金城哲夫忌
君はあの時半裸で君だけが心から故郷と思っていた(僕はあの時自己同一性に於いて沖繩という存在と確かに正面からがっぷりと向き合いながら限りなくその存在を心から愛していたのは君一人だけだったと不遜にも思う)沖繩を行脚しながら何を思っていたのだろう?
酔って帰った君がそこから落ちる時君はサトウキビ畑の中にいる――
そのサトウキビの間から君に微笑みかけるのは――
沖縄戦で死んでいった君の同胞と――
そうしてナメゴンが ガラモン(それは本地垂迹としてのピグモン)が ウーが ジャミラが ブースカが そうして僕が 君の魂とチャカーシーする――
君は一人ではない――
しかし 君の後に残った僕らすべては 確かに独りである――
だから 君が歩いた あの沖繩の灼熱の下の 君の孤独な思いを 僕らは永遠の謎としなくてはならないのだ――
それをもう 誰も知ろうとしないことにおいて――
だからこそ 君は冥界から 我々に訴えよ――
あいも変わらず「血を吐きながら続ける哀しいマラソン」をしている僕達に――
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