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2007/06/02

「芥川龍之介の夢」清水昭三

副題は『海軍機関学校」若い英語教官の日』である。芥川龍之介幻の「佐野さん」の考察をしてきた僕としては、本年(今年は芥川龍之介八十回忌)三月に原書房から出たばかりの、そうして今までほとんど語られることのなかった海軍機関学校での芥川龍之介を掘り下げている(と買う者は当然思うし、そうも筆者も言っている)以上、早速に注文し、一昨日読み終えたのだが――はっきり申し上げる。海軍機関学校時代の芥川龍之介についての新知見は本書にはほとんどない(芥川龍之介が病気のための長期欠席者のために病院に出向いて補習授業をしたことは初見、敗戦時の相模野航空連隊司令として美事な敗戦処理をした篠崎礒次(ぎじ)の回想文の中に現われる芥川龍之介像は立ち読みする価値はある)。これだけの副題をつけたのなら、相応に海軍機関学校時代の芥川龍之介について、新たな調査や分析を行ったであろうに、同僚である佐野慶造の名すら、出てこない。芥川龍之介は狂言回しで、筆者の分かったような分からないような純文学・私小説論でぶちぎれている。はっきり言ってやや失望した。

そうした失望は、佐野の二字を探すために、買った直後に全文を斜め読みした最初から、生じてしまった。そうした負のバイアスがかかると、もういけない。脱字やら文章のねじれやら、単純な文章の呼応がなっていない等々、低次元な瑕疵が目に付いてしまう(悪いが校正が杜撰の極み。こんなものを出して、人生の文学的決算だと思い込んでいる筆者にかなしい「哀悼の意」を表する)。有象無象の芥川龍之介を扱った評論は殆んどが核心をついていないであるとか、○○以外は評価しないとか、芥川龍之介がわかっていないとか――すっぱりくっきり一刀両断にしているわりに、筆者の作品分析たるや、既存の分析と何等、変わらない。ただ、筆者の経歴上の特異性から、侍ー軍人ラインからの論評にやや新味があるとは言えるが。

――どうも、読み終えてから、落ち着かない。全く失望していれば、ここに記載する必要もなく、無視すれば事足りる――しかし、言わずにはいられない――何故だろう?

――分かった。簡単だった。

1930年生まれ。百里原海軍航空隊(特攻を見送った)、戦後、共産党・「新日本文学」等に関わる、強引で、尊大なその書きぶり、名前に「昭和」の「昭」が入っている……

1929年2月生まれ。少年航空兵特攻隊志願、戦後、共産党入党(のち脱党)・中央合唱団団員、強引で、頑なで、日本政府や全ての政治家、そうして何よりアメリカを口汚く罵って平然としている、名前に「昭和」の「昭」が入っている……

上が筆者、下が私の父、である。

追伸:昨日のダークなブログを見た前任校の2年生の時の担任だった教え子達が、「元気出せ! やぶちゃん!」と叱咤激励のメッセージをくれた。どうも、ありがとう! そうだな、沈んじゃ話にならない! 沖縄の、あのカヌーを思い出して、軽く、行こう!

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