C.P.E.Bach Solfeggio
夏の初め、バド・パウエルやオイゲン・キケロのインスパイアされた演奏を聴きながら、C.P.E.Bachの “Solfeggio”の正規のクラシック演奏が聴きたくなった。ところが、これが、ない。著名な練習曲ではあるからドイツ製のC.P.E.Bachの代表作選集10CDボックスを買ったものの、クラヴィーア曲の中に入ってない。邦文リストを検索すると、多楽器のトランスクリプションしかひっかからない(教則用CDにさえない)。新星堂で分厚い欧文リストを篩にかけてもらうこと20分、やっと一枚だけオランダのパイプオルガニストのバロック演奏集の中に発見される。
Klaas Jan Mulder “Schnitgerorgel michaëlskerk Zwolle”(Festivo 6951.872)
出島経由は時間がかかるのか、注文して待つこと3ヶ月。昨日、やっと手に入れた。
一聴愕然! ナンダ! このメクルメク演奏は! 誇張でなくパウエルやキケロの比ではない! グールドの旧録ゴルトベルグが回転数疑惑に沸いたのなら、この演奏はそれを凌駕する。タイヘンな速弾きだ! いや、それよか、曲そのものなのだ! すべてジャズの “Solfeggio”はインスパイアでさえなかったのだ! 原曲が、既にして強力にJAZZなのである! その絶望的に短い1分07秒をエンドレスで聴き続けると、まっこと「あやしうこそものぐるほしけれ」! 久々の感動の一曲である。