演劇又は人生又は退職
静から動への美しさを僕はアントニオ・ガデスから教わった。表情や口調の豊かさは、俳優の魂ではない。全的な身心表現の、素直で過激な、まさに「ドゥエンデであること」以外に、演劇は、ない。だから僕は、舞台俳優にはなれなかった。僕は自分の演じられるレベルの「大衆演劇」を、教壇でしていると言っていい。しかし、市井の三文役者の僕でも、ガデスに教わった秘儀を忘れない。これが演じられなくなった/演じられることを禁じられたならば、僕は何時でも(明日にでも! これは真実の告白である)、教壇を去る。これは、至って素直な、確かな、「僕の本気」なのだ。
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