相野谷由起「ゆきねえが来た!」
東京さ、行ったゆきねえが、帰って来る! ねえはお土産たくさん持ってきてくれるけんど、おらにとってはねえが帰って来るんが、一番のお土産だ!
おら、待ちきれなくて、この雪道で、待ってるだ!……
見えたよ! 白い白い道の向うにゆきねえの姿!
[やぶちゃん注:本作品は童話絵本作家にして僕の教え子である相野谷由起嬢が、今年の誕生日に僕にプレゼントしてくれた原画である(彼女のホームページで見た瞬間に僕はこの子に一目惚れしたのだった。公開に際しては本人の許諾を受けている)。きっと絵の少女が『僕のところに行きたい』と彼女に呟いたのだと、一人合点して悦に入っているのだ。つたない題名と台詞は、全く私の妄想である(小学校2年生の時に、母が読んでくれた綴り方運動のアンソロジーの中に「せつねえが来る!」という短編があったのを、僕はこの作品を見た時に鮮やかに思い出していた。その題名の上には版画でお土産を持った長い三つ編みを左右に垂らした、「せつねえ」の後姿が描かれていた。僕は、40年も昔に、その「せつねえ」の向こうに、この少女を見ていたのかもしれない)。この子は、いつも淋しい誰かを暖めてくれるために、必ずあなたの白い白い雪道の向うに「あなた」を待っていてくれる『永遠の少女』なのである。]