「フィリピーナ・ラプソディー」読後
案の定、井上英作氏の「フィリピーナ・ラプソディー」を公開しても、あの焼身自殺をした直後には、未知の方から、多くの問い合わせが舞い込んだのに、今度は何人もに公開のメッセージを送ったにも拘らず、ほとんど何の音沙汰もない。井上氏を直接御存知の女性二人の感謝の言葉、教え子の女性二人の感想、脚本家の男性一人の感懐、これが好意的にお返事をくれた五人すべてである。まさに「喉元過ぎれば熱さ忘るる」ではないか。しかし、焼死では、火炎を吸い込んで気管と肺が焼かれる時、最も苦しい。特に、気に入った教え子の女性の感想を掲げる。フラッシュ・バックを思わせる美事な一言だ。
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太陽を吸込んだような肌
プルメリアの甘ったるい香り
こちらをみながら
ヒソヒソ話をする彼女たちが笑う
べたつく熱気 じわりとかく汗
喉が焼けるような なんという息苦しさ。
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