こひびと 増田晃
こひびと 増田晃
美しきあぶらしたたり
金のあぶらしたたりおつるごとく
きみをあらしめたまへ
百合の花のつゆに垂れしなひ
ましろの百合匂ひたかきごとく
きみをあらしめたまへ
いろ紅き薔薇雨に濡れ
濡れし蕾やはらふふめるごとく
きみをあらしめたまへ
つめたき御空(みそら)のいろ水にうつり
御空(みそら)のいろの暮れゆくごとく
きみをあらしめたまへ
ましろの雪のひややけく
ましろの雪の柔らかきごとく
きみをあらしめたまへ
[やぶちゃん注:「やはらふふめるごとく」は「柔ら含む」という動詞と捉える。「柔らかくそっと口の中に含んでいるかのように」の意であろう。]