでアップしたファイル量は10MBを越えた)。さて、何をしよう。
そうだ、あれだ! 萩原朔太郎の「大渡橋」をやった22年前の3年生。
教科書の作者の写真を切り取って、悪戯書きをし(キモいアボガドロやドルトンなんぞで、あなたもやった記憶があるだろう)、日誌に貼り付けてあった。その似顔は……僕だった(勿論、酒とレコードに給料を使い果たす自転車操業、体重50キロの激痩せの僕を想像してもらうしかないのだが)。
僕は、その絵の横に赤で、「非売品 文部大臣賞!」とコメントを書いた……おおっ! 僕の愛してやまない朔太郎が、僕に、扮している!
1984年1月31日付学級日誌……自分で言うのもおこがましいが、素敵に似ている。ご笑覧あれ! 悔しいが、肩の上がり具合といい……あの頃の僕、邪魅羅を如実に捉えている!……筆者は僕の最も信頼する教え子である。だから著作権料は払わない。