志木那神社御守
僕はこの手の初回限定特典に今まで一度として感動したことがなかった。「大魔神」BOXのフィギアのおぞましさには、思わず僕が魔神の憤怒顔になって床に叩きつけたし、「ウルトラQ dark fantasy」のカネゴンを軽蔑したようなカネゴンヌのバッヂは「赤い繭」のエンディングよろしく僕の玩具箱(同様ななんでも箱)の底で埃をかぶっている……しかし、今回買った「Dr.コトー診療所 2006 スペシャルエディション」(僕の、コトーのブログの最初の記述はこちら)のこいつは、とんでもなく歓喜した。架空の島の、架空の神社の、架空のドラマの、あやかが持っているものとしっかり同様の、コトー先生の白衣のボタンが付けられた(!)志木那神社の御守!
コトー好きの生徒に見せたら(この生徒、去年、僕が文学史の話の中で志賀直哉の「暗夜行路」の主人公の名前の板書で思わず時任三郎とやらかして慌てて直した時、ニヤっと笑って「先生、Dr.コトーの見過ぎです」と言いおった輩である)、「この中、カルテか何か入ってるんですかねえ?」……
なるほど、気になるな……無宗教の僕は、それでも多少はドキドキしながら開けてみた……が、さすがに、紙とスポンジである……そこではたと思いついた……僕は無宗教で、いかなる神仏も信仰しない(敢えて言うならアニミストかも知れぬし、さらに自白すれば、不吉な非科学的予兆は不思議に美事に当たる。吉兆は論理性のあるものでさえ全く当ったためしがない)。有難く頂戴した御守などは、平気で纏めて焚書してしまう不遜な男である……が、昨年の夏訪ねた那智飛瀧神社は、アニミズムの本心からか、御神体がひどく気に入ったのだった……そうしてそこの御神体の拝観券代わりの御守が(僕は不信心であっても「拝観券」コレクターではあることを告白する)、まっことこの志木那神社の御守の大きさにバッチグーピッタシカンカンの大きさなのであった……僕は、これを幾分厳かに封入してみた……僕は正直に告白しよう……その時僕は、ヒトクローンを作ってしまったマッドサイエンティストの不遜な気持ちが分かるような気がし、「その時何だか古い不要な言葉に新しい意義を盛り得たような心持がした」のであった……僕の志木那神社の御守は、これで「こゝろ」が入ったのであった……