芥川龍之介 三つのなぜ
芥川龍之介「三つのなぜ」を正字正仮名で「やぶちゃんの電子テクスト:小説・評論・随筆篇」に公開した。これは当然、アフォリズムの一つと捉えるべきものであり、片山廣子との関係の中でも、これは落としてはならないテクストで、遅きに失した。ソロモンの詠う後の詩(前者は旧約聖書「雅歌」の第二章及び第三章にかけての詩句である)は、まさに芥川龍之介の、あの「相聞」以外の、何ものにも通底しないではないか。
このテクスト作業を、僕はエンリオ・モリコーネのNHK「ルーブル美術館」挿入曲「小さな灯火が宇宙を照らす」をエンドレスで聴きながらやっていたのだが、思わず、「一」「二」と打ったところで、図らずも落涙してしまった。そうして、ふとこの「二」の後に記された、日付に気がついた。
大正15年4月12日。
この2日後の4月14日、芥川龍之介は小穴隆一に自殺の決意を告げている……