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2007/10/24

石田典士 トケイソウ

この「トケイソウ」という詩を読むがいい。文芸マスターベーションする君や僕は、読まねばならぬ。そうしてそれでも批評を出来るというのであれば、あんたは鉄気(かなっけ)臭い愚劣な非芸術者であると僕は確実に指弾する。いや、あんたのこの詩への批評ぐらいだったら、とうに愚劣な僕だって理性的には浮かべてるんだ! しかし、分かるか? そういうお前も僕も、文学というものの真の自由が分かっていないということだ!――著作権を考えたが、ニュースである以上、リンクが消える可能性があるので、丸ごと以下にコピーする。ちなみに言うが、高塚かず子氏の「表現に過不足がなく、深い精神性がある。言葉の感覚は美しいが甘くなく、十一歳と思えない鋭さがある。よく成長した精神からつむぎ出されており」は、すべて愚劣な謂いである。「リアリティーがあり感動した」で充分である(それではH氏賞(村上昭夫氏がこの評者と同列に並んでいることすら、この評言では僕には「哀しい限り」と添えおく)得た、世にも稀な存在としての「詩人」、としては不足なんだろうがね)。いや、それ以外には、言えぬ(投稿原詩を見たわけではないが「/」をすべて分かち書きに変え、題名の前後にある< >を恣意的に外した)。

佐世保の小6女児同級生殺害

事件を詩に 伊東静雄賞佳作に大久保小・石田君

 【佐世保】小六女児事件が起きた佐世保市立大久保小の六年生、石田典士(のりひと)君(11)=園田町=が、事件に触発されて書いた詩で一日、優れた現代詩を選彰する第十五回伊東静雄賞の佳作に選ばれた。未成年での佳作以上は石田君だけで、事件で深い傷を負った心を鋭い感性で表現し高く評価された。

 作品名は「トケイソウ」。形が時計の文字盤に見える花から題材を得た。石田君は「低学年ごろ通学路に咲いていたが最近あまり見なくなったトケイソウへの思いに、何も悪くないのに突然命を奪われた御手洗怜美(さとみ)さんや事件への疑問、同級生の戸惑いを重ねた」と言う。

 事件後、石田君は思い悩んで体調を崩し、眠れない夜は詩を書くことで心を落ち着かせた。二年連続で同賞の佳作に選ばれ「詩は満足して出した作品ではなく、何度も書き直した。これからも続けていきたい」と話している。

 予選審査員で詩の芥川賞と呼ばれるH氏賞受賞者の詩人、高塚かず子さん=大村市=は「表現に過不足がなく、深い精神性がある。言葉の感覚は美しいが甘くなく、十一歳と思えない鋭さがある。よく成長した精神からつむぎ出されており、リアリティーがあり感動した」と話した。

 同賞は諫早市出身の浪漫派詩人、伊東静雄(一九〇六―五三年)をしのんで実施。今回は国内外から五百六十五編の応募があった。予選で五十編を選び、その中から一編が伊東賞に決まり、残り四十九編が佳作に選ばれた。

   トケイソウ

きみどり色の飛びこみ台に立つ

真夏の影色の三本の太い針

正しくゴールを知る方位磁石のように

鮮やかに 過去・現在・未来をさし示す

 

ろうの様な蓮の形のガクに浮かんでいる

紫の細い線の海の白い糸は

何色にも染まらなくて

いつも 初めて会ったような気にさせる

 

上り坂の続く通学路

ちょっぴり重い気持ちとランドセルを

ひょいと直すのは

白々としたコンクリート駐車場の金網に

トケイソウが咲いている いつもの家の前

そこを過ぎれば校門が待っている

 

まだ開き始めたばかりの彼女の時間

同じように続くはずだった 普通の毎日

見えない凶暴な磁力で壊された機械よりも

さらに理不尽に閉じられた彼女の未来

 

「受難」を意味するトケイソウ

なぜ、彼女でなければならなかったのか

いつまでも出ない答えの前に

ぼく達の心の針も 一瞬で消えさって

どこへ向かえばいいのか 立ちすくむ

 

2004年11月2日長崎新聞掲載

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